「自分が口臭を発しているかどうか、マスクで調べられると聞いた」「口臭が気になっているので、マスクで予防できるのであればやってみようかな」…そんなことをお考えの方、いらっしゃいませんでしょうか。最近では風邪でなくてもマスクをしている人が増えていますが、口臭も予防できるのであれば一石二鳥ですよね。今回は、マスクと口臭の関係、さらに口臭の改善法についても迫ります。
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マスクで口臭チェックをしてみよう!
マスクで口臭がチェックできるって本当なのでしょうか。これに関しては明確に「イエス」と答えることが可能です。歯科医師の中にも、マスクを使った口臭チェック法を紹介している人がいることから、マスクを用いて口臭チェックをおこなうことが可能だという根拠となります。
マスクで口臭をチェックするメリット
口臭をチェックする方法はいろいろありますが、では、マスクを使って口臭をチェックすることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
マスクを使って口臭をチェックする最大のメリットは、簡単でどこでもできるということです。最近は風邪を引いていなくてもマスクをしている人も多いことから、マスクを使って口臭をチェックしていても、誰にもばれるようなことがありません。
また、病院や専門のクリニックで口臭をチェックしてもらうよりも安上がりだというメリットもあります。徳用のマスクであれば、1枚当たり十数円しかかかりません。
マスクを使った口臭チェックのやりかた
マスクを使って口臭をチェックする際には、マスク選びが重要となります。鼻と口をしっかりと覆うことのできるサイズのマスクで、しかも顎が出ない大きさのものを選びましょう。
また、マスクを選ぶときには香料などを使っていない、無臭のマスクを選ぶようにしましょう。顔のサイズに合うマスクを用意できたら、鼻と顔の間に隙間ができないように、しっかりと装着します。そこまでできたら準備完了です。
次に、実際の口臭チェックのやり方です。口臭チェックをおこなうためにはまず、大きく息を吸います。そして、時間をかけてゆっくりと息を吐きます。ちょうど深呼吸をする要領です。
息を吸っては吐くということを1分間程度繰り返したら、マスクを外して息のあたっていた部分の臭いをかいでみましょう。それがあなたの口臭ということになります。
歯科医でおこなう口臭判定マスク
歯科医院や口臭外来など、口臭を専門としている医療機関では、口臭判定マスクという口臭チェック法が用いられます。ただ、これは市販のマスクを用いておこなうチェック法ではありません。
口臭を測定する専用の機器を用いて口臭を数値化し、それに基づいて治療プランを立てるというものです。ただ、自分でマスクを用いてチェックするよりはるかに正確なので、口臭が気になる人は口臭を専門としている医療機関を受診するのもよいでしょう。
口臭はマスクで防げるの?
マスクを使った口臭チェック法について簡単に説明しましたが、では、実際にマスクを装着することによって、口臭を防ぐことは可能なのでしょうか。
息が漏れるのをある程度防げる
口臭が気になる際にマスクをつけるメリットとしては、漏れ出す息をある程度は抑えられるということがあげられます。空気中に吐き出される息の量が減れば、相対的に口臭も減るということになります。
至近距離ではにおってしまう
マスクを付けていると、息が漏れ出るのをある程度は防げるため、口臭予防に関しても一定の効果は得られます。とはいうものの、あまりに近い距離で会話したりすると、やはり口臭がしてしまいます。
特に、歯周病がある程度進行してしまっているような場合、マスクをしていても強烈な臭いを発することがあります。
長時間の装着は気を付ける
マスクには口臭を予防する一定の効果がありますが、長時間付けっぱなしにすることは避けた方がよいでしょう。なぜかというと、長時間マスクを付けていることによって、マスク自体が臭ってしまうからです。
また、マスクを長時間付けていると、呼気や唾液によってマスクの内側が湿ってきます。さらに、呼気は温かいので、マスクの内側が高温で多湿な状態になってしまいます。
高温で多湿な環境は、細菌がもっとも好むものです。マスクの内側で細菌が繁殖することによって、マスクの臭いがさらにひどくなってしまう可能性もあります。
口内の乾燥は防げる
マスクには直接的に口臭を予防する効果がある程度は期待できるのですが、口内の乾燥を防ぐことによって、間接的に口臭を予防する効果も期待できます。
というのも、病的な口臭の場合は別として、生理的な口臭は口内の乾燥によって起こるからです。生理的口臭と言って、空腹時や緊張時、起床時に見られる口臭は、口内の乾燥が原因となって起こります。
朝起きたときに口の中がネバついて、嫌な臭いを発するような経験は、だれでもしたことがあるのではないでしょうか。また、緊張状態を強いられたときに、唾液の分泌量が減少して、口臭を発するようなこともあります。
マスクをしていれば、口内の乾燥を防ぐことが可能となるため、このような「生理的口臭」に関しては、一定の予防効果を得ることが可能となります。
根本的な口臭改善を!
マスクをすることによって、ある程度は口臭の予防効果が得られること、また、マスクだけでは口臭予防の限界があることを理解して頂けたのではないでしょうか。やはり、口臭を改善するには、根本的に口臭の原因を取り除くことが重要となります。
歯医者さんの受診
口臭を根本から改善したいと望むのであれば、口臭を専門としている歯科医院や口臭外来を受診して、なにが自分の口臭の原因となっているのかを検査してもらいましょう。
口臭を専門としている医療機関では、口臭をチェックするための専用機器が用意されており、それによって口臭に含まれているニオイ物質や、口臭のレベルを判定することが可能です。
口臭のレベルが数値化されて見えるので、ビジュアル的に自分の口臭がどの程度なのかを確認することが可能です。また、口臭に含まれているニオイ物質を特定することで、病的な口臭なのか、それとも生理的な口臭なのかを判断することも可能です。
口臭に含まれているニオイ物質はおよそ20種類あると言われているのですが、その中でも特に、揮発性硫黄化合物と呼ばれるニオイ物質には、特徴的な臭いがあることで知られています。
揮発性硫黄化合物は、その名前に「硫黄」という文字が含まれていることからも分かるように、卵の腐ったようなニオイのすることがあります。
揮発性硫黄化合物としては、「硫化水素」「メチルメルカプタン」「ジメチルサルファイド」の3つがあげられるのですが、その内、硫化水素が卵の腐ったようなニオイを発するということです。
硫化水素は起床時や緊張時、空腹時に見られる口臭に含まれており、一般的にはよほど顔を近づけてにおいをかがない限り、それほど強烈な臭気を発することはないということです。また、時間の経過や食事、歯磨きなどによって自然と消えていくという性質のものです。
メチルメルカプタンやジメチルサルファイドは、歯周病の人の呼気に含まれていることで知られており、硫化水素よりも強烈な悪臭を放つことで知られています。
メチルメルカプタンがどれくらい臭いかというと、大気汚染防止法で特定物質に指定されているくらいです。口臭によって大気汚染が起こると考えると、そのすごさが分かるのではないでしょうか。
環境省の調査によると、メチルメルカプタンの臭気は、硫化水素の10倍とも20倍とも言われています。歯周病患者さんの息が臭いのには、このような理由があるといわけなのです。
舌の掃除
口臭を根本的に改善するためには、舌の掃除をおこなうことも重要です。歯磨きは毎日おこなっているという人でも、舌の掃除を定期的におこなっているという人は少ないのではないでしょうか。
舌の表面には肉眼では確認できないほどの小さな襞があるのですが、そこに食べ物のカスや口内の表皮細胞などが詰まることによって、舌苔(ぜったい)と呼ばれるものが形成されます。
舌を出して見ると、舌の真ん中あたりから奥の方にかけて、白っぽいものが見えるのではないでしょうか。それが舌苔と呼ばれるものです。
舌苔は誰にでもあるもので、通常であれば悪臭を放つようなことはありません。ところが、舌苔の量があまりにも多かったり、免疫力の低下によって口内の細菌が増えたりすることで、口臭がひどくなるのです。
舌苔が原因となって口臭がしているような場合、専用の舌クリーナーを用いて、舌苔を掃除するとよいでしょう。間違っても、歯ブラシでゴシゴシと擦るようなことはしないで下さい。
舌はとても繊細な器官なので、歯ブラシでゴシゴシと擦ってしまうと舌の表面に傷がついてしまいます。そうなると、かえって口内環境が悪化して口臭がひどくなることにもつながりかねません。
唾液を多くするのも口臭予防のポイント
生理的口臭は唾液の分泌量が低下して、口内の乾燥することによって起こります。そのため、普段から唾液の分泌量が低下しないよう、気をつけることが重要です。
こまめに水分補給をおこなう
唾液の分泌を増加させるもっとも簡単な方法は、こまめに水分補給をおこなうということです。水分補給をおこなえば、単純に口内の乾燥を予防することが可能です。
また、体内の水分量が増えることによって、唾液の分泌量が正常化します。特に、生理的口臭が気になるような場合には、積極的に水分補給をおこなうように心がけましょう。
人間は1日の間に、2リットルから2.5リットルの水分補給をおこなう必要があるとされています。とはいうものの、2リットルから2.5リットル全てを飲み物によって賄うという訳ではありません。
食事からも1リットル程度の水分補給をおこなうことが可能なので、実際に飲み物から水分補給をおこなうのは1リットルから1.5リットルということになります。
では質問ですが、みなさんは毎日1リットルから1.5リットルの水分補給をおこなっているでしょうか。仕事に集中していると、ついつい水分補給を怠りがちだと思います。
常にペットボトルに入れた水などを机に置いておき、気が付いたら水分補給をおこなうように心がけましょう。ただし、水分と言ってもコーヒーやアルコールは厳禁です。かえって口臭が増すことにつながりかねません。
唾液腺をマッサージする
唾液の分泌量を増やす方法としては、唾液腺のマッサージをするという方法もあります。唾液腺はその名の通り、唾液を分泌する器官であり、マッサージで刺激してあげることによって、唾液の分泌が盛んにおこなわれるようになります。
唾液腺には「耳下腺」「顎下腺」「舌下腺」の3つがありますが、中でも耳下腺がもっとも大きいので、耳下腺のマッサージをするのが効果的でしょう。
流行性耳下腺炎という疾患がありますが、流行性耳下腺炎の別名をおたふくかぜと言います。おたふくかぜになると耳の下あたりが腫れるのですが、そこが耳下腺のある場所となります。
耳下腺をマッサージする際には、両手の人差し指から薬指を耳の下あたりに当てて、クルクルと円を描くようにマッサージするとよいでしょう。唾液がジワリと湧いてくるようであれば、上手にマッサージできています。
虫歯や歯周病予防効果も!
唾液の分泌量を増やすことは、直接的には生理的口臭の予防につながりますが、間接的には虫歯や歯周病の予防にもつながります。
というのも、唾液には食物の消化を助ける働きだけでなく、細菌の繁殖を防ぎ、口内を清潔に保つ働きがあるからなのです。
虫歯も歯周病も細菌の活動が活発になることによって発生、進行してしまうので、普段から唾液の分泌量を正常に保つことで、虫歯や歯周病の予防効果も得られるという訳なのです。
時間がない時は他にも方法が
「口臭の根本的な改善法は分かったけど、1時間後に人と会わなければいけない」というようなときに、速攻で口臭をなくすような方法はないのでしょうか。それに関しては、以下の記事を参考にしてみてくださいね。
マスクは緊急の口臭対策!
マスクには口臭を予防する一定の効果はあるものの、根本的に口臭を改善できる訳ではありません。あくまでも緊急避難的に用いるのが無難だと言えそうですね。
マスクで口臭チェックをする方法や、マスクで口臭予防ができるかなどについて見てきましたが、いかがだったでしょうか。手軽に口臭チェックができるマスクは便利ですよね。
ただ、口臭を根本から改善するためには、普段から口内環境を整えておくことがなによりも重要です。マスクに頼りすぎないように気をつけてくださいね。