便秘を改善するにはどうしたらいい?4つの便秘解消法を紹介

便秘は女性にとって、頭を悩ます問題となっています。では、そもそもなぜ便秘になってしまうのでしょうか。便が作られるメカニズムを知ることで、便秘を効率よく改善できると思います。便秘の原因や解消法とあわせて紹介します。

男性の方でも便秘に悩むことはあるのでしょうが、やはり便秘というと、女性にとってのやっかいな問題というイメージがありますし、実際に便秘に悩まされている女性の方も多くいらっしゃいます。今回の記事では、便秘になってしまう原因やそのメカニズム、そして、便秘の解消法について解説していきたいと思います。

便秘ってなに?

質問マークと美女

便秘を改善するための方法について紹介する前に、まずは便秘とはどのような状態をいうのか、確認しておきたいと思います。どのくらいの間にわたって便通がみられないと、便秘とされるのでしょうか。

便通が滞ること

便秘とは、便の排出が困難となり、腸内に便が滞ってしまっている状態を意味します。ただ、医学的に「これが便秘」と定義するのはなかなか難しいとされています。なぜなら、排便回数は人によって異なるからです。

便秘の目安

便秘の定義はなかなか困難だということでしたが、一般的には週に3回未満しか便通がないと、便秘だとされるようです。

また、1日に1回の排便があったとしても、排便の量が少ない場合や、便が硬くてなかなか排便ができない場合、また、排便と排便との感覚が不規則な場合も便秘とされます。

その他にも、おなかにガスがたまっている感じがしたり、下腹部に張るような感じが見られたり、腹痛をともなったりすることもあります。

日本消化器学会では、1日に3回から4回の排便がみられるような場合でも、3日から4日に1回しか排便がみられないような場合でも、それが長年の生活習慣であり、かつ、苦痛がないようであれば、便秘と考えなくてもよいとしています。

反対に、下剤を用いなければ排便をすることができなかったり、排便が滞るのに加えて腹痛があったりする場合は、便秘として治療をした方がよいとされています。

便秘の種類

便器に座っている女性

一口に便秘と言っても、その症状はさまざまです。一般的には、便秘といった場合、以下のように分類されることが多いようです。

機能性便秘

機能性便秘には、大きく分けて急性の機能性便秘と、慢性の機能性便秘の2種類があります。急性の機能性便秘はその名の通り、急な環境変化などにともなっておこるタイプの便秘を意味します。

たとえば、食物繊維の少ない食事をしたり、水分の摂取量が足りなかったりすることで、急性の機能性便秘を起こすことがあります。また、海外旅行などの環境変化や、手術などをした後に寝たきりの生活をしていて、筋力が低下することなども急性の機能性便秘の原因とされています。

一般的に便秘といった場合、慢性の機能性便秘を指すことが多いようです。慢性の機能性便秘の原因としては、老化による腸の働きの低下や、運動不足による筋力の低下などがあげられています。このような便秘のことを弛緩性の便秘ということもあります。

また、便意を無理に我慢したり、下剤や浣腸を乱用したりすることによって、慢性の機能性便秘になるリスクが高くなるということです。前者のことを直腸性の便秘、後者のことを痙攣性の便秘ということもあります。

器質性便秘

器質性便秘は、消化管(胃や腸、肛門など)になんらかの疾患を有している人に見られるタイプの便秘です。腸管が狭くなるタイプの狭窄性の器質性便秘と、腸管の狭窄が見られない非狭窄性の器質性便秘とがあります。

器質性便秘の特徴としては、便秘にともなってお腹が強く痛んだり、吐き気や嘔吐をともなったり、便に血液が混じったりすることがあげられます。

また、これまで便秘ではなかったのに急に便秘になったり、発熱したりといった特徴もあります。大腸癌や虚血性大腸炎などの可能性もあるため、病院の受診が推奨されています。

その他の便秘

機能性便秘と器質性便秘以外の便秘としては、薬の副作用として起こるタイプの便秘もあります。たとえば、手術のときの麻酔薬によって腸の機能が低下し、便秘になることがあります。

また、ドセタキセルやバクリタキセル、ビンブラスチンやビンデシン、ビンクリスチンといった抗ガン剤を服用することで便秘になるケースもあるということです。

便が作られるメカニズム

朝のイラストのTシャツを着ている女性

便秘の解消法を知るためには、まず便が作られるメカニズムについて知っておく必要があります。どこに問題があるのかによって、便秘のタイプや便秘の解消法が異なってきますよ。

便の作られ方

私たちが食べたものは、まず口腔内で唾液と混ざり合い、消化しやすい状態になります。その後、胃で消化をおこない、十二指腸でさらにドロドロの状態になります。次に小腸で栄養素が消化され、大腸で水分が吸収されて、便が作られることとなるのです。

小腸の次に大腸がある訳ですが、大腸は結腸と直腸、そして肛門に分けられます。小腸の次にあるのが結腸ですが、便の通る順に上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸となっています。

腸が便を送る際の運動のことを「蠕動(ぜんどう)」と呼んでいますが、横行結腸における蠕動が弱い場合、便を送り出す働きも弱くなるため、「弛緩性の便秘」になるリスクが高くなります。デスクワークをしている人や、運動不足の人に見られやすいタイプの便秘です。

反対に、蠕動が強すぎることによって下行結腸の緊張が強くなると、腸が痙攣を起こしたような状態になる「痙攣性の便秘」になる可能性が高くなります。ストレスフルな生活をしている人に見られるタイプの便秘です。

また、朝の時間が慌ただしくて、トイレに行く時間を確保できない場合や、学校や職場のトイレで排便するのが恥ずかしくて我慢するような場合、「直腸性の便秘」になる可能性が高くなります。

便が臭い理由

鼻を覆っている女性

腸内には無数の細菌が存在していますが、便が腸内に長い間留まることによって、悪玉菌のエサとなってしまいます。

それによって、クロストリジウムという悪玉菌が増殖したり、アンモニアや硫化水素といったニオイ物質が発生したりすることによって、便秘の便は臭くなってしまうのです。

便が排出されるまでの時間

時計を持っている女性

私たちが食べたり飲んだりしたものは、まず口から胃に送られます。食べたものが胃に到達するまでの時間はおよそ30秒から1分、飲んだものが胃に到達するまでの時間はおよそ1秒から6秒だとされています。

次に、食べたものが胃で消化されることとなる訳ですが、胃液によって脂質やタンパク質が分解され、食べたものはドロドロのおかゆ状になります。食べたものが胃に滞在する時間はおよそ4時間とされています。

ドロドロのおかゆ状になった食べ物は、さらに十二指腸が分泌する胆汁や膵液によって消化・分解されます。その後、小腸で栄養素の吸収がおこなわれます。食べたものが十二指腸や小腸に滞在する時間はおよそ7時間から9時間とされています。

最後に、ドロドロのおかゆ状になった食べ物は大腸に送られ、水分が吸収されることとなります。水分の吸収が足りないと下痢になり、大腸内に長くとどまることで水分が吸収され過ぎると便秘になるという訳です。

食べたものが大腸に留まる時間は、およそ25時間から30時間とされています。そのため、便が排出されるまでの時間は、およそ1日半から3日程度となるのです。

いい便と悪い便

便は健康のバロメーターなどと言われますが、どのような便がいい便で、どのような便が悪い便なのでしょうか。

まず、いい便はするっと肛門から滑り出て、バナナのような形をした黄褐色の便です。太くて硬い便が出る場合は、弛緩性の便秘が疑われます。

また、ウサギの糞のようなコロコロとして便が出る場合は痙攣性の便秘が、固い便が少ししか出ないような場合は直腸性の便秘が疑われます。

便秘になる原因5つ

疲れている女性

便秘のタイプや便秘になるメカニズムについては分かりましたが、そもそも便秘になってしまう原因はなんなのでしょう。主な原因としては以下のようなことが考えられます。

便秘になる原因①運動不足

便秘になる原因としては、運動不足があげられています。運動不足によって腸の蠕動が弱くなると、弛緩性の便秘になる可能性が高くなります。

便秘になる原因②睡眠不足

私たちの体内では、寝ている間に身体の修復や細胞分裂、食べたものの消化や吸収が活発になります。ところが、睡眠不足が続くとそれらの機能が低下するため、便秘になる可能性が高くなります。

便秘になる原因③水分不足

正常な便には、適度の水分が含まれています。水分量が多過ぎれば下痢便となり、水分量が少な過ぎれば便秘となる訳です。

人間は1日の間に2リットルから2.5リットルの水分を摂取する必要があるとされています。ところが、デスクワークなどに集中していると、ついつい水分の摂取を怠りがちになってしまいます。

デスクワークの人に便秘が多いのは、運動不足という原因もあるのですが、水分の摂取量が低いという原因も考えられるのです。

便秘になる原因④食物繊維不足

便秘というと食物繊維という言葉がセットのように見られるように、食物繊維の摂取量が不足すると、便秘になる可能性が高くなります。

便秘になる原因⑤ストレス

ストレスは万病の元などと言いますが、便の状態もストレスによって左右されます。なぜなら、ストレス状態が継続した場合、自律神経のバランスが乱れるからです。

自律神経は交感神経と副交感神経から成っており、私体の生命活動を自律的に支えるという働きを持っています。

そのため、自律神経のバランスが乱れると、食べたものの消化や吸収にも悪影響を及ぼし、便秘や下痢といった排便障害が見られることとなるのです。

4つの便秘解消法

4本の指を出している女性

ここまでの説明で、便秘の原因は実にさまざまであることが分かって頂けたことと思います。では、便秘になった場合、どのようにして改善すればよいのでしょう。ここでは、4つの便秘解消法を紹介したいと思います。

適度に身体を動かす

便秘の解消法としては、適度に身体を動かすということがあげられます。特に、デスクワークなどで運動不足気味の人におススメの便秘解消法となっています。

便秘の原因の1つとして運動不足があげられていましたが、運動不足になると腸の蠕動が弱くなるため、便を直腸へと送る働きも弱くなってしまうのです。

適度に身体を動かすことで腸の蠕動を正常にし、便秘の解消が期待できます。運動する時間を作れないという方は、エレベーターやエスカレーターの代わりに階段を使ったり、一駅前で下りて歩いたりするなど工夫するとよいでしょう。

生活習慣の改善

眠っている女性

睡眠不足や疲労状態が継続すると、便秘になる可能性が高くなるだけでなく、身体の免疫機能が低下し、さまざまな疾患を発症するリスクが高くなります。

疲労の回復法はいろいろありますが、睡眠に勝る回復法はありません。早寝早起きをすることで身体のリズムを整えてあげれば、朝、自然に便意が起こるようになりますよ。

食習慣の改善

サラダ

便秘の解消法としては、食習慣を改善するという手もあります。特に、食物繊維が不足していると便秘になりやすいので、野菜や果物を積極的に摂るようにしましょう。

食物繊維には水溶性の食物繊維と不溶性の食物繊維とがあり、いずれも便秘の解消に効果的です。ただし、便がカチカチになって出てこないタイプの便秘の場合、不溶性の食物繊維を摂取すると、かえって便秘がひどくなる可能性もあります。

不溶性の食物繊維には、保湿性が高く、消化管内で水分を吸収し、膨張するという特徴があります。

腸管内で不溶性の食物繊維が膨張することで、便意を刺激することが可能となるため、便意が訪れにくいタイプの便秘には効果的です。

水溶性の食物繊維は、腸管内で糖質を包み込み、腸管への吸収を妨げてくれる働きがあります。そのため、ダイエットをしたい人は水溶性の食物繊維を積極的に摂るといいですよ。

ストレス解消

カーテンを引っ張って入り女性

ストレスは万病の元と言われるように、排便に関しても悪影響を与えます。そのため、適度にストレスを解消することが重要となります。

ストレスの解消法は人それぞれですが、なにか好きなことに没頭したり、美味しい食べ物を食べたり、気の置けない友人とおしゃべりをしたり、カラオケで大きな声を出したりするとよいでしょう。

慢性化しないように注意しましょう

今回の記事では、便秘になってしまう原因や便秘のタイプ、また、便秘の解消法について解説しました。便秘は不愉快なだけでなく、慢性化すると口臭などのさまざまな悪影響が現れます。

便の状態は健康状態を知るためのバロメーターにもなります。毎日便通があるのが一番ですが、排便の回数は人それぞれです。そのため、便の形状や色を確認し、異常が見られる場合は早めの対処を心がけましょう。