初めてのデートや仕事の商談などの緊張する場面。そんな時、自分の口から嫌~なにおいがしていたらと思うとぞっとします。
でも不思議と緊張するといつもよりも自分の口がくさくなる気がしませんか?なぜ緊張するといつもより口が臭くなるのでしょうか。そこには理由があったのです。
その原因と対策を現役歯科衛生士がお伝えします。もうすぐ大切な予定があるというあなたにぜひ読んで頂きたいです!
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緊張すると口臭がする原因は?
そもそも緊張すると口臭がするというのは本当のことなのでしょうか…。残念ながら答えはYesです。緊張をすると体のあらゆる部分があなたのその心理状態に反応をして、体の中でもさまざまな変化が起こるのです。
自律神経の交感神経が優位になり唾液が減少
自律神経は内蔵や血管をコントロールしている神経です。この自律神経のおかげで私たちは意識をしなくても呼吸や体温調節、消化などの生きるために必要な活動ができるのです。
この自律神経には活動的なときに優位になる交感神経とリラックスしている時に優位になる副交感神経がありますが、交感神経が優位になるとその作用で唾液が減ります。
唾液には抗菌作用があるので、唾液が出ない間はその恩恵に預かれません。
舌が動きにくくなりさらに唾液の分泌が減少
さらに、緊張すると舌が動きにくくなります。実際に、緊張した人が話すときに、舌がもつれて噛んだりどもったりする場面を見たことがあると思います。
舌の動きが鈍くなると唾液腺が刺激されなくなり、さらに唾液の分泌が減ってしまいます。長時間黙っていて、急に話し出すと口臭がすることもありますよね。これも同じ原理なのです。
唾液が多く分泌されているときは、唾液の殺菌作用によってこれらの菌は排除されます。
唾液の種類にも原因あり
実は交感神経が働いているときと副交感神経が働いているときで、唾液の質が違うことをご存知でしたか?この唾液の成分の調節は、整体病魚のコントロールのために自律神経が行っており、これも緊張したときの口臭と大きな関係があるのです。
漿液性(しょうえきせい)
普段からわたしたちが親しんでいるイメージが強い、サラサラとした水分量の多い唾液です。これは副交感神経が働いているときに分泌されます。
副交感神経は食事などのリラックスしているときに働き、内臓の動きや消化液の分泌をサポートしたり、腸からのウイルスや細菌の侵入を止めます。この動きと連動するように、食べ物を口から胃までスムーズに運べるようなサラサラの唾液が分泌されるのです。
粘液性
交感神経が優位になったときに分泌される、ねばねばとした水分量の少ない唾液です。水分量が少ないので口腔内を乾きやすくしてしまいます。
この唾液にはリゾチームなどの外敵から体を守る成分が含まれているのでねばねばしているのです。リゾチームは外敵と戦ってケガをしたときに傷口から細菌に感染されないように対抗する働きがあります。
緊張する場面がある前に控えたほうが良いこと
デートや仕事のプレゼンなど「いよいよ明日かあ〜大丈夫かな」と、緊張するシチュエーションは事前に予想できることが多いですよね。ここからは事前にできる緊張時の口臭対策をお伝えします。事前に何か1つでもできるとだいぶ安心できますよね!
コーヒーを飲む
緊張を緩和するためにほっとひといき…とコーヒーを飲んでしまいたくなる気持ちはわかるのですが、ぐっと我慢しましょう。コーヒーに含まれるカフェインには利尿作用があるので、体の水分を排出する働きがあります。体の中の水分が減るということは唾液の分泌も減るということです。
そこに交感神経の作用が加わってさらに口が乾いてしまうと…緊張して口の中はいつもよりもカラカラなのに、唾液が全然出てこない状況になり、口臭が発生しやすくなります。さらにコーヒーは匂いが強く口腔内に残りやすいので、口臭と珈琲のにおいが組み合わさって大変なことになります。
それに、大事なプレゼン中にトイレに行きたくなることもできれば避けたいですよね…!緊張する場面では、事前にコーヒーを飲むのは控えましょう。
飲むのであれば用事のある1時間以上前には飲み切るのが望ましいです。コーヒー以外にも、紅茶や緑茶も利尿作用があるので気をつけてくださいね。
ミンティアやフリスクなどを食べる
ミンティアやフリスクなどのスーッとする味のするお菓子を食べることは、口臭に効果がありそうだと思う人は多いと思います。でもこれが意外な落とし穴なんです。
小さなタブレット菓子は食べ終わると、ミントの香りと口臭が混ざって何とも言えないにおいを醸し出すので、正直おすすめはできません。たまに職場で強烈なミントの香りと強烈な悪臭を同時に振りまいているおじさんに出会うことはありませんか?
もしどうしても食べるのであれば、用事の直前に食べ終えて飲料水で一度口内をリセットしておくのが一番安心です。この方法であれば、ほのかにミントの香りを口に保った上で、口の中を潤して菌が繁殖しにくい環境を作ることが出来るためです。
塩分の多い食事
塩分の多い食事も、口の中から水分を奪うので間接的に口臭の原因となります。塩分の多い食事というとラーメンが代表的です。とくにラーメンは噛む回数も減るのでより唾液が分泌しづらくなるので、要注意ですし、にんにくが入っていることも多いので大事な用事の前に食べるのは控えたほうがいいかもしれません。
普段から行える予防ケア
直前に付け焼き刃では不安…という方のために、ここからは普段の生活で出来る口臭対策として、唾液の分泌を促す方法をご紹介します。健康にも良いものばかりなのでぜひ実践してみてください。
唾液腺を刺激
ドライマウスになりやすいヒトのために考えられた、唾液腺マッサージというものがあります。これは唾液の分泌に関わる場所を優しく刺激することで唾液を分泌させるものです。
顔の外側から唾液腺マッサージ
①耳下腺(じかせん)
耳の下を刺激します。両手の人差し指から中指を左右の頬に当てて、後頭部側から前に向かって優しく円を書くようにマッサージします。
②顎下腺(がくかせん)
顎の輪郭を裏から刺激します。両手の親指をあごの骨の内側(あごの裏)にある柔らかい部分に当てます。まずは耳の下辺り、左右の指を当てて、あご先に向かっていくように、やさしくプッシュしていきます。
③舌下腺(ぜっかせん)
顎先を裏から刺激します。両手の親指を「グッド」のハンドサインになるようにしたあとそろえます。このとき親指の爪は自分の方を向いているような状態です。その手を顎先のやわらかい部分に当てて、上に押し上げるようにプッシュします。
舌の体操
舌を動かすことでも唾液は分泌されます。
①口から出るように、舌を前に「べー」とつき出します。
②口から舌を出したまま、左右に振ります。
③歯の表面を触れていくように、円を書く要領で舌を回します。
梅干しによる条件反射を利用
梅干しのことを想像すると自然と唾液がじわじわと出てきた経験はありませんか?これを条件反射と言います。
普段から口が乾いたときに梅干しのことを思い浮かべながら、いつでもどこでも唾液が分泌できるように練習してみましょう。
歯磨きは念入りに
歯みがきを念入りにすることも大切です。唾液が減少すると磨き残しなどに含まれる細菌がイヤなにおいを発するので、丁寧な歯みがきでこれらを除去しておきましょう。
ちなみに、ゴシゴシと強くこするのは歯を必要以上に傷つけます。軽い力で細やかにブラシを使うようにしましょう。
周りにばれず今すぐ簡単に口臭を消す方法
人前で口臭を気にしていることを悟られたくないし、口臭を消そうとしていることなんて恥ずかしくて周りの人には知られたくないですよねですよね。ここではナチュラルに口臭を消す方法をお伝えします。
水をこまめにたっぷり飲む
これが一番王道ですが、緊張で唾液が減るのであれば、外から水を足してあげればいいのです。水を口にい入れた瞬間に口腔内は水で潤い菌が繁殖しにくくなりますし、体内に入った水は巡り巡って唾液としてまた口腔内に戻ってきます。
一気にたくさん飲んでしまうとトイレに行きたくなってしまい、そうなるとと本末転倒です。口の中をじんわり潤すような感覚で水分補給をしましょう。
手のひらのツボを押す
さりげなく手の中心にある「手心(しゅしん)」というツボを押してみてください。このツボには鎮静効果があり、緊張をやわらげ副交感神経を優位にして唾液の分泌をサポートしてくれます。
口の中で舌の体操
3のパートでお伝えした舌の体操は、ここぞというときにも威力を発揮します。人前でやるのは勇気がいるかもしれませんが、一人きりでいるときやトイレの中で行ってみてください。
唾液腺のマッサージと梅干しの条件反射を利用
唾液腺のマッサージで唾液を出す方法と梅干しの条件反射は、パート3でお伝えしたように日常からトレーニングしておくことで、本番にも安定して唾液をだすことができます。
日ごろ練習している人はその成果を本番前に発揮してください。もちろん日頃行っていない人でも一定の効果はあるので行ってみてくださいね。
空腹をできるだけ避ける
計画的に行う必要がありますが、空腹の時間と大切な用事が重ならないようにするのも一つの手です。
唾液は食べ物を食べたあとに口の中を洗浄する役目も持っているので、逆に空腹のときには分泌がされにくいのです。大切な用事のある1時間ほど前には何か軽いものをお腹に入れておけるといいですね。
空腹でなぜ口臭が起こるのかその改善方法などははこちらの記事でさらに詳しい内容が書いてあるのでぜひ参考にしてみて下さい。
ストレッチや深呼吸でストレス回避
緊張やストレスでドキドキすると口が乾いて口臭が発生するので、それならその緊張やストレス自体を軽減すればいい!という方法です。すこしでもリラックスするために、基本的なことではありますが深呼吸やストレッチで自分の気持ちを整えましょう。
唾液が増えると良いこと沢山!
ここまでで、口臭を抑えるためには唾液が有効だということはよくお分かりいただけたかと思います。ではその唾液は私たちの健康に対して他にも色々な恩恵を授けてくれることをご存知でしょうか
虫歯や歯周病の予防
唾液には殺菌作用があることは既にお伝えしましたが、この殺菌作用は虫歯や歯周病のもととなる菌も殺菌してくれます。虫歯も歯周病も口臭を悪化させる大きな原因ですし、歯周病に至っては命に関わる病気にも深く関わっているので、唾液の効果は侮れませんね。
活舌がよくなる
唾液が分泌されると舌の滑りが良くなって滑舌が良くなります。緊張酢する場面においては本当に唾液はいろいろな面で役立つのですね…!
消化を助ける
唾液に含まれる成分には食べ物の消化活動をサポートする働きもあります。消化不良も口臭の原因となることもありますし、よく噛んで唾液の分泌を増やしたいですね。
感染を防ぐ
実は唾液には感染症を防ぐ効果もあるのです。寒い季節は乾燥するのに夏ほどは水分を取らないから、風邪に侵される人が多いのかもしれませんね。いわば人の体の玄関とも言える口には、唾液による何重ものバリアが貼ってあるということです。
ご飯をおいしく食べられる
唾液のはたらきには味覚も深く関わっています。味覚障害者と健康な人で調査を行ったところ、味覚障害者は唾液の分泌量が少ないことが確認されたのです。また、加齢や薬の副作用で唾液が減ると味覚を感じづらくなることも一般的によくあることです。
食事を楽しんで健康な食生活を送ることも唾液がサポートしてくれているから出来ることなのですね。
緊張による口臭は緩和できます
緊張すると口がカラカラになって思うように振る舞えなかったという経験がある人も多いと思いますが、また緊張しそうな機会があれば、この記事ではご紹介した口臭対策を試してみてください。
今の時代の人々はやわらかい食べ物を好んだり、スマホやメールなどの文化の発達で唾液が分泌される機会が減ったと言われています。また、高齢になれば自然と唾液が減ってしまう人も…。
口臭対策のみならず生活習慣病や虫歯対策にもなると思って、普段の生活でも唾液の分泌を意識してみてくださいね。