便秘と眠気との関係!もしかしたら自律神経失調症かも!?

便秘で悩まされている方は多いですが、便秘にともなって眠気も見られる場合、どのようなことが考えられるのでしょうか。

便秘と眠気とは直接関係がなさそうですが、両者が同時にみられる場合、もしかしたら自律神経の働きに支障をきたしている可能性があります。今回は、便秘と眠気との関係や、対処法について紹介したいと思います。

便秘と眠気との関係

ソファーに座りながら伸びをしている女性

便秘になる原因は実にさまざまで、それにともなってお腹が痛くなったりお腹が張ったり、排便をしてもスッキリ感が得られなかったりといった症状が表れることがあります。では、便秘にともなって眠気が現れるようなことはあるのでしょうか。

便秘と眠気とは基本的には関係が無い

便秘と眠気との間には、ハッキリとした医学的な因果関係はないように思われます。便秘と眠気をともなうような疾患について触れられることはありますが、便秘によって眠気を発するとする医学的な論拠や論文はないようです。

便秘によって眠気が起こるという説も

「男の品格」や「「20代」でやっておきたいこと」などの著作がある出版プロデューサーであり、生活経済評論家でもある河北義則氏は、その著書である「ずぶとい生き方」の中で、以下のようなことをかいています。

「便秘と眠気の関係については、知り合いのドクターが後解説してくれた。…(中略)消化器官内にムダなものがたまっていることで、眠気を催すことになるというのである」

知り合いのドクターというのがだれのことを指すのかは分かりませんが、医師の中には、便秘と眠気には因果関係があると考えている人もいるということですね。

便秘と眠気があるときに考えられること

聴診器を当てる医師と当てられる患者

便秘によって眠気が起こるということに関しては、エビデンスのある研究結果や論文などはないようです。ただ、そのことと、便秘と眠気が同時に起こらないこととは別問題です。何らかの条件によって、便秘と眠気が同時に起こることも考えられます。

妊娠の可能性

便秘と眠気が同時に見られるときに考えられることとしては、妊娠状態があげられます。女性には生涯で何度か、大きくホルモンバランスの乱れる時期が訪れます。妊娠もそのうちの1つです。

妊娠するとと、女性ホルモンの一種であるプロゲステロン(黄体ホルモンともいいます)の分泌が盛んになり、妊娠状態を維持しようとします。

プロゲステロンには、眠気を増幅させる働きがあることが分かっており、そのため、妊娠初期になると眠気が訪れやすくなります。女性はそれでなくても便秘の人が多いですが、妊娠中には2人に1人が便秘になるともいわれています。

また、プロゲステロンには筋肉を緩める働きもあります。筋肉がゆるむことによって腸の蠕動機能(ぜんどうきのう)が低下すると、便が肛門の手前にある直腸へと送られにくくなり、それによって便秘になると考えられています。

あと、妊娠5週目から妊娠12週目にかけて、つわりがみられることがあります。つわりによって食べられなかったり、食べる量が減少したりすることで便秘になるようなこともあります。

さらに、妊娠中にはお腹の赤ちゃんがだんだんと大きくなってきます。お腹の赤ちゃんによって腸管が圧迫されると、便の通り道が狭くなって便秘になりやすくなるのです。

自律神経失調症の可能性

便秘と眠気が同時に見られるような場合に考えられる疾患としては、自律神経失調症があげられます。自律神経失調症は正確には病名ではありません。

なんらかの症状を訴えて病院に行ったのに、検査をしてもなにも異常がみられないような場合、「自律神経失調症ですね」といわれるようなケースが多々あります。

とは言うものの、人間の生命活動はすべて自律神経の働きによって律されているのですから、何らかの不調がある際に、自律神経のバランスが乱れているのはあたり前です。

つまり、病院で「自律神経失調症ですね」といわれた場合、「私には原因が分かりません」と言っていることと変わらないのです。

それはともかく、自律神経失調症といわれるような状態にある人は、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが乱れているということは確実に言えます。

自律神経とはその名の通り、自らを律している神経のことをいいます。分かりやすくいうと、私たちが特に意識しなくても、勝手に働いてくれる神経のことをいいます。

血液を循環させたり血圧をコントロールしたり、血糖値の調整をしたり体温を調節したり、食べたものの消化や吸収をおこなったりといったことは、すべて自律神経の働きによってコントロールされているのです。

自律神経が乱れる原因としては、ストレスの存在があげられます。日本人は「緊張型」などとよく言われますが、ストレス耐性の低いまじめな人が多いようです。

ストレス状態が継続すると、自律神経の内、交感神経が優位になります。交感神経が優位になると、血管が収縮して血圧が上昇します。

それによって活発に行動できるようになるのですが、ストレス状態が昂じると、夜になっても交感神経優位の状態が継続してしまいます。

本来であれば、夜になると副交感神経が優位になって、身体をリラックスさせ、寝ている間に細胞分裂がおこり、身体の修復や回復がおこなわれることとなります。

ところが、夜になっても交感神経優位の状態が継続した場合、身体をリラックスさせることができず、睡眠の質が低下してしまいます。

私たちが食べたものの消化や吸収は、副交感神経が優位になっている夜間に活発におこなわれるため、交感神経優位の状態が続くと、消化や吸収にも悪影響をきたすこととなります。

また、交感神経優位の状態が続くと、血管が収縮して血行が悪くなってしまいます。血液は全身に酸素と栄養を運んでいるため、血行が悪くなった場所には栄養状態の低下がみられることとなります。

胃や腸の栄養状態が低下すると、食べたものの消化が滞ったり、腸の蠕動運動が弱くなったりして、便秘になるリスクが高くなってしまいます。

食べ過ぎの可能性

便秘と眠気が同時に見られるようなときに考えられることとしては、単に食べ過ぎということもあげられます。子供だけでなく、大人も満腹感を感じると眠気を催すものです。

ただ、食べすぎてしまうと胃腸にかかる負担が増大し、便秘になるリスクも上昇します。とは言うものの、そのようなときに見られる便秘は一過性単純性便秘と呼ばれるタイプの便秘です。

一過性単純性便秘はその名の通り、一過性に見られる単純な便秘であり、慢性化するようなことはありません。いったん排便が見られれば、あとは通常のサイクルでの排便がみられることとなります。

便秘と眠気の改善法

ウォーキングをしている女性

便秘と眠気とがあるような場合、どのようにして改善すればよいのでしょうか。方法としては以下のようなことがあげられます。

便秘と眠気の改善法その1・適度に身体を動かす

便秘と眠気とがあるような場合には、適度に身体を動かすようにしましょう。単純に眠い時に身体を動かすと、眠気を覚ますことが可能です。走りながら寝られる人はいませんよね。

また、運動をすることによって身体を疲れさせると、快適な睡眠を得ることが可能となります。快適な睡眠をとれば、身体の回復も早まることとなりますし、早く寝れば早く起きることにもつながります。

早く起きれば早く寝るわけで、このようなサイクルを確立してあげると、日中に訳もなく眠気が訪れるというような事態を避けることが可能となる訳です。

あと、適度に身体を動かすと、全身の血流が改善することとなります。先ほども述べたように、血液は全身に酸素と栄養を運んでいます。そのため、全身の血行がよくなれば、全身の栄養状態も向上することとなります。

もう1つ、適度に身体を動かすことによって、腸の蠕動運動を活発にすることが可能となります。特に、出産後の女性や高齢者の場合、筋力の低下によって腸の蠕動運動が弱くなり、弛緩性便秘といわれるタイプの便秘になるケースがあります。

弛緩性便秘になると、直腸へと便を送る機能が低下するため、細くて途切れがちな便になってしまいます。そのような場合、できるだけ意識して身体を動かすようにしましょう。

便秘と眠気の改善法2・ストレスを発散する

便秘と眠気とがあるような場合は、ストレスを発散することも心がけましょう。便秘や眠気がある疾患に限ったことではありませんが、ストレスがたまっていていいことはあまりありません。

「この極限のストレスがたまらない」というような人の場合は別ですが、たいていの人にとって、ストレスは精神的にも肉体的にも好ましいものではありません。

ストレスの発散法は人それぞれです。好きなことに没頭するのもいいですし、気の置けない友人と他愛のないおしゃべりをするのもよいでしょう。カラオケで大きな声を出すのもいい憂さ晴らしになります。

また、自律神経失調症の傾向があるような人は、朝早く起きて朝日を浴びるようにしましょう。朝日を浴びると体内時計がリセットされるといわれています。

1日が24時間なのに対して、体内時計は25時間であるとか、24時間10分であるとかいわれています。いずれにせよ、現実の時間と若干のズレがある訳です。

健康的な生活をしていれば、その程度のずれは自然と調節することが可能ですが、ストレス状態にあると、徐々にそのズレによって精神や身体が蝕まれていきます。そのようなときに、朝日を浴びるのが効果的だということです。

便秘と眠気の改善法その3・短時間の仮眠をとる

便秘と眠気がみられるようなときには、短時間の仮眠を取るというのも1つの手です。眠たいのを無理に我慢していても、作業の能率が低下するだけです。

それだったら、10分でも15分でも仮眠をとった方が、あと後の作業能率が上がることとなります。ただし、あまり長時間の睡眠をとってしまうと、身体の方も「お休みモード」にはいってしまうため、起きたときにかえって身体がだるくなってしまいます。

便秘と眠気の改善法その4.病院を受診する

便秘と眠気が見られる場合、改善法として病院を受診するという手もあります。インターネットで「便秘 眠気」などと検索しても、出てくるのは一般人の書いたエビデンスのない記事ばかりです。

そんな記事に惑わされるよりは、便秘や眠気に関するプロフェッショナルがいる病院を受診した方がはるかに効率的です。

素人判断で便秘薬を利用すると、薬への耐性がついてしまい、かえって便秘が悪化することもあります。まずは専門医の判断を仰ぐように心がけましょう。

便秘と眠気の予防法

眩しい朝日が目に飛び込んでくる

ここまで、便秘と眠気が見られるときに考えらえることや、その対処法について解説してきました。でも、そもそも便秘と眠気が起こらなければ、それにこしたことはありませんよね。そこで、便秘と眠気の予防法について考えてみたいと思います。

便秘と眠気の予防法その1・早寝早起き

便秘と眠気を予防する方法としては、早寝早起きがあげられます。まず眠気に関してですが、眠気を感じるのは、睡眠時間が足りないか、夜更かししているかのどちらかです。

睡眠はとりさえすればいつでもよいというものではありません。私たちの体内では、夜寝ている間に成長ホルモンが盛んに分泌され、身体の修復や回復をおこなっているのです。

おなじ6時間寝るのでも、夜の10時から6時間寝るとの、夜中の2時から6時間寝るのとでは意味が違ってくるのです。

また、早寝早起きすれば、身体の回復機能も高まることとなり、結果として便秘の改善にもつながるのです。

便秘と眠気の予防法その2・腹八分目を心がける

便秘と眠気の予防法としては、腹八分目を心がけるということもあげられます。俗にも「腹八分目に医者いらず」といわれるように、食べすぎは体にとって好ましくありません。

食べすぎれば便秘になるリスクが高くなりますし、眠気を催すことにもつながります。ダイエットという観点からも、腹八分目を心がけるようにしたいですね。

基本的には便秘で眠気が増すことはない

便秘と眠気との関係について見てきましたが、いかがだったでしょうか。基本的に、便秘だから眠気が増すようなことはありませんが、なんらかの疾患や妊娠などが原因で、便秘と眠気が同時に現れることもあります。そのようなときには、かかりつけのお医者さんに相談するのが一番ですよ。