身体を動かして便秘を解消しよう!おすすめの種類別運動法ご紹介

便秘で悩んでいる女性はかなり多いとみられ、便秘が原因で大きな病気を引き起こることもあり、便秘は切実な問題です。

そこで、今回は、少しでも便秘を解消できるように、便秘で困った時に効果的な運動法を紹介します。

マッサージ、腹筋、ストレスの3部構成にしてわかりやすくしましたので、便秘に悩んでらっしゃる方は、ぜひ参考にしてください。

便秘について

便器に座っている女性

便秘とは

便秘とは、腸に便がたまって身体の外の排出するのが難しくなった状態のことです。

ひとことで便秘といっても、便秘にはいろいろな状態があります。便秘を大きくわけると、機能性便秘と器質性便秘にわけることができます。機能性便秘とは、大腸の働きが悪くなって起こる便秘のことです。一方、器質性便秘とは、大腸そのものに原因のある便秘のことです。一般的に便秘というと前者を指します。

大腸の機能の悪化は、おおむね4つの状態が考えられます。腹筋の低下、ストレス、我慢し過ぎ、食事の偏りです。言い方を変えれば、これらの原因にアプローチすることで、便秘の解消が図れるわけです。

便秘からなる健康障害

お腹を抱えている女性

便秘は、身体全体に悪い影響を及ぼします。多いのが、肌荒れや吹き出物です。便秘になり、おなかの中に古い便が残ったままになると、おなかの中で便の腐敗が進行します。

腐敗した便からは悪玉菌がどんどん生み出されていきます。悪玉菌は身体にとって有害となる毒素を産生します。腸は、食べたものを消化吸収し、新しく得た栄養を全身に送り届けるために腸の粘膜から血液に取り込ませる役割を持っています。

ところが、毒素を産生していると、この毒素も栄養素と同じく腸粘膜から血液中に取り込まれ、全身を巡っていくことになります。この毒素がお肌に届くと、肌荒れを起こしたり、吹き出物を作ったりします。

また、この毒素は、血液の流れを悪くさせるので、血行不良による冷え性やむくみの原因にもなります。便秘になると、便がおなかの中に長時間にわたって留まるため、水分がどんどん吸収されて硬い便になっていきます。

その硬くなった便を無理に排出させようとすることで、肛門が傷つき、いわゆる痔になってしまうこともあります。痔には、切れ痔やいぼ痔などいろいろありますが、便秘はそれらどちらの原因にもなり得ます。

便秘が原因の病気

便秘は、病気の原因にもなります。便秘との関連性が示唆されているのが、大腸がんです。

もともと日本人は胃がんが多く大腸がんは少なかったのですが、近年大腸がんは増加傾向にあります。その背景には食生活の欧米化(実は欧米では大腸がんが多いのです。)もあるのではないかといわれています。

便秘になると、前述したように悪玉菌の増加によって多くの毒素が産生され、腸内環境が悪くなってしまいます。大腸がんの発症原因は明確には特定されていませんが、毒素の酸性による腸の環境悪化も発症のリスク要因のひとつではないかとも考えられています。

その他にも、大腸ポリープ、腸狭窄、腸閉塞、子宮筋腫などいろいろな病気を引き起こす可能性が示唆されています。便秘を軽く見てはいけないことが理解できますね。

自律神経にも悪影響

自律神経とは、生命を維持するために、意識することなく24時間にわたって自動的に働き続けている神経のことで、交感神経と副交感神経から成り立ってます。

交感神経は身体が活動している時に優位になる神経、副交感神経は身体を休めている時に優位になる神経のことで、両者は交互に優位になり、同時に優位になることはありません。

簡単にいうと、日中は交感神経が優位、夜間は副交感神経が優位といった感じになりますが、食事をしたり、お風呂に入ったりしているときは、たとえ日中でも副交感神経が優位になります。

便秘に関係するところでは、胃腸での消化吸収が行なわれるときは、副交感神経が優位になり、栄養の吸収や便の排泄が促されます。

自律神経の乱れとは、交感神経と副交感神経がバランスよく働かなくなった状態のことを指します。便秘になると、腸の働きが悪くなってしまいます。

腸では、食べ物をどんどん先に送り出す蠕動運動という動きをしています。まず、便が腸の中で滞ってしまうことで、蠕動運動が悪化します。そして、ますます詰まってしまうことで、胃にも胃痛や胃もたれ、胸やけなどの症状が現れてくるようになります。

こうして消化器系の働きが悪くなることが、自律神経の乱れを引き起こし、日常生活にも影響していきます。便秘は、身体を制御している自律神経を通じて全身にも影響していくのです。

簡単な便秘解消運動1・マッサージ系

お腹に両手を置いている写真

ツボ押し

便秘に効くツボもあります。便秘には、間使(かんし)という手首の下の方にあるツボが効果的です。

間使の場所ですが、手首から指4本分くらいの位置で、うでの内側の左右中央あたりにあります。ここにおや指をあてて、ゆっくりともみます。その時間は2〜3分くらい。このとき、残りの指で腕を支えるようにすれば、押さえやすいですね。

左右両方の腕の間使をもんでください。もんでいるうちに、腸の動きが活発になってきます。

腸もみ(小林式)

腸もみとは、順天堂大学医学部の小林弘幸教授が考案したわずか3分間でできる便秘解消マッサージ法です。

腸もみでは、皮膚の上から大腸の四隅にふれて直接マッサージをします。この刺激によって腸の機能を高め、便秘を解消するのが目的です。

もむべきところは、4箇所だけ。くねくねと複雑な形をした小腸の続きに大腸があり、食べたものは小腸から大腸へと送られていきます。

大腸の形はいたってシンプル。右の腰骨あたりからまず上にまっすぐ上がり、角(右の肋骨の下あたり)まで届くと左へ横向きになります。また角(左の肋骨の下あたり)に達するとまっすぐに下におります。最後のコーナー(左の腰骨あたり)で右に曲がり直腸に至ります。

便は、この4カ所のコーナーで動きにくくなり滞りやすい傾向があります。そこでこの部分の動きを良くすれば便秘になりにくくなるわけです。

腸もみでマッサージする四隅とは、正にこの大腸の曲がるコーナーのところのことです。腸もみの方法は、とても簡単です。

腸もみの方法

  1. 左手を左側の肋骨に下に、右手を右側の腰骨あたりに当てます。
  2. そこをぎゅっとつかみ、ゆっくりともみほぐします。
  3. その後、両側共に上下を反対に入れ替え、合計で3分間くらいするだけです。

これを朝と夜の1日2回します。ただし、食後1時間はしないように注意してください。

腸さすり

腸もみでは効果が出てこない時もあります。そんなときは、腸さすりも組み合わせて、さらに腸の動きを促進させてみると効果的です。

腸さすりの方法

  1. 右の手をおわんのような形に丸めて、おへその上に置きます。
  2. すると、手根とよばれる手のひらの下部(手首の上あたりの軟らかいところ)と指先がお腹に触れるようになります。
  3. そのまま右から左へ、そして反対に左から右へと平行にゆっくり交互にさすります。
  4. 慣れてくれば、手はおへその上の最初に置いたところから動かさないで、小刻みにスピードを上げてさすってください。

これを合計で3分間程度するだけで、適度に腸が刺激されます。腸さすりも、このようにいたってシンプルな方法ですので誰にでも簡単に出来ます。

出典元:下腹ポッコリの便秘、たった3分の「腸もみ」で改善

腰あったかマッサージ

マッサージも、便秘解消に役立ちますよ。中でもおすすめなのが、腰あったかマッサージです。これも簡単なので、試してみてください。

  1. まず、背筋をまっすぐに伸ばします。
  2. 腰の下側から上方へ向けて、左右の手のひらで背中を包むようにしながらさすります。
  3. 上向きにさするときは手の指に、下向きにさするときは、手のひらを使うことがポイントです。
  4. 繰り返していくうちに腰の血行が良くなり、次第に温かくなってきます。

腰の血行が良くなると、便秘もきっと解消できますよ。

簡単な便秘解消運動2・腹筋を鍛える

腹筋のトレーニングをしている女性

腹筋が弱くなることは、便を送る力が低下してしまうことを意味していますので、便秘の原因になります。そこで、腹筋を鍛えて便秘を解消しましょう。

おへそのぞき

「おへそのぞき」っておもしろい言葉ですが、これは実はとても簡単ながら腹筋を鍛える方法のひとつです。

おへそのぞきの方法

  1. まず、両手を頭の後ろで組んで、仰向けにごろんと寝転びます。
  2. そして、息を吐き出しながら、自分のおへそをのぞきこむように、ゆっくりと頭を上げていきます。
  3. この姿勢をおよそ5秒間くらい保ちます。
  4. 息を吐ききったら、つぎは息を吸い込みながらゆっくりと頭を下げていきます。
  5. これを5〜10回くらい繰り返すのです。

簡単でしょう。腹筋が弱くてなかなか出来ないという方でもこれなら挑戦しやすいはずです。さぁ、一度挑戦してみましょう。

足上げ

足を上げることで腹筋を鍛える体操です。

足上げの方法

  1. まず、手は身体の横にして、仰向けに寝ます。
  2. ひざをピンと伸ばして、そのまま足を30[cm]くらいうえに持ち上げます。
  3. その状態を5〜10秒間くらい維持しましょう。
  4. これを数回繰り返します。

コの字体操

コの字体操とは身体をコのカタチにして腹筋を鍛える体操です。

コの字体操の方法

  1. まず仰向けになって寝ましょう。
  2. 肘や膝を伸ばしながら、両手足をゆっくりと上に上げましょう。
  3. 上がりきったら数秒間そのままの状態を保ちましょう。
  4. そして、息を吐き出しながら両手足を振り下ろし、その反動で起き上がります。

これを数回繰り返しましょう。

斜め腹筋

斜め腹筋は、サイドクランチとよばれる腹筋のトレーニング法のひとつです。身体をひねったり曲げたりする斜め腹筋を鍛えることで、おなかの中の食べ物を先へ先へとおくりやすくします。

斜め腹筋の方法

  1. まず横向きに寝ます。このとき、膝を少し曲げるとバランスがとりやすくなりますよ。
  2. 上側にあたる手は耳のあたりに、下側になる手はおなかに当てましょう。
  3. そして、上半身を横方向に丸めるイメージで持ち上げます。それほど上がりませんが、少なくとも数秒間はその姿勢を維持しましょう。
  4. これを左右で20回ずつ、3セットはしてください。

ウォーキング

走っている女性

多くの便秘が筋力の低下によって起こることを考えると、運動不足による筋力低下の影響は無視できません。

そこで、ウォーキングをするのです。ウォーキングは全身運動です。ウォーキングは簡単ですし、なにより全身の筋力を保つ効果が期待できます。

ウォーキングの時間をとらなくても、たとえば毎日の通勤通学のときに、乗り物の利用を減らす、エレベーターやエスカレーターを使わず、階段で上り下りする、これだけでも十分効果が得られます。

日常生活で、ちょっと工夫して歩く量を増やすようにしてみて下さい。

簡単な便秘解消運動3・ストレス解消

両手でハートを作っている女性

セルエクササイズ

セルエクササイズも、前述の小林教授の考案した便秘を治すエクササイズのひとつです。ストレスによって生じた便秘の解消に効果があるとされています。

まず、両足を肩幅くらい開けてまっすぐ立ちます。そして両腕をまっすぐ上に上げて、肘までしっかり伸ばしましょう。左右の手首は交差させた上で、手のひら同士を合わせます。この状態のままで、ゆっくりと横方向に上半身を倒します。これを左右に10回ずつします。

つぎに、両側の腕を頭上に向けてあげたままの状態で、ゆっくりと大きく円を描くように回します。1週したら反対周りで1週回してください。ここまでが1セットで、10セットを目安にやってみましょう。

なお、ストレスを感じると、身体は交感神経が優位になる傾向があります。そこで、セルエクササイズは、日中にするよりも、副交感神経が優位になる夜にするのがいいとされています。

寝る前にすることで、眠っている間の腸の状態を活発化させ、目覚めた後の便通を促進させましょう。

腸ヨガ

便秘を解消させるエクササイズに、「腸ヨガ」があります。

腸ヨガは、朝と夜の1日2回、2週間行ないます。それぞれ2ポーズ、合計で2分間しますが、ポーズは朝と夜で異なります。それぞれのポーズでは、5回呼吸をします。

腸ヨガで大切なのが呼吸法です。呼吸の基本は、「ハぁ〜っ」と声を出しながらおなかから息を吐きだし、吐ききったら今度は、鼻からゆっくりと吸い込むことです。息を吐くときは、肩の力を抜くようなイメージですると、リラックスしやすいのでいいですね。

朝のポーズは、「マーメイド」と「ヨット」

「マーメイド」
  1. 横向きに寝て、下の腕を伸ばして、その上腕の上に頭を乗せます。
  2. そして、下半身を締めながら脚を上げていきます。
  3. この状態で、5回呼吸します。
  4. 呼吸を5回したら、反対向きになって、同じようにしましょう
「ヨット」
  1. 脚をまっすぐ伸ばして座り、どちらか片側の足を立てます。
  2. 立てた足の膝に肘を当て、5回呼吸します。
  3. 終わったら反対向きになって、同じようにしてください。

夜のポーズは、「ネコ」と「バッタ」

「ネコ」
  1. 四つん這いの姿勢になって、手を前方に滑らせいき、額が床につくまで頭を下げます。
  2. この姿勢で5回呼吸します。
「バッタ」
  1. うつ伏せの姿勢でします。
  2. うつ伏せになってから、左右の手を背中側で組みます。
  3. そして、肩と足を上に上げます。この姿勢で、5回呼吸をします。

腸ヨガは、簡単なポーズですが腸内環境を改善させて、腸が持っている蠕動運動が適正に機能出来るようにします。便秘だけでなく、下痢を含め、腸に関わる症状の改善が期待できます。

腹式呼吸

呼吸の仕方も、便秘に影響します。呼吸法は、男性と女性とで違うことはご存知でしょうか?一般に男性は腹式呼吸、女性は胸式呼吸で呼吸しています。便秘解消には、腹式呼吸のほうがいいといわれています。

まず、背筋を伸ばしてまっすぐな姿勢になります。肩の力を抜き、鼻からゆっくりと4秒くらいかけて息を吸い込みましょう。このとき、両の肩があまり上がりすぎないように注意して、お腹を膨らまして息を吸ってくださいね。

次は、息を吐く段階です。口元の緊張をゆるめ、8秒くらいかけてゆっくりとお腹をへこませながら息を吐き出しましょう。吸った時間の倍くらい時間をかけてゆっくりと吐き出すことがポイントです。このとき、お腹に手を当てていると、お腹の動きがイメージしやすく効果的です。

症状に合わせてトライしてみて

便秘は、単におなかの中に便がたまっただけの状態ではありません。自律神経を乱して身体の調子を悪くさせたり、大腸がんや大腸ポリープなどおなかの病気を引き起こしたり、軽いところでは肌荒れの原因になったりします。やはり、便秘は放置せずに、解消させましょう。

便秘を解消させるには、運動が効果的です。便秘解消運動は、マッサージ系、腹筋系、ストレス解消系の3つにわけられます。ご自身の症状に合った方法を選んで、一度トライしてみてください。