肌荒れが気になって皮膚科に行ったとき「ヒルドイド」が処方されたことがあるかもしれません。「ヒルドイド」という名は聞いたことあるけど、何か副作用があるような強い薬だとしたら、使うのに抵抗を感じますよね。そこで、今回は「ヒルドイド」の成分や効果、どんな働きがあるのか、そして正しい使い方について説明したいと思います。
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ヒルドイドの成分と効果
まずは、気になる「ヒルドイド」の成分と、効果について見てみましょう。
ヒルドイドの成分
「ヒルドイド」の主成分は“ヘパリン類似物質”という成分です。わたしたちの体の中にある“ヘパリン”という、水分を保持する役割を持つ成分を低分子化した成分です。低分子化しているため肌の奥に浸透しやすく、基底細胞に働きかけて弱った細胞を修復する効果があると考えられています。
他に含まれている成分は、化粧品などにも使用されているグリセリン・白色ワセリン・スクワランなどの保湿成分や、水と馴染みやすくする界面活性剤などです。
ヒルドイドの種類
「ヒルドイド」には4つの種類があるのでそれぞれ紹介していきます。
- ヒルドイドソフト軟膏・・・油分が強いため人によってはベタつきが気になるかもしれません。しかし、その分肌を覆う力が強く、効果が持続すると考えられます。
- ヒルドイドクリーム・・・軟膏よりも油分が少ないため、ベタつきが気になる方におすすめです。元祖ヒルドイドともいえるクリームですが、軟膏の方が一般的になっているようです。
- ヒルドイドローション・・・最も油分が少ないヒルドイドです。乳液のような塗り心地で伸びが良く、広範囲の使用に適しています。
- ヒルドイドゲル・・・抗炎症血行促進剤。つまり肌の内部のトラブルを緩和する薬です。他のヒルドイドとは異なり油分を含みません。
ヒルドイドの効果
ヒルドイドで得られる、特筆すべき効果は保湿です。ヘパリン類似物質という高い保湿効果のある成分が低分子化されているため、肌のより奥まで浸透し肌の基礎となる部分から保湿してくれるのです。
また、“ヘパリン”には血液の凝固を防止する働きもあります。“ヘパリン類似物質”にも同じような効果があり、血液が固まるのを防ぐ、つまり血液の流れを促進してくれるのです。血液の流れが促進されれば、必然的に代謝も促進され肌のターンオーバーが正常になることも期待できます。
肌荒れの原因はターンオーバーの乱れが大きく関係していることを考えると、ヒルドイドは本質的なところから改善する効果があることが分かりますね。
ヒルドイドのスキンケア効果
ヒルドイドには、スキンケア効果も期待できますが、どのようにケアしていくのでしょうか?
皮膚の深部から保湿していく
ヒルドイドにスキンケア効果を期待できるのは、皮膚の深部から保湿するという働きがあるからです。
ヒルドイドには、保湿力に優れた“ヘパリン類似物質”という低分子化された成分が含まれています。低分子化されたというのは、分子が細かくされていることなので、肌に浸透しやすいということです。
一般的に肌の奥まで浸透する、といわれるヒアルロン酸よりも深くまで浸透し、肌の基底となる部分まで浸透すると考えられています。つまり、肌の基礎の部分から保湿してくれるということです。
肌がしっかり保湿されると、肌のバリア機能が正常に働くようになります。バリア機能が高まれば、肌独自の保湿機能も高まり、健康的な肌になれるのです。
肌荒れにも有効的
肌荒れの多くは、皮膚の乾燥によるバリア機能の乱れ、皮膚のターンオーバーの乱れが原因です。
普通、皮膚は不必要に水分が蒸発しないよう、体本来がもつ保湿成分などで覆われた状態にあります。しかし、何らかの原因で皮膚のターンオーバーが乱れたり、外的要因で乾燥したりすると、バリア機能が乱れて皮膚に隙間ができます。バリア機能が乱れた肌はとても敏感になりますし、この隙間からさらに水分が蒸発して乾燥が進んでしまいます。
しかし、ヒルドイドには肌の深部から保湿してバリア機能を高める効果があります。加えて、血流を良くして肌のターンオーバーを促進する働きもあります。つまり、肌荒れの原因を改善してくれるのです。
肌の悩みに対するヒルドイドの働き
お肌の悩みが全くない、という方は少ないと思います。ヒルドイドには、肌の悩みとなりうるさまざまな肌トラブルにも効果的なのです!
ヒルドイドは肌の深くまで保湿する
肌トラブルの多くは皮膚の乾燥が原因です。肌が乾燥すると、肌を守るバリア機能が崩れます。また、乾燥した皮膚に隙間が生じて雑菌などが侵入しやすくなります。バリア機能が崩れた肌にとっては大きな刺激となり、これが肌トラブルを引き起こすのです。
では、肌トラブルを改善する方法は何でしょうか?そうです!潤いをしっかり与えて肌の乾燥を改善することです。
先程説明した通り、ヒルドイドに含まれる“ヘパリン類似物質”は保湿に優れていて、肌の深部から潤いを与え、バリア機能を高める効果があります。
保湿ケアに優れた保湿剤はいろいろありますが、ヒルドイドは肌の最も深い部分に浸透して保湿するという優れた働きがあるのです。
新陳代謝のアップでシミを薄くする
肌のシミ、特に顔にあるシミはどうにかしたいと思いますよね。ヒルドイドはシミにも効果的です。主に紫外線によるシミ、ニキビ跡や火傷跡など肌トラブルや外傷によるシミに効きます。
シミの原因はターンオーバーの乱れが関係しています。まず、紫外線や肌ダメージを受けると、肌の奥でメラニンがつくられます。普通なら表皮に押し上げられ剥がれてしまうメラニンが、ターンオーバーの乱れにより排出されずに表皮に蓄積することが原因です。このターンオーバーの乱れを解決する方法は、新陳代謝を上げることです。
ヒルドイドには血流を改善し、新陳代謝をアップさせる効果があります。この効果で、肌の代謝を促進しシミを薄くすることを期待できます。
色素沈着が原因のクマを改善
老けた印象を与えたり顔の印象を暗くしたりする目のクマ。クマの原因が色素沈着の場合、ヒルドイドでの改善が可能です。なぜなら、ヒルドイドには血流を促進し、保湿する効果があるからです。
色素沈着でクマができる大きな原因は、メラニンによります。メラニンは肌を守るという大切な働きがありますが、紫外線や刺激を受けると過剰に発生してしまいます。シミと同じように、肌のターンオーバーでやがて消えるのですが、ターンオーバーが乱れると肌が生まれ変われないため、皮膚に残ってしまいます。特に、目の周りの皮膚は、他の部分と比べて薄いため目立ってしまうのです。
ヒルドイドで肌のターンオーバーが改善されれば、クマも改善されるでしょう。
肌の乾燥を防いで目立つ毛穴を改善
毛穴の開きも肌の悩みとなりますよね。毛穴の開きの原因はさまざまですが、その1つが肌の乾燥です。肌が乾燥して水分が不足してしまうと、肌のキメが乱れて毛穴が目立つようになってしまうのです。
また、間違ったスキンケアなどで肌が乾燥すると、肌を乾燥から守ろうとして体は皮脂を過剰に分泌します。すると皮脂腺が発達し、皮脂の出口となる毛穴が開いてしまうのです。
このような肌の乾燥による毛穴の開きを解決する方法は、保湿です。つまり、肌の基礎となる部分から保湿してくれるヒルドイドは効果的ということです。必要な水分を補うことができれば、肌はハリを取り戻し、毛穴を引き締めて目立たなくすることができるでしょう。
血行を良くしてしもやけを治す
寒い冬。特に手足の先などが真っ赤に腫れて、寒いと痛み、温まるとかゆみを生じさせる“しもやけ”に悩まされる方も少なくないでしょう。ヒルドイドはこのしもやけにも効果的です。
しもやけの原因は血行不良です。もともと、手足などの末梢部分の血管は細いため、血行のコントロールがしにくい部分です。しかし、寒さで血管が縮んでさらに血流が悪くなることに加え、暖房などで温まることで血管が拡張されると、血管の収縮と拡張の繰り返しで血液の循環に障害が生じるようになります。こうした血液の流れの乱れが原因となり、しもやけができます。
しかしヒルドイドには、血行を促進するという働きがあるので、しもやけの症状を軽減させることができるのです。
ヒルドイドの副作用
ヒルドイドは、低刺激で赤ちゃんにも使用できる保湿剤なので、副作用の心配はありません。しかし、ヒルドイドには添加物も含まれているので、含まれている成分の内容によっては、まれにアレルギーや皮膚炎の症状が起こる場合もあるようです。
ヒルドイドを製造しているマルホ株式会社の報告によると、ヒルドイドによる副作用の発生率は以下の通りです。
- ヒルドイド軟膏0.3%・・・0%
- ヒルドイドローション0.3%・・・0%
- ヒルドイドクリーム0.3%・・・0.93%
- ヒルドイドゲル0.3%・・・0.63%
クリームとゲルタイプで副作用が見られていますが、1%未満なのでそこまで不安を感じる必要はないでしょう。
ヒルドイドの塗り方
ヒルドイドの副作用を過度に心配する必要はありませんが、正しい方法で使用しましょう。
ヒルドイドを塗る前に塗布部位や手は清潔に
ヒルドイドを塗る前に、塗布部位や手はキレイに洗ってから使用します。肌が不潔な状態で薬を塗るなら、ヒルドイドを塗るときに雑菌やバイ菌を塗り拡げてしまうかもしれないからです。
ヒルドイドを製造しているマルホ株式会社は、入浴後の使用を推奨しています。なぜなら、入浴後なら清潔な状態で塗ることができますし、患部の皮膚が柔らかくなるので薬の吸収が良くなり、より高い効果を得ることができるからです。
優しく皮膚表面に塗り広げるように
塗り薬でやりがちなのが、肌に刷り込むように塗ることです。刷り込んでしまうと、肌に摩擦刺激を与えてしまいます。塗るときは、優しく塗り広げるようにしましょう。
また、塗布量にも気をつけてください。量が少ないと滑りが悪くなり、肌に摩擦刺激を与えてしまうからです。広範囲に塗る場合は、塗布する部分に少しずつ置いていき、手のひらで塗り広げるようにすると、ムラなく摩擦を与えることなく塗布することができます。
ヒルドイドは正しく使用しよう
ヒルドイドは副作用がほとんどなく、安心して使用できること、また肌荒れに効果的な塗り薬であることを説明しました。しかし、どんな薬でも使用方法を守らなければ、予期せぬトラブルをまねいてしまいます。
ヒルドイドも安全性が高いとはいえ、処方されるときに医者や薬剤師から説明があるはずなので、よく聞いて使用方法や塗布量など正しく使用するようにしてください。そうすれば、悩みとなる肌荒れを改善していけるでしょう。