口臭は様々な要素が原因になりおこるものですが、その原因が女性ならではの問題もあることってご存知でしたでしょうか?
女性は臭いに敏感ですし、自分の口臭となると気づきにくい分、とても気になるものです。その原因を知ることで対策もしやすくなりますのでぜひ参考にしてみて下さいね!
女性の口臭の原因はストレスから
女性特有の口臭の原因の一つ目は「ストレス」です。仕事を持っている方や、家事、子育て、さらには介護など、女性の役割は男性以上に忙しく、日々たくさんのストレスにさらされている状況です。
まずは口臭とストレスの因果関係について、詳しくみていきましょう。
30、40代の女性は最もストレスを感じやすい
30、40代の女性は、仕事、家事、子育てなど、周りのために多くの時間を費やす毎日を送っています。自分自身のための時間がとても少なく、ストレスを溜め込んでしまいやすい年代です。
仕事でも責任ある立場について、やりがいも出てきますが、その分、家庭との両立はハードになってくるでしょう。また職場や家族などの人間関係に悩むことも多く、ストレスの原因は後を絶ちません。
ストレスにより唾液が減少する
ストレスは体にとって様々な影響を及ぼします。その中の一つに「ドライマウス」が挙げられ、その症状としては、唾液の分泌量が減って口の中が乾燥した状態になります。
唾液の分泌量が減る原因としては、自律神経からの影響が考えられます。ストレスを受けると、交感神経が活発に働くことで、唾液の分泌量が抑制されてしまいます。
唾液に含まれる成分で、口臭の原因になる細菌の繁殖を抑える成分に、リゾチームという酵素や、ラクトフェリンといったタンパク質があります。
これらの抗菌作用の働きが少なくなることで、食べカスなどに付着した細菌が繁殖しやすい状態になり、口臭として嫌な臭いを発するのです。
においを感じやすいという点も
女性は香りを大変好み、アロマや香水などの良い香りに触れることで、精神的にもリラックスすることができます。
反対に嫌な臭いに対してもとても敏感です。他人の加齢臭や口臭には、男性よりも容認度が低く、我慢ができないと強く感じる傾向にあります。
学術的な研究結果においても、女性は「嗅球(きゅうきゅう)」と呼ばれる細胞の数が男性よりも圧倒的に多いという報告もあります。嗅球とは、鼻で嗅いだ匂いの情報を脳が処理する領域にある細胞のことだそうです。
このような事からも、女性は男性よりもより臭いに対する感度が高く、かつ厳しい基準を持っていることがわかりますね。
PMSや生理による口臭
女性特有の口臭の2つ目の原因は「女性ホルモン」です。普段口臭がない人でも、生理になると臭いが気になることがあります。 生理になるとなぜ口臭が発生してしまうのでしょうか。その原因を探ってみましょう。
抵抗力の低下
生理中は、プロゲステロンという女性ホルモンの分泌が低下しし、それに伴い体の抵抗力も低下します。生理中は、風邪を引きやすかったり、口内炎やヘルペスといった症状が出やすいのもそのためです。抵抗力が落ちることで、口の中の最近が増えやすくなって臭いが強くなることがあります。
排卵による体温上昇
女性の体のリズムとして低温期と高温期という基礎体温の変化があります。卵胞期には体温が低めになり、排卵期を通じて黄体期に切り替わると体温は上昇します。
しばらく高温期が続き生理になるため、体温が高いことが原因で口の中が乾燥しやすい状態になることから、口臭の原因の一つになると考えられます。
PMS
PMSとは、生理前症候群と呼ばれ、生理前の数日の間、心も体も不調をきたすものです。いつもより精神的に不安定になり、イライラしやすく、感情のコントロールができにくい他、頭痛や下腹部の鈍痛、倦怠感やどうしようもない眠気に襲われるなど、人それぞれの症状があります。
このPMSの症状のひとつとして、口臭があります。
妊娠中の口臭
これまでは全く気にしたことがなかった人も、妊娠して初めて口臭が気になる場合もよくあるケースです。妊娠中はホルモンバランスはもちろん、通常時とは全く違う体調でとてもデリケートな時期です。原因をしっかりと知っておいた上、体調に影響を及ぼさない範囲でのケアをするようにしましょう。
妊娠性歯肉炎
歯肉炎はお口の中の良くあるトラブルですが、妊婦さんは特に歯肉炎になることが多いので注意が必要です。妊娠中の歯肉炎の原因としては、ホルモンバランスの変化が深く関わっています。
妊娠していない女性の場合、体のリズムとしてエストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンが、排卵期を境に交互に分泌されます。これは先ほどもご説明した卵胞期と排卵期のことですね。
そして、妊娠中になると、この2つのホルモンは同時に分泌され、子宮を守り、赤ちゃんの発育を促すためにフル稼働の状態になります。
このように、女性ホルモンの量が一気に増えることで、プレボテラ・インテルメディア(PI菌)と呼ばれる細菌が、お口の中で増え始めます。
とくに女性ホルモンが多く分泌される妊娠初期から中期にかけては、このPI菌も大幅に増殖するため、歯肉炎になることが多く、口臭が出やすくなると考えられています。
エストロゲンの分泌が原因
妊娠中には、エストロゲンの量が増えることが原因で、お口の中の唾液の量が減少します。正常なお口の中の状態での唾液量は、1日あたり1リットル以上の量があります。
唾液の働きは、抗菌作用のほか、食べ物のカスなどを体内に流しこむという大切な役割をしています。唾液量が少なくなることで、お口の中の細菌が増え、虫歯や歯周病の原因になったり、細菌が繁殖して口臭を強くしてしまいます。
プロゲステロンの増加が原因
妊娠中にはもう一つの女性ホルモン、プロゲステロンも増加します。プロゲステロンの影響で、唾液は通常のアルカリ性から酸性へと傾いてしまいます。
酸性になったお口の中を、アルカリ性に戻す役割をするのが唾液ですが、妊娠中はエストロゲンの増加が原因で、唾液量が少ない状態ですので、上手にphコントロールができません。
口内が酸性になると、虫歯菌や歯周病菌が増えやすくなるため、口臭が強くなってしまいます。
更年期障害でドライマウスに
女性特有の体調がゆらぐ時期として、更年期があります。更年期障害の症状としては、個人差がありますが、頭痛、倦怠感、イライラ、うつ状態、睡眠食害やホットフラッシュなどとても様々な不調が現れます。
その中の一つに口臭も挙げられ、主な原因は口の中の乾き=ドライマウスです。
ドライマウスは口臭だけでなく歯周病や虫歯の原因にもなるので、放置せずに改善することをおすすめします。
更年期にドライマウスになってしまう要因は「ホルモンバランス」と「自律神経」の乱れが考えられます。それぞれ詳しく掘り下げてみていきましょう。
ホルモンバランスの乱れ
女性ホルモンのひとつ、エストロゲンの分泌量は閉経を迎えるに連れて急激に少なくなります。汗や唾液などを体の外に分泌する外分泌腺は、女性ホルモンに大きな影響を受けます。
更年期の症状の一つで、汗が大量にでるホットフラッシュも外分泌腺の機能の乱れによるものです。更年期のエストロゲンが分泌量が低下することで、口の中の唾液量も少なくなってしまいます。
さらに閉経を迎えた後は、耳の辺りにある耳下腺からの唾液量が減少して行きます。唾液は顎、舌、喉などの箇所になる分泌腺から出ていますが、耳下腺からの量は全体の4分の1を占めているので、年齢を重ねるほどにお口の中が乾燥しやすい状態になるというわけです。
先ほどの項目では、妊娠中はエストロゲンの増加によって、唾液量が少なくなるとご説明しましたね。このように、女性ホルモンは増えても減っても唾液分泌の低下につながるので、常に安定して分泌していることが、唾液量を一定に保つことにつながると言えるでしょう。
自律神経の乱れ
更年期になると、自律神経のバランスも乱れやすくなります。女性の体は一定の生理周期があり、ある一定のリズムでバランスをとっています。
そのリズムの中で、脳の視床下部から卵巣に指令が行き、それを受け卵巣は女性ホルモンを分泌させています。
閉経が近づくにつれ、その指令を受けても十分な女性ホルモンが分泌しなくなります。従来のように脳は機能しているのにもかかわらず、卵巣が今までのように機能しないことから、頭と体の間に混乱がおこります。
このようなホルモンバランスの乱れから、自律神経までもバランスを崩し、様々な不調の原因になってしまうのです。
自律神経が乱れ、主に活動的なモードである交感神経が優位な状態が続くと、ドライマウスになりやすくなるため、口臭へと発展してしまいます。
ドライマウスとは?
ドライマウスは「口腔乾燥症」とも言われ、主に口の中や舌に違和感を感じたり、パサパサ感やネバネバ感などを感じることが多くなります。ひどくなると火傷のようなヒリつきで痛みを感じ、食べ物を飲み込むのもつらいこともあるので軽視できません。これは、 唾液の分泌量が減ってしまうことで起こる症状で、その原因は様々です。
先ほどからのご説明のように、自律神経やホルモンバランスの乱れ、加齢によるもの、ストレス、口呼吸が多い人にも多くみられる症状です。
さらに、胃腸の疾患や糖尿病、シェーグレン症候群といった病気が奥に潜んでいる可能性もあります。気になる時は、一度医師の診断を受けて、健康状態をチェックするのも良いかもしれませんね。
毎日のケアでホルモンに勝つ!
気になる自分の口臭ですが、実際にはどの程度なのかを簡単にチェックすることから始めてみましょう。自分の唾液を指や手などに付けて、そのまま少し時間をおきます。
少し乾燥してきたところで、どの程度の匂いがあるかどうかで判断してみましょう。鼻に付く臭いがある場合は、他人にも感じる口臭がある可能性が高いです。
嫌な口臭を解消するために、自分自身でできるお手入れ方法をいくつか挙げてみますので、ぜひ実践してみてください。
お口の中のお掃除
口臭の原因になるお口の中の汚れは、いくつかの要素が考えられます。その要素をキレイにお掃除することで、唾液量が減っても臭いが少ないことがわかっています。
①歯垢(プラーク)
歯の表面や歯間に、ネバネバした白い物質をみたことがありますか?これは、食べ物のカスを栄養として繁殖した細菌で、歯垢と呼ばれます。
歯垢はそのまま放置すると、カルシウムと結びつき、約2日ほどで石灰化して歯石になってしまいます。歯垢や歯石は、歯周病の原因となり、嫌な臭いを発する口臭の元です。
しっかり歯磨きすることはもちろんですが、定期的に歯医者さんでクリーニングしてもらうことで、口臭を改善できます。
②舌苔(ぜったい)
口臭の強さには、舌がどれだけ汚れているかが大きく左右します。
舌苔は完全に取り除くことは難しいのですが、あまりにも多いと口臭が出やすくなるので、舌専用ブラシを使って、定期的にお掃除して舌苔が分厚くならないように注意しましょう。
③歯周病の改善
歯間ブラシ、デンタルフロスなどを併用して入念にブラッシングすることで、歯周病や歯垢の予防にもなります。歯と歯の間の歯周ポケットもしっかりブラシが入るよう、気をつけながら磨きましょう。差し歯や被せ物も長期間使い続けることで、中が腐食して歯周病になっている場合があります。
歯周病や虫歯は、鼻に付く硫黄に似た臭いを発生させます。これらも、歯医者さんの定期チェックを受けることで、口臭を改善することができますね。
唾液腺のマッサージ
ドライマウスにもとても効果的なのが、唾液腺のマッサージです。年齢を重ねるに連れて、喉や唾液腺の周辺の筋肉が衰えてしまうのも、唾液の分泌量が減少する原因の一つです。
3箇所の唾液腺を心地よく刺激することで、唾液の分泌を促す効果があるので、まずは位置の確認をしておきましょう。
顎の下、ちょうど舌の裏あたりに舌下腺があります。次にそのまま顎のラインを耳まで上がっていく中間に、顎下腺があります。最後に顎のラインの終着点である、耳の前の位置に耳下腺があります。
それぞれから出る唾液の質には違いがあり、サラサラした唾液とネバネバした唾液を分泌しています。この3つの分泌腺を通るように、顎の下から耳の前にかけて、優しく親指の腹をつかってマッサージしていきます。5〜10分ほどで、じんわりと唾液が出てくるのを感じることができるでしょう。
お口の中が、パサついている時は即効性があり、手軽にできることから、知っているととても便利なのでおすすめです。
ホルモンバランスを整える
唾液と密接な関係にある、ホルモンバランスを整えるケアはとても大切です。
激しいダイエットや食生活のバランスが悪い人、睡眠不足やストレスなど生活習慣に問題があると、ホルモンバランスも乱れている可能性が大です。
生理周期にばらつきがあったり、生理の様子に違和感を感じたら、しばらくの間、基礎体温を毎日つけておく事をおすすめします。
基礎体温の測定データは婦人科の診察の際に、医師の診断の大切な材料になります。婦人科では、ホルモンのバランスを整えるいくつかの治療方法があります。
ホルモン補充療法や漢方など、自分に合った治療を診断結果をみながら相談できるので、解決策としては一番の方法と言えるでしょう。
また毎日の生活では、なるべく体が冷えないよう心がけ、大豆イソフラボンやビタミンE、亜鉛など女性ホルモンの分泌を活発にする栄養素を摂り、規則正しい生活を送るよう心がけましょう。
水分をとる
お口の中の粘膜も、体の皮膚の一つです。お肌と同じように、古くなった粘膜はお肌の角質のように剥がれ落ち、その小さなカスも細菌のエサや舌苔の原因になり口臭をまねきます。
ここでも、やはり改善策は唾液の分泌になりますが、分泌を促す方法の一つとして水分補給はとても即効性があります。
剥がれ落ちた老廃物を洗い流し、水を飲むことで唾液の量も増え、一気にお口の中の湿度をあげることができます。
会議や人前で長時間話す機会があるときは、特にお口の中が乾燥しやすくなりますね。その際も、細かく水分補給することで、口臭を予防できるので常備しておくと安心でしょう。
女性の身体を知り改善する
女性なら、相手に自分の口臭が気にならないよう気を配るのがエチケットです。ミントのタブレットなどで一時的に息を爽やかにしたり、ガムを噛んで唾液の量を増やすなど、普段から気をつけている方はとても多いと思います。
女性の口臭の原因を探ってみると、実は自律神経とホルモンという2つの影響が大きいことがおわかりいただけたかと思います。口臭の予防や改善には、この2つのバランスの健康管理がとても重要というわけですね。