便秘と発熱の意外な関係!便秘の原因や改善法も紹介します!

便秘に悩まされている人は多いと思いますが、人によっては便秘のときに発熱が同時に起こることもあります。では、便秘によって発熱するようなことはあるのでしょうか。今回は、便秘と発熱との意外な関係に迫ります。

便秘にともなって発熱が見られることってありませんでしょうか。実は、便秘と発熱には、密接な関係があったということが分かってきています。特に、小さいお子さんの場合、腸内環境のちょっとした変化で、発熱しやすくなるそうです。

今回は、便秘と発熱との意外な関係や、便秘になってしまう原因、便秘の改善法などを紹介したいと思います。

便秘で発熱することってあるの?

悩んでいる女性

便秘にともなって発熱したことがあるという人はどれくらいいらっしゃるのでしょうか。もしかしたら、忘れているだけかもしれませんよ。

便秘で発熱することもある

「便秘にともなって発熱の見られることがあるの?」という質問に対しては、「発熱することもある」と答えるのが正解になるかと思われます。

古代中国でも発熱の原因が便秘だと考えられていたようで、医師の診察を受ける前に、まずは下剤を用いて便を出すということがおこなわれていたそうです。

便秘で発熱するのはプロスタグランジンE2のせい

便秘とは、腸内に便がたまっていて排泄が困難な状態のことを言いますが、そのような状態のとき、腸内では悪玉菌が優位になっています。

悪玉菌が優位になると、ホルモンの一種であるプロスタグランジンE2が産生されやすくなることが分かっています。

プロスタグランジンE2が産生されると、脳の視床下部にある体温調節中枢が、身体の各部に対して熱を上げるように指令を出すということです。これが、便秘と発熱との関係です。

便秘による発熱は大人よりも子供に多い

便秘によって発熱することは科学的に証明できるのですが、大人の人の場合、便秘だからと言って発熱することは少ないのではないでしょうか。

実は、大人になるとプロスタグランジンE2に対する反応が鈍くなるため、発熱が少なくなると考えられているのです。一方、子供はプロスタグランジンE2に対する反応が鋭敏なため、便秘にともなって発熱がみられやすいとされているのです。

便秘の原因ってなに?

ステーキ

便秘になると、発熱だけでなくさまざまな健康上の悪影響がみられるようになります。そんな便秘のそもそもの原因はなんなのでしょうか。主に、以下の3つがリスクファクターとなっているようですよ。

便秘の原因その1・食習慣

便秘の原因としてまずあげられるのが、食習慣です。便は私たちが食べたものの「残骸」のようなものですから、食べたものによって便の状態が変わるのは当然だと言えます。

便秘になる食習慣としてもっともポピュラーなのが、野菜の摂取量が少ないということです。野菜には豊富な食物繊維が含まれており、便秘の予防や改善に効果的だとされています。

食物繊維には不溶性の食物繊維と水溶性の食物繊維の2種類がありますが、それぞれが異なったアプローチ法で便秘を改善してくれます。

不溶性の食物繊維はその名の通り、私たちの持つ消化酵素では溶かすことのできない食物繊維であり、保湿性が高いという特徴があります。

不溶性の食物繊維は、私たちの消化管内にある水分を吸収し、膨張しながらゆっくりと胃から十二指腸、小腸から大腸へと移動していきます。

不溶性の食物繊維が大腸の内部で膨張すれば、便のかさを増すことが可能となり、それによって腸管が刺激されて、便意が起こることとなるのです。

水溶性の食物繊維は、腸内に住んでいる善玉菌のエサとなります。そのため、水溶性の食物繊維を摂取することによって、良好な腸内環境を維持することが可能となるのです。

便秘になってしまう食習慣としては、肉食を中心とした欧米型の食習慣もあげられています。高度経済成長以前の日本では、魚を中心として、野菜や海藻、きのこなどをバランスよく食べていました。

ところが、現在では当時と比べると、1人あたり10倍もの肉類を食べるようになっているということです。お肉に含まれているタンパク質や脂質は、腸内の悪玉菌の大好物です。

ステーキなどの肉類だけでなく、牛丼やハンバーガーなど、手軽に食べられる食事も腸内環境を悪化させ、便秘になる一因となっているのです。

便秘の原因その2・ストレス

便秘の原因としては、ストレスも見過ごすことができません。「ストレスは万病のもと」などともいわれますが、便秘とも密接な関係があります。

現代はストレス社会などといわれますが、ストレス状態が継続すると、私たちの生命活動をコントロールしている自律神経に、アンバランスが生じることとなります。

自律神経は交感神経と副交感神経から成っており、両者がバランスを保つことによって、健康的で快適な生活を営むことができるのです。

交感神経と副交感神経の関係は、よく車のアクセルとブレーキの関係にたとえられます。活動的なときは交感神経が優位になり(アクセルを踏み)、休むときには副交感神経が優位になる(ブレーキを踏む)という訳です。

ところが、ストレス状態が継続すると、交感神経優位の状態が続くこととなります。そうなると、夜寝ている間も緊張状態が続いてしまい、身体を休めることができなくなってしまいます。

私たちが食べたものの消化や吸収は、夜寝ている間に活発におこなわれます。そのため、睡眠の質が低下すると、食べたものの消化や吸収能力も低下してしまうこととなるのです。

また、ストレスによって交感神経優位の状態が続くと、脳の視床下部にある満腹中枢が刺激されにくくなることも分かっています。それによって食べ過ぎてしまうと、必然的に便秘になる可能性が高くなるという訳なのです。

便秘の原因その3・運動不足

便秘の原因としては、運動不足もあげられています。学生のころは部活や体育の授業など、何かと身体を動かす機会もあると思いますが、社会人になるとよほど意識しない限り、運動量が減少することとなります。

運動不足によって筋力が低下すると、腸の蠕動(ぜんどう)が活発におこなわれなくなり、便をスムーズに肛門の手前にある直腸へと送ることができなくなってきます。

また、運動不足によって血行が悪くなると、胃腸の機能も低下しやすくなります。なぜなら、血液が全身に酸素と栄養を運んでいるからです。

現代人の運動不足はよく指摘されるところですが、その原因として、便利になりすぎた世の中ということもあげられます。

運動以外で身体を動かしたときに消費するカロリーのことを「活動代謝」と呼ぶことがあります。たとえば、掃除をしたり買い物をしたり、選択をしたりするときに消費するカロリーが活動代謝に当たります。

現代人の活動代謝は、50年前と比べると6割程度にまで低下しているとされています。なぜなら、お風呂を沸かすのも指1本でできる時代となっているからです。

電化製品にはあたり前のようにリモコンが付いており、座ったままでさまざまな電化製品を使用することができます。このようにして、現代人はどんどん運動不足になっていくわけです。

便秘のタイプを知ろう!

便器に座っている人

便秘になる原因はさまざまですが、実は、便秘のタイプもさまざまです。便秘のタイプによって治療法が正反対になることもあるので、まずは自分がどのタイプの便秘なのかを知るようにしましょう。

便秘のタイプその1・器質性便秘

便秘には、器質性便秘と呼ばれるタイプの便秘があります。器質性便秘は、何らかの病気や腸管の形態異常、腸管の癒着などによって起こる便秘のことを言います。

後に述べる機能性便秘の場合と異なり、器質性便秘は自然に治るようなことはないとされているので、医療機関で適切な治療を受けることが必要となります。

便秘タイプその2・機能性便秘

機能性便秘は、私たちが一般的に「便秘」といった場合にイメージする便秘のことを言います。機能性便秘には、以下のような種類があります。

弛緩性便秘

弛緩性便秘は、高齢者や出産後の女性、筋力の弱い人などによくみられるタイプの便秘です。腹圧が低下することによって、便を直腸に送る機能が低下し、排便が困難となります。

便の形状としては、連続性のない途切れがちな細い便がでるという特徴があげられます。運動不足などによって起こることもあります。

弛緩性の便秘は筋力の低下によって起こるため、日頃から意識して身体を動かすようにするとよいでしょう。

けいれん性便秘

けいれん性便秘は、腸管に緊張が生じることによって便の通り道が狭くなることで起こります。ストレス状態が継続することによって起こるとされています。

けいれん性便秘の場合、便がウサギのフンのようにコロコロと固くなるという特徴があります。どちらかというと女性に多くみられるタイプの便秘だということです。

けいれん性便秘は、主にストレスが原因となっておこるということです。そのため、日頃からストレスをため込まないようにし、適度に発散するよう心がけましょう。

直腸性便秘

直腸性便秘は、その名の通り、直腸に便がたまるタイプの便秘のことを言います。私たちが食べたものは、胃から十二指腸を経由して、小腸から大腸へと運ばれます。

大腸は盲腸と結腸とで構成されており、結腸は上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸と続いています。直腸の先にあるのが肛門という訳です。

直腸性便秘の場合、弛緩性便秘やけいれん性便秘の場合とは異なり、肛門の手前にある直腸まではちゃんと便が送られます。

ところが、便意を上手に脳へと伝えることができないため、排便が困難となるのです。その理由としては、排便を無理に我慢したり、トイレタイムを十分に作れなかったりということがあげられています。

そのことから、直腸性便秘は「習慣性便秘」と呼ばれることもあります。また、直腸性便秘になる理由として、便秘薬を常用することもあげられています。

便秘薬の中には、継続して服用することによって、薬の効果が表れにくくなるものもあります。そうなると、さらに多量の便秘薬を服用するという悪循環へと陥ることになります。

たかが便秘と侮れないのは、直腸性便秘が原因で腸閉そくを起こし、不幸にも亡くなった女性がいるからです。

1998年に起こった事案なので、それほど昔という訳でもありません。奈良県に住む21歳の女性が、1998年に直腸性便秘が原因と思われる腸閉そくで亡くなったという痛ましいニュースがありました。

女性の体型はごく平均的、というよりむしろ痩せ型であったそうなのですが、亡くなったときには腸内になんと6.7kgもの便が詰まっていたということです。

また、亡くなった女性の爪には硬くなった便がこびりついていたそうで、なんとかして便をかきだそうと苦しんでいた様子がうかがえたそうです。

肛門の手前にある直腸には、水分を全く含まないコンクリートのような硬い便が、10cmにもわたって詰まっていたということです。

女性はなくなる1年前から、便秘薬の服用を開始していたということなので、そのことからも習慣性便秘(直腸性便秘)であったと推測されています。

直腸性便秘が疑われる場合、まずは病院を受診して医師のアドバイスを受けましょう。その上で、便秘の改善に取り組むとよいでしょう。

便秘による発熱には解熱剤が必要?

体温計

もし、便秘にともなって発熱がみられるような場合、解熱剤を服用して熱を下げた方がよいのでしょうか。

基本的には必要ない

小さいお子さんが熱を出すと、親御さんとしては心配になりますよね。ただ、熱は理由があって出ているのであり、解熱剤を用いて無理に下げるような必要はありません。

一般的に子供は大人とくらべて高熱が出やすいものですし、熱があっても水分補給ができて元気であれば、無理に熱を下げることはありません。

解熱剤によって無理に熱を下げた場合、身体がウイルスをやっつけようとしているのを邪魔することにもなりかねませんよ。

高熱が続くようであれば用いることも

病院や小児科などを受診すると、38.5度以上の高熱が続き、元気がなくなって、水分の摂取も困難なようであれば、解熱剤の服用が奨められています。

便秘での発熱は子供に多い

便秘と発熱との関係について見てきましたが、いかがだったでしょうか。便秘が原因となって発熱をすることは、科学的に見ても証明されてきているとのことでした。

ただ、大人の場合はあまりそのようなことは起こらないようです。もしお子さんの便秘にともなって発熱がみられるようであれば、状態をしっかりと見極めたうえで、かかりつけ医のお医者さんに相談してくださいね。