きつい口臭でお困りの方へ!漢方で身体の中から治しましょう

体質改善目的で漢方を飲んでいらっしゃる方も多いと思いますが、口臭が気になるような場合にも漢方治療は有効なのでしょうか。

「身体にやさしい漢方で口臭を治したい」「漢方薬を普段から飲んでいるけど、最近になって口臭が気になる」…そんな方のために、今回の記事では口臭の原因別に、どのような漢方薬を利用すればよいのか、紹介していきたいと思います。

柴田はるひ
この記事の監修者
歯科衛生士
歯科医師として、30年近く審美治療にかかわってきて、治療後に患者様の笑顔がより輝いてくることに大きな喜びを感じています。 ホワイトニングや矯正治療後に、「これまでコンプレックスだった箇所が自慢の個所に変わった!」「よく笑うようになった!」など「患者さまの人生を変えることに貢献できた!」と思える瞬間が歯科医師としての一番の喜びだと思っています。最近心に残った言葉は「幸せ」には「人から与えられる幸せ」「自分の力で何かを得る幸せ」「他人に与える幸せ」の3種類あり、「他人に与える幸せ」を知っている人が最高の幸せ者である、という言葉です。 私も人生の折り返し地点を過ぎてきましたので、これからは「他人に与える幸せ」を日々実 践していきたいと考えています。 座右の銘は全ての人を尊重する、日々感謝です。 趣味は格闘技観戦、読書です。
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口臭に漢方は効くの?口臭の原因

口臭を気にして口元をおさえている女性

口臭予防に効果的な漢方薬を紹介する前に、まずはなぜ口臭が発生してしまうのか、その原因について知っておきましょう。原因を知ることによって、効果的に漢方薬を利用することが可能となりますよ。

生理的な口臭

口臭の中には、「生理的口臭」と呼ばれるものがあります。読んで字のごとく、生理現象のようなもので、誰にでも起こりうる口臭ということが可能です。

生理的口臭が現れるのは、朝起きたときや緊張したとき、おなかが空いたときなどで、それぞれ「起床時口臭」「緊張時口臭」「飢餓口臭」と名前が付けられています。

生理的口臭に共通しているのは、口の中にある唾液量が減少したときに起こるという点です。朝起きたら喉がカラカラになっていたり、口の中がネバネバしたりといった経験は、誰でもしたことがあることだと思います。

口の中にある唾液の量が減少すると、口の中にいる細菌が活発に動き始めます。なぜなら、唾液には口の中をキレイに保ったり、細菌の活動を抑制したりする働きがあるからです。

細菌が活性化すると口の中にある食べ物の残りカスを分解して栄養に変えるのですが、その際に揮発性硫黄化合物と呼ばれる物質を出します。

生理的口臭のときに見られる揮発性硫黄化合物は「硫化水素」であることが多いとされます。硫化水素は揮発性硫黄化合物の中では比較的臭いが弱いので、生理的口臭はそれほどキツイ臭いがしないとされます。

よほど顔と顔とを近付けて話をするようなことがなければ、相手に不快感を与えるようなことはありませんし、病気という訳ではないので基本的に治療をおこなうような必要もありません。

病的な口臭

病的な口臭とはその名の通り、何らかの病気が原因となっておこる口臭のことを意味します。病的口臭には、口腔内に問題がある場合に見られる口臭と、口腔外に問題がある場合に見られる口臭の2種類があります。

口腔内に問題がある場合に見られる口臭

口腔内に問題がある場合に見られる口臭の原因として、もっともポピュラーなのが歯周病です。歯周病は20代の人でも70%が、30代以上になると80%もの人が罹患しているとされる、ある意味、日本人の国民病とも言えます。

歯周病は歯周病菌によって歯茎に炎症を起こしたり、腫れを生じたりする疾患です。初期段階では痛みを感じるようなことがなく、歯を磨いたときに出血がみられる程度です。

歯周病が進行すると次第に歯茎が腫れて赤みを帯びてきます。徐々に歯茎の位置が下がって、歯が伸びたように見えることもあります。最終的には歯茎が腐って膿を生じることとなります。

かつて歯周病が歯槽膿漏といわれていたことでも分かるように、歯周病が進行すると膿が生じるのです。そして、歯周病によって生じた膿は、強烈な臭気を放つという特徴があります。歯周病の人の息が臭くなるのはそのためです。

口腔内に問題がある場合に見られる口臭の原因としては、虫歯の存在もあげられています。虫歯が進行すると歯の表面だけではなく、歯根部にまで細菌によって浸食されてしまいます。

虫歯も末期になると歯周病と同様、歯根部に膿を生じるようなことがあります。結果として、口臭がひどくなってしまうという訳なのです。

口腔外に問題がある場合に見られる口臭

病的口臭の中には、口腔外に問題がある場合に見られるタイプの口臭もあります。たとえば、副鼻腔炎が進行して鼻の奥に膿がたまってしまうと、息を吐いたときに膿の悪臭が漂うこととなります。

また、内科系の疾患によって口臭がひどくなるケースもあります。胃の調子が悪い人の息が臭いことを経験的に知っていらっしゃる方も多いことと思います。

その他にも、肝機能障害や腎機能障害、消化器系のトラブルや呼吸器系のトラブルによって口臭がひどくなるケースもあります。

心因性の口臭

心因性の口臭は、「仮性口臭」や「自臭症」とも呼ばれていて、他人には口臭が感じられないにも関わらず、本人は口臭があると信じ込んでいるというタイプの口臭を意味します。

実際に、心因性の口臭に悩んでいる人の呼気に含まれる臭気を測定してみると、正常の範囲内であることが多いということです。

ただ、本人は口臭に悩んでいるので、それを他人に理解してもらえないということが精神的なストレスとなります。

心因性の口臭に関しては、少しでも口臭があって、それに対して過敏になりすぎているのか、それとも、口臭がないにも関わらず、口臭がしていると思いこんでしまっているのか、その辺りの見極めが重要となります。

少しでも口臭がするのであれば、原因を探って治療をおこなうこととなりますし、口臭がないのに、口臭があると思いこんでいるような場合は、心療内科的な治療をおこなう必要があります。

症状別の漢方処方

たくさんの種類の漢方薬

ここまでの説明で、口臭のタイプについての大まかなところは理解して頂けたのではないでしょうか。それでは次に、口臭の症状別にどのような漢方薬がおススメなのか、見ていきたいと思います。

乾燥による口臭

生理的口臭は口の中にある唾液量が減少することによって起こるということでしたが、体内にある水分量が減少することによって、口の中が乾燥するようなケースもあります。

乾燥による口臭かどうかは、舌の状態を見ることによって判別することが可能です。舌の先の方から赤っぽくなってきていて、舌の表面がひび割れているように見える場合、乾燥による口臭である可能性が高いです。

また、干したシイタケが干しシイタケになるように、舌も乾燥すると全体的にしぼんだような印象となります。このような状態が続くと、虫歯や歯周病になるリスクも高くなるため、注意が必要です。

乾燥による口臭が出ているようなときには、ドライアイや「ケンケン」という空咳、乾燥肌や「のぼせ」などが同時に現れるということです。

乾燥による口臭が出ているような場合にオススメの漢方薬としては、「清心蓮子飲(セイシンレンシイン)」や「滋陰降火湯(ジインコウカトウ)」、「麦門冬湯(バクモンドウトウ)」などがあげられています。これらの漢方薬には、体内に潤いを与えてくれる働きがあります。

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痰による内臓性口臭

漢方の世界では、胃腸に負担をかけすぎることによって「胃熱」が発生し、それが「淡湿熱」へと変化するという考え方をしています。このようなときに現れる口臭のことを、「ネットリ型の口臭」とか「ベトベト型の口臭」などと呼んでいます。

ネットリ型の口臭やベトベト型の口臭が出ている場合、舌の奥の方にある舌苔(ぜったい)が、白っぽい色ではなく、黄色っぽい色へと変化しているという現象がみられるようになります。

舌苔は誰にでもあるものですが、量が異常に増えてしまったり、黄色っぽい舌苔に変化したりすることで、口臭のひどくなるリスクが高くなるのです。

なぜなら、黄色い舌苔は細菌繁殖の温床であり、揮発性硫黄化合物を発する原因となってしまうからです。痰というとおじさんが「カーッ、ペッ」と吐くような痰をイメージされる方も多いと思います。

東洋医学の世界では、痰に関してもう少し広い意味で解釈しています。どういうことかというと、身体の中に蓄えられたり、身体の気管にネバネバと貼りついたりする、「病気の原因となるネバネバしたもの」を広く痰と称しているのです。

このような、ネットリ型の口臭やベトベト型の口臭がしているときには、胃もたれや関節痛、下痢や便秘といった排便障害、身体のむくみなどが同時に現れるということなので、参考にしてみてください。

ネットリ型の口臭やベトベト型の口臭が出ているような場合にオススメの漢方薬としては、「竹茹温胆湯(チクジョウンタントウ)」や「半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)」、「茯苓飲(ブクリョウイン)」などがあげられています。

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ドロドロ血液による口臭

血行が悪くなっていたり、動脈硬化が進行していたりするような場合に見られる口臭のことを、漢方の世界ではドロドロ血液による口臭という風に分類しています。

ドロドロ血液による口臭が出ているような場合、舌の色が青紫色に変色していたり、目の下にクマができていたりといった現象がみられるということです。また、歯茎の色もピンク色ではなく紫がかった色に変化します。

ドロドロ血液による口臭が出ているような場合、身体がだるいような感じや動悸、月経不順や月経時の経血の異常、肩こりなどが同時に見られるということです。

ドロドロ血液による口臭が出ているような場合にオススメの漢方薬としては、漢方の世界ではおなじみの「桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)」や「きゅう帰調血飲(キュウキチョウケツイン)」「血府逐瘀湯(ケップチクオトウ)」などがあげられています。

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熱化型口臭

熱化型口臭はその名前からも分かるように、炎症や発赤(ほっせき)をともなうタイプの口臭を意味しています。熱化型口臭が出ているような場合、舌先だけでなく、舌全体が赤くなるという特徴があり、また、頬や耳たぶ、手のひらなども赤くなってきます。

漢方の世界では、このような状態のことを「実熱(じつねつ)」と呼んでいます。体質が実熱に傾くと、口内炎や歯周病になりやすくなるだけでなく、精神的にもイライラしやすくなったり、落ち着きがなくなったりするということです。

特に下記の排膿散及湯は歯周病に対しても効果があり、歯ぐきの腫れや痛み・出血を抑え内側から歯ぐきの状態を正常にしてくれます。

熱化型口臭が現れているようなときにオススメの漢方薬としては、「排膿散及湯(ハイノウサンキュウトウ)」や「黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)」「温清飲(ウンセイイン)」などがあげられています。

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機能低下型口臭

機能低下型口臭は「ヒエヒエ口臭」や「お疲れ口臭」などとも呼ばれ、身体が冷えていたり、疲れていたりするときに現れる口臭だと考えられています。

機能低下型口臭が表れているときには、舌の表面から血色が失われ、舌が白っぽくなります。また、舌の横面が歯の形に合わせてボコボコとへこんでしまうという特徴もあります。

機能低下型口臭が見られるときには、舌だけでなく顔色も青白くなってしまいますし、声にも力がなくなり、元気のない印象を与えることとなります。このようなときには、風邪をひきやすくなるという傾向もみられます。

機能低下型口臭があらわれているような場合、慢性胃炎や慢性疲労、抜け毛、冷え症、不妊症、低血圧や神経衰弱などが同時に見られるということです。

機能低下型口臭に対してオススメの漢方薬としては、「六君子湯(リックンシトウ)」や「十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)」「補中益気湯(ホチュウエッキトウ)」などがあげられています。

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漢方を服用する際のアドバイス

カウンセリングを行う女性看護師

東洋医学的な視点から見ると、口臭もいろんなタイプに分けられることが分かりました。では、それぞれの症状に応じた漢方薬を服用する際に、何か気をつけるべきことはあるのでしょうか。

長期的に服用すること

口臭予防を目的として漢方薬を服用する際には、長期的に服用することが肝心です。漢方薬は西洋医学で用いられる化学的に製造された医薬品とは異なり、自然由来の生薬から作られています。

そのため、身体にかかる負担が少なく、副作用の危険性が低いというメリットがあります。ただ、その分だけ効果も緩やかとなっているので、継続的に服用する必要があるのです。

体質から変えていける

漢方薬の究極の目的は、病気や体調不良になってしまうような体質を改善することです。西洋医学で用いられる医薬品のように、症状を抑えることだけを目的としている(=対症療法)訳ではないのです。

漢方薬を継続的に服用することによって、自分の身体が持っている自然治癒力を最大限に発揮し、病気になりにくい体質に変えていくことが大事なのです。それによって、口臭も出にくくなります。

無料相談へ

漢方治療をとりいれているような歯科医院や口臭外来では、無料で口臭の原因を診断してくれるようなところもあります。口臭があって漢方に興味があるような場合、一度相談してみるとよいでしょう。

内側から口臭を改善するには生活習慣も見直す

サラダを食べる女性

口臭を漢方薬によって予防したり改善したりするというのは、身体の内側から体質を改善することにほかなりません。では、内側から口臭を改善するときには、どのようなことに気をつければよいのでしょう。

酵素が多い食事をとる

人間の体内で起こるすべての化学変化には酵素が用いられるとされています。そのため、フレッシュな野菜や果物から酵素を摂るように心がけましょう。

寝る前に食べない

寝る直前に食事をすると、胃腸にかかる負担が増してしまいます。結果として胃腸不良が起こると、口臭のリスクも増大してしまいます。なるべく21時以降には食事をしないよう心がけましょう。

口臭予防から全身の健康を手に入れる

今回は、東洋医学的な視点から口臭について解説しました。舌の色や状態によって、口臭のタイプが判別できるというのは興味深いですよね。

また、漢方治療は対症療法ではなく、体質改善を目的としているので、長期的に漢方薬を服用して、口臭を予防するだけでなく、病気になりにくい身体を手に入れたいものですね。