最近よくテレビ番組などにも出ている、順天堂大学医学部付属順天堂医院の小林弘幸先生によると、便秘の原因は「むくみ腸」であるということです。では、むくみ腸とはどのような状態の腸のことを言うのでしょう。小林先生は自律神経の働きについても注目されているので、あわせて解説していきたいと思います。
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便秘の原因になるむくみ腸ってなに?
便秘を専門としている順天堂大学医学部付属順天堂医院の小林弘幸先生によると、便秘の原因は腸がむくむことだとされています。では、むくみ腸とはなんなのでしょうか。
腸にむくみが見られることで便秘になる
むくみとは、体内の水分量が多い状態のことを意味します。そして、むくみには血液の循環が大きくかかわっているとされています。
足の血液循環が悪くなると、足がパンパンにむくんでしまうように、腸の血液循環が悪くなることで、腸にむくみが生じてしまうという訳なのです。
むくみ腸で便秘になっている人の特徴
むくみ腸が原因となって便秘になっている人の特徴としては、便の臭いがきついことや排便をしてもできった感じがしないこと、下剤をしばしば使用していることなどがあげられます。
むくみ腸による便秘の改善法
むくみ腸が原因で便秘になっているような場合、どのようにして改善するのが効果的なのでしょうか。大きく分けて、以下の2つの方法があります。
むくみ腸による便秘の改善法その1・食習慣の改善
むくみ腸による便秘を改善するためには、まず食習慣の見直しが重要となります。なぜなら、便は私たちが食べたものの「残りカス」のようなものであり、便の状態は食べたものの影響を受けるからです。
食習慣に関しては、「3食をきっちり摂った方がいい」という医師もいれば、「1日1食で構わない」という医師もおり、また「1日に2食がいい」とする医師もいます。
専門家によって意見が分かれていることからも、どのような食習慣が正しいのか分かりにくいですよね。1つだけ言えることは、ちゃんと食欲があるときに食べること、そして、食事のリズムを保つことが重要だということです。
食べたり食べなかったり、1食だけドカ食いをしたり、夜の遅い時間に食べたりと、食事のリズムが乱れることによって、胃腸の活動にも支障をきたしてしまいます。
暴飲暴食などは論外ですが、毎日、決まった時間に食事を摂るようにすることが重要です。また、食物繊維を多く含む食品をとるようこころがけるようにしましょう。
便秘になる原因としては、水分不足もあげられます。むくみ腸だからと言って水分の摂取量を減らしてしまうと、かえって便秘の悪化することがあります。
むくみ腸になる原因は、水分の摂りすぎというよりは血行不良です。便の水分量を適切なものとするためにも、水分補給を欠かさないようにしましょう。
一般的に、私たちは1日当たり2リットルから2.5リットルの水分をとる必要があるとされています。もちろん、食事にも水分が含まれているので、すべてを水やお茶から摂る必要がある訳ではありません。
とは言うものの、1リットルから1.5リットルの水分補給が必要となるわけです。ところが、仕事に集中していると、ついつい水分補給を怠ってしまいがちです。
デスクの片隅にペットボトルを置いておき、ちょくちょく水分補給するようにしましょう。また、食事の際にも水分をとることを忘れないようにしてくださいね。
むくみ腸による便秘の改善法その2・エクササイズ
むくみ腸による便秘を改善する方法としては、エクササイズもあげられています。むくみ腸になる原因として血行不良があげられていましたが、運動不足になると全身の血液循環にも悪影響を及ぼすこととなります。
また、便秘になる原因の1つとして、腸の蠕動(ぜんどう)が弱くなるということがあげられます。腸が蠕動することで腸内の消化物が肛門の手前にある直腸まで送られるのですが、蠕動が弱くなると、必然的に便秘になってしまいます。
腸の蠕動が弱くなる原因として、筋力の低下による腹圧の低下があげられています。そのため、運動やエクササイズをおこなうことで、腸の蠕動を強くすることが必要となるのです。
むくみ腸による便秘と自律神経との関係
むくみ腸という言葉を考案した小林先生によると、自律神経のバランスが乱れることによってむくみ腸になり、その結果をして便秘になるということです。では、自律神経とはどのようなものなのでしょう。
自律神経ってなに?
自律神経とはその名の通り、神経の一種です。身体には大きく分けて、「中枢神経」と「末梢神経」の2つに分類されます。
中枢神経は、脳から出て脊椎の中を通っている神経のことを指します。いわゆる脊髄と脳が中枢神経という訳です。
末梢神経は、中枢神経から伸びる神経線維のことを言います。末梢神経はさらに「体性神経」と「自律神経」とに分けられることとなります。
体性神経は「運動神経」と「感覚神経」とで成っており、筋肉を収縮させることで身体を動かしたり、暑さや寒さといった温度変化を感じ取ったりする働きがあります。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」とで成っています。運動神経は自分の意思によって働かせることが可能ですが、自律神経は私たちの意思とは関係なく、自律的に働くことからこの名前が付けられています。
極端な例ですが、仮に「5秒だけで構わないので心臓を止めてみてください」といわれてもできませんよね。なぜなら、心臓の働きは自律神経によって制御されているからです。
運動をしたときに汗をかくのは、交感神経が優位になることによって起こります。唾液線や涙線は交感神経と副交感神経の両者によって支配されているので、両者のバランスで分泌量が変化することとなります。
自律神経のバランスが乱れる理由
自律神経のバランスが乱れる最大の理由は、ずばり「ストレス」だということです。特に日本人には交感神経優位型(緊張型とも言えます)の人が多く、ストレスによって交感神経が優位になってしまうのです。
現代はストレス社会などともいわれているように、ストレスと無縁で生活をすることが難しい世の中になっています。そのため、自律神経のバランスが乱れやすい世の中だともいえるのです。
自律神経のバランスが乱れるとどうなる?
自律神経のバランスが乱れる最大の要因はストレスであり、「ストレスは万病の元」ともいわれています。では、ストレスによって自律神経のバランスが乱れると、どのようなことが起こるのでしょうか。
まず、ストレスが原因で自律神経のバランスが乱れると、交感神経が優位になります。交感神経は、車でいうところのアクセルのような働きをしています。
別に交感神経優位になること自体が悪いという訳ではないのですが、リラックスすべき時間帯(寝るときなど)にも交感神経優位状態が続いてしまうと、身体を休めることができなくなってしまいます。
日本人は、欧米の人とくらべると交感神経型といわれており、それでなくても神経が興奮しやすい民族ということです。
それとストレス社会とがあいまって、さらに交感神経優位型の人が増えてしまう訳です。交感神経が優位になると、血管が収縮して血液の循環が悪くなってしまいます。
血液は全身に酸素や栄養、白血球などを送り届けています。そのため、血行が悪くなった場所には、栄養状態の低下がみられることとなるのです。
血管が収縮して血行が悪くなると、心臓はさらに強い力で血液を送り出そうとするようになります。つまり、血圧が上がってしまうということです。
ストレス状態が継続することによって血行が悪くなり、血圧の上昇にともなって動脈硬化がみられるような場合、心筋梗塞や脳梗塞を起こすリスクも高くなります。
また、ストレス状態が続くと、脳内の神経伝達物質の分泌にも悪影響を及ぼすことが分かっています。脳にはさまざまな神経伝達物質がありますが、特に「3大神経伝達物質」と呼ばれるものがあります。
その3つとは、ノルアドレナリンとドーパミン、そしてセロトニンです。極めて簡単に説明すると、ノルアドレナリンとドーパミンには神経を興奮させる働きがあります。
運動をするときによく「アドレナリンが出る」などといわれますが、アドレナリンが分泌される前提として、ノルアドレナリンの分泌されている必要があります。
セロトニンには、ノルアドレナリンやドーパミントは反対に、神経を鎮静化させる働きがあります。ところが、ストレス状態が継続すると、セロトニンの分泌量が低下してしまうのです。
自律神経失調症の人や、うつ病を患っているような人は、セロトニンの分布量が低下して、神経を鎮静化することができなくなっている、という傾向があるそうです。
ノルアドレナリンとドーパミン、セロトニンのどれがいいとか悪いという訳ではなく、三者のバランスのとれていることが重要だという訳なのです。
ちなみに、セロトニンの分泌量が減少すると、脳の視床下部という場所にある満腹中枢が刺激されにくくなることも分かっています。ストレスでやけ食いをするのには、ちゃんと根拠があったという訳なのですね。
自律神経とむくみ腸による便秘との関係
自律神経のバランスが乱れて交感神経優位の状態が継続すると、血行が悪くなることは先述したとおりです。そして、血行が悪くなった場所には、栄養状態の低下がみられることとなります。
胃への血流が不足すれば、食べたものの消化に悪影響を及ぼすこととなります。また、腸への血流が不足すれば、腸の活動が低下して、便を肛門の手前にある直腸まで送る働きが低下してしまいます。
また、交感神経優位の状態が続くと、寝ている間の発汗量が増えることもあります。自律神経失調症の人やうつ病の人には、寝汗がみられることもあるということです。
寝ている間に発汗することによって、体内の水分量が減少すれば、当然のことながら便に含まれる水分量も不足することとなり、結果として便秘になってしまうという訳なのです。
むくみ腸による便秘と普通の便秘は違う?
便秘になる原因や便秘の種類はいろいろですが、私たちが一般的に言うところの便秘と、むくみ腸による便秘とは別物なのでしょうか。
基本的に違いはない
私たちがイメージするところの便秘と、むくみ腸による便秘には、基本的に違いはありません。それは、むくみ腸による便秘の改善法が、私たちがよく知っている便秘の改善法と同じことからも明らかです。
むくみ腸による便秘を放置するリスク
むくみ腸によって起こる便秘を放置すると、合併症を起こしてしまう可能性が上昇します。では、むくみ腸による便秘の放置によって、どのような病気になる可能性が高くなるのでしょう。
大腸ガンのリスク
日本人の死因としてトップにあげられるが「がん」です。特に女性の場合、がんによる死因のうち、大腸がんがもっとも多いとされています。このことは、女性に便秘が多いことと無関係ではないと思います。
便秘とは、腸内で便が滞っている状態を意味しますが、体内に滞っている便はやがて腐敗し、有害なガスや発がん性物質を発生させることとなります。このことが、便秘によって大腸がんのリスクが上がる原因だと考えられるのです。
腸閉塞のリスク
むくみ腸による便秘を放置した場合、腸閉そくを発症するリスクも高くなります。実際、高齢者が便秘になると、腸閉そくになる可能性が高くなるとされています。
腸閉塞は、場合によっては死にいたる危険性もあります。たかが便秘だと侮らないで、長期間にわたって便秘が続くような場合、専門の医療機関を受診するようにしてくださいね。
全身の血行不良は胃腸にも悪影響
便秘とむくみとの関係について見てきましたが、いかがだったでしょうか。むくみ腸というのは、小林先生によってつくられた造語ですが、全身の血行が悪くなると、胃腸の機能にも悪影響を及ぼすことは間違いありません。
特に女性に多くみられる便秘ですが、運動をしたりストレスを発散したりすることで、血液の循環をスムーズにすることが、便秘の尾善につながりますよ。
するっと小町
ヨーロッパではワイン造りのためにブドウを踏む娘達の足が美しいといわれています。赤ブドウ葉のお茶や料理によるものと信じられ長年研究が続けられてきました。ワインにと比べてポリフェノールが多く、めぐりをよくします。 食生活や運動不足によって溜めこみやすい生活がダイエットがうまくいかない原因と考えられます。水分の排泄を促す植物成分や、カリウム、マグネシウムなどのミネラルですっきりをサポートします。
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