風邪をひいた時って便秘になりやすいの?その原因と解消法とは?

風邪を引いたときに、「なんだか便通が悪いな」と感じるようなことってありませんでしょうか。ただでさえ体調が悪いところに持って来て、便秘まで発症すると辛いものですよね。今回の記事では、風邪を引いたときに便秘になってしまう原因と、その解消法について解説していきたいと思います。便秘の予防は、身体全体の調子を整えることにもつながりますよ。

風邪で便秘になりやすい原因とは

下を向いて頭を抱えている女性

それでは早速ですが、風邪を引いたときに便秘になってしまう原因について見ていきたいと思います。便秘の原因を知ることによって、普段から健康状態を保つことができるようになりますよ。

水分が不足している

風邪を引いたときに便秘になってしまう原因の1つとして、水分が不足していることがあげられます。そもそも人間は1日に2リットルから2.5リットルの水を飲む必要があるとされています。

ところが、風邪を引いて発熱した場合など、発汗によって水分が奪われ、それによって体内の水分が不足してしまうのです。体内の水分が不足すると、便からも水分が奪われることとなり、結果として便秘になりやすくなってしまうのです。

また、高熱が続くと水を飲むために起き上がるのも億劫になりますし、高熱によって食事の量が減ったり、運動量が減ったりすることによって、さらに便秘になる確率が高くなってしまいます。

あと、風邪を引いて寝込んでいると、腸の蠕動(ぜんどう)活動が低下してしまいます。そのため、風邪をひくと、便秘になる確率があがるのです。

ちなみに蠕動活動とは、腸管が収縮したり拡張したりすることによって、消化物を肛門の手前にある直腸へと運ぶ働きのことを言います。

自律神経が乱れている

風邪を引いたときに便秘になってしまう原因としては、自律神経の乱れもあげられています。自律神経とは、私たちが特に意識しなくても、勝手に働いてくれる神経のことを言います。

内臓の機能を調節したり血液を循環させたり、体温を調節したり食べたものの消化や吸収をおこなったりするのは、すべて自律神経の働きによります。

仮に「5秒だけでいいから心臓を止めてみて」といわれてもできませんよね。それは、心臓の活動が自律神経によって支えられているからです。

自律神経は交感神経と副交感神経から成っており、両者がバランスを取ることで、私たちの生命活動が円滑におこなわれることとなります。交感神経と副交感神経との関係は、よく車のアクセルとブレーキとの関係にたとえられます。日中、活動的になるときは交感神経が優位になり(アクセルを踏み)、夜になって身体を休めるときには副交感神経が優位になる(ブレーキを踏む)という訳なのです。

ところが、何らかの原因によって自律神経のバランスが乱れると、夜になってもアクセルを踏みっぱなし状態になったり、昼になってもブレーキをかけているような状態になったりします。

ストレス自律神経が乱れる最大の原因がストレスだと考えられています。ストレスは、職場の人間関係の悩みや仕事上のトラブル。家庭内の問題といった精神的ストレスだけを意味するものではありません。
睡眠不足や疲労睡眠不足や疲労の蓄積、暑さ寒さといった気候の変化、排気ガスやタバコの煙、ハウスダストや花粉といった、身体的ストレスも自律神経を乱す元となります。

人間の生命活動にはすべて自律神経がかかわっているので、自律神経のバランスが乱れると、さまざまな弊害が現れることとなります。

自律神経のバランスが乱れた場合、粘膜に悪影響を及ぼします。春先になると花粉症が増えるのは、冬から春へと季節が移り変わる際に、自律神経に乱れが出やすいからなのです。

緊張また、緊張するとお腹が痛くなるなどというケースもありますが、これも胃腸の粘膜に悪影響が及ぶからです。最近になって過敏性腸症候群という言葉をよく耳にするようになりましたが、過敏性腸症候群を発症すると、便秘や下痢といった排便障害がみられることとなります。
食べたものあと、私たちが食べたものは、寝ている間に消化・吸収されることとなります。ところが、自律神経のバランスが乱れ、夜になっても交感神経優位の状態が続くと、食べたものの消化や吸収にも悪影響を及ぼすこととなります。その結果、便秘になりやすくなるのです。

先ほど、自律神経のバランスが乱れると、夜になっても交感神経優位の状態が続くと述べましたが、交感神経優位の状態が続くと、脳内の神経伝達物質の一種であるセロトニンの分泌量が減少します。

セロトニンは、感情をつかさどる扁桃核や、性欲・食欲・睡眠欲といった人間の三大欲求を司る視床下部、また、大脳皮質などに集中しています。

セロトニンの分泌量が減少すると、感情が大きく落ち込むこととなります。これがうつ病を発症する原因の1つと考えられています。

また、セロトニンが視床下部の働きに異常をもたらした場合、食事をしても満腹感を得にくくなります。これは、セロトニンの分泌量が減少することによって、満腹中枢が正常に働かないことに由来します。

結果として必要以上にごはんを食べることとなってしまい、それが便秘につながるという訳なのです。ドカ食いややけ食いにはちゃんとした理由があるということですね。

風邪薬の副作用

風邪を引いたときに便秘になってしまう原因としては、風邪薬の副作用もあげられています。特に、コデインリン酸塩水和物やジヒドロコデインリン酸塩を配合している風邪薬を飲むと、便秘を起こしやすいといわれています。

風邪で便秘になった時の解消法とは

ここまでの説明で、風邪を引いたときに便秘になってしまう原因についてはご理解頂けたことと思います。では、風邪のときに便秘を発症した場合、どのようにして解消するとよいのでしょう。

水分を摂る

水のコップを持って笑っている女性

風邪のときに限った話ではありませんが、便秘がみられる場合には基本的にたくさんの水分を摂取しましょう。水分を摂取することで便に適度な水分が含まれ、排便が容易になります。

私たちが1日の間に摂取すべき水分量は、およそ2リットルから2.5リットルだとされています。もちろん、食事からも水分は摂取できるので、すべてを飲料から摂らなければならないという訳ではありません。

それでも、1日に1リットルから1.5リットルは、飲料から水分を摂取する必要があります。そのため、デスクの片隅やバッグに、飲料の入ったペットボトルを用意しておくとよいでしょう。

植物繊維を積極的に摂る

野菜各種

風邪にともなって便秘がみられる場合には、食物繊維をしっかりと摂取するようにしましょう。食物繊維の中でも水溶性食物繊維は、腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境を改善してくれる働きがあります。

また、不溶性食物繊維は消化管内で水分を吸収して膨張します。それによって腸管が刺激されると、排便しようという信号が脳へと送られることとなります。

水溶性食物繊維を多くふくむ食品としては、コンブやワカメといった海藻類や、こんにゃく、果物、オオムギなどに多く含まれています。

不溶性食物繊維はゴボウやキャベツ、大豆やイモ類、きのこ類などに多く含まれています。これらの食品をバランスよく摂取するようにしましょう。

睡眠を取って自律神経を活溌させる

自律神経のバランスが乱れている自覚がある人は、睡眠をしっかりと取って朝早く起き、脳内時計をリセットして自律神経のバランスを整えましょう。

うつ症状がある人にも言えることですが、朝早くにおひさまの日差しを浴びることで、体内時計がリセットされます。また、朝早くに起きれば、夜になると自然に眠気が訪れます。それによって、生活リズムが正常化されることとなります。

腸内環境を整える整腸剤を服用する

風邪をひくと腸内環境が悪化します。なぜなら、全身の免疫細胞のおよそ70%が腸内に存在しているからです。そこで、整腸剤を用いて腸内環境を改善するという手があります。整腸剤に含まれているビオフェルミンは、善玉菌のエサとなって腸内環境を整えてくれます。

高熱と便秘が続くと危険

ベッドで頭を抱えている女性

風邪にともなって高熱と便秘が続くような場合、思いもよらない疾患を発症している可能性もあります。自己判断やインターネットの情報に惑わされず、病院を受診するようにしましょう。

まとめ

風邪を引いて発熱しているときというのは、身体がウイルスと闘っている証拠です。黄色い鼻水は、ウイルスと闘った白血球の死骸です。無理に解熱剤などで熱を下げる必要はありません。それよりは、今回紹介した便秘解消法を実践することで、身体の回復機能を高めるサポートをしてあげましょう。