命を守るためにも必要な水分補給ですが、便秘解消にも水分補給が大事と聞いたことはありませんか?水分は正しく補給をすると便秘解消にも効果を発揮します。
今回は、水分が身体になぜ必要なのか・どんな水分が便秘解消に効果的なのかを詳しくご紹介します。効果的に水分を補給して、健康的なお通じを手に入れましょう!
人と水分の大事な関係
人の身体にとって大事と言われる水分ですが、具体的な働きや不足したらどうなるのか見ていきましょう。
人間の6割は水分でできている
なぜ水分が大事かというと、私たち人の身体の6割が水分でできているからです。成人で6割ですが、新生児の身体なら8割が水分なのです。水分が不足するという事は、身体の大部分を構成している物質が不足するということです。
水分の多くは身体の中で「体液」となって働いています。体液には血液も含まれ、全身を巡りながら酸素や栄養素を届けて老廃物を回収しています。
水分が不足するとどうなるのか
そんな大事な体液の役割も担っている水分ですから、不足すると身体に栄養が行き渡らなくなり老廃物も回収できなくなります。汗も出なくなって体温調整ができなくなります。そして細胞の水分も不足して血液の量が減り、便秘をはじめとする健康面で悪影響を及ぼします。
初期段階の水分不足ではのどの渇きを感じます。「身体が水を欲しがっている」と合図を出しているのです。さらに水分不足が続くと運動機能が低下し始めます。その後ぼんやりしたり食欲不振に陥ったり、頭痛・めまいなどの脱水症状があらわれます。
身体の8%~10%の水分が失われるとけいれんなど危険な状態があらわれ、10%以上の水分が失われると死に至る危険性もあります。
1日の必要な水分補給量
では1日あたりどれくらい水分を摂取したらいいかというと、だいたい2リットル~2.5リットルです。汗や排泄物によって体から出ていく水分の量が1日2リットル~2.5リットルですので、同じだけ水分を摂取します。
平均的な食事を摂っていれば、食事から1リットル程度の水分を摂っています。そのため、飲料水から補給するべき量は1リットル~1.5リットルとなります。
水分不足の原因
・食事制限ダイエットの影響
特に女性に多い理由がこの食事制限です。前述したように1日の食事では1リットル程度の水分が含まれていますので、食事制限することで摂取する水分量も減少します。
便の元になる食事そのものに加えて水分が不足するので、便秘が悪化する原因になります。
・喉が渇かない、気づかない
仕事などで集中していてのどが渇いていることに気づかなかったり、冬の寒い時期にのどの渇きを感じにくくなったりするのも水分不足の原因です。ですが、身体は私たちが気づかないうちに汗をかいて水分を排出しています。便秘を予防するためにもしっかり水分を摂りましょう。
便秘と水分の関係
次に、水分が不足するとなぜ便秘になるのかをご紹介します。
水分不足が原因の便秘
①消化から排便の流れ
口から物が入るとまず胃に届き、胃酸で食べ物の一部が消化されます。そして、胃酸ごと小腸に送られて本格的に消化され、その消化物が大腸へと運ばれます。消化物の水分は小腸で80%ほど吸収され、残りの20%は大腸で吸収されます。
大腸に届いたばかりの消化物は、水分量が多く液体に近い状態です。大腸の長さは1.5メートルから2メートルあり、25時間~30時間かけてゆっくり通りながらその水分が吸収されていきます。
吸収以外にも、細菌による発酵も行います。大腸の中には古い腸粘液や腸内細菌の死がいなどもあるので、水分を吸収しながらそれらの老廃物も集めて便の形が作られていきます。
②水分不足が便通を悪くする原因
身体の水分が不足すると便自体も水分不足になります。腸に届いたときから水分が不足していますので、腸の中を進んでいく間にも便からさらに水分が出て行くことでカチカチの硬い便になって、腸を移動しにくくなるのです。
水分が不足していると、便秘対策として摂取した食物繊維も機能してくれません。葉野菜やイモに含まれる不溶性食物繊維は、水分で膨らむ性質を持っています。そのため腸に水分があれば便は膨らみますが、水分不足だと膨らまないため腸壁を刺激せず、ぜん動運動が起こりにくくなるのです。
アメリカの調査でも実証済み
便秘と水分不足の関係を調べるために、2013年にアメリカで対象者1万人以上を超える大規模な調査が行われました。その結果1日に1882mg以下の水分しか摂取していなかった人の多くが、便秘で悩んでいるという結果になりました。「水分不足が便秘につながる」という結果を裏付けるデータとなっています。
便秘を解消する水分補給のポイント
便秘解消には水分が大事ということがわかったところで、次は効果的な水分補給のポイントを3つご紹介します。
ポイント①こまめに水分補給をする
「飲み忘れたらいやだから、まとめて飲めるだけ飲んでおこう」と一度に大量に飲むと、お腹を下しやすくなります。便秘を改善するために効果的な水分の摂り方としては、少しずつこまめに水分補給することがポイントとなります。
ポイント②おすすめの飲むタイミング
〈起床後〉
便秘に最も効果的な水分摂取のタイミングは起床後です。特に、寝起きの5分以内にコップ1杯程度のお水を飲むのが効果的です。腸が一番活発に動くのが朝なので、その時に水分を摂ってあげることでさらに動きやすくなります。
〈入浴前・後〉
入浴中はたくさん汗をかいて体内の水分が出ていきます。短い入浴でも100ml程度の汗をかき、15分ほどの入浴では800mlほど汗をかくと言われています。そのため、入浴の前や後に水分をなるべくたくさん摂っておきましょう。
一度に身体の水分が汗として出ていくと、血液中の水分も失われるのでドロドロした血液になります。水を飲むことでサラサラの血を保てますので、入浴の前も後もこまめに水分補給するようにしましょう。
〈就寝前〉
人は冬でも寝ている間に汗をかきます。夏は特に汗の量が増えますので、寝ている間にコップ2杯ほどの汗をかくといわれています。入浴中と同じように、汗をかくと血液がドロドロになります。
お肌にとっても水分は大事です。「ゴールデンタイム」と言われる成長ホルモンが最も分泌されやすい、22時から夜中2時の間に就寝するのがお肌に良いとされています。ですが、その時間に就寝できても水分が不足していると血液の流れが悪くなり、お肌の成長を妨げてしまいます。
寝る前に大量のお水を飲むとむくみにもつながりますので、コップ1杯程度の水分を摂取するように意識しましょう。
〈運動の前・後〉
運動の機能を低下させないためにも、運動の前後の水分補給はとても大事です。それだけではなく、運動中に水分が不足すると脱水症状や熱中症など、危険な症状が現れる危険もあります。
運動中の水分補給のポイントは、「のどが渇いたと思う前に飲む」ことです。運動の前後だけではなく、運動中の小休憩の間にも欠かさず水分補給するようにしましょう。運動している時に一気飲みで大量に水分を摂取すると、消化器官に負担をかけてしまいますので少しずつ飲みます。
運動中の水分補給で気を付けたいのは、ミネラルや塩分も補給することです。大量の汗をかき続けることで、汗と一緒に体内のミネラルや塩分も失われてしまうからです。スポーツドリンクはそれらの必要な成分も入っているので、運動中の水分補給としておすすめです。
ポイント③硬水や炭酸水の方が効果的
便秘を解消するための水分補給としては、「何を飲むか」ということも大事です。普通のお水よりも、便秘に効果的なのは硬水や炭酸水です。炭酸水は胃に満腹感を与えるので食べ過ぎ防止にもなります。便秘以外にも、汗をかきやすい夏場の水分補給としておすすめです。
主に海外が原産のお水で、硬度が301以上のお水を硬水を呼びます。便秘解消に必要なミネラルやマグネシウムなどの栄養が含まれています。ミネラルもマグネシウムも便を柔らかくする効果があるので、便秘で便が硬くなっている人の水分補給としておすすめです。
硬度が高いほど含まれるミネラルやマグネシウムが多いので便秘には効果的ですが、実は軟水を飲みなれている日本人の胃腸には合わないことがあります。胃腸が弱い人は下痢になってしまう場合もあるので、最初は様子を見ながら少しずつ飲んで様子を見てみましょう。
水分補給と共に気を付けたいこと
便秘解消には水分が大事ですが、それ以外にも便秘対策として大事なことを4つご紹介します。
身体を冷やさない
薄着や冷房で身体が冷えると、内臓の働きが低下して便秘を引き起こします。女性は特に、子宮などの内臓があるお腹を冷やさないように注意しましょう。冷房が効いている部屋ならカーディガンを羽織り、寒い冬なら腹巻などをして便秘の対策を行います。
お風呂の入り方も大事で、シャワーで済まさずにしっかり湯船につかるようにしましょう。お風呂上りに腸をマッサージすれば、便秘の改善にさらに効果的ですよ。
冬はより乾燥しやすい
夏は暑いので意識しなくても水分補給をしますが、乾燥しやすい冬もしっかり水分補給をしなくてはいけません。冬になると便秘になる人もいますが、その原因の1つに乾燥があります。
冬は乾燥注意報が出るほど空気が乾燥します。そのため、無意識のうちに体から大量の水分が空気中へ出て行ってしまいます。そうすると腸の水分も失われてしまうので、便が硬くなって便秘につながってしまいます。
もう1つ冬の便秘で注意したいのは、寒さでトイレが近くなり尿として水分が失われていくことです。寒い冬はどうしてもトイレの間隔が短くなりますよね。汗として出ていく量は夏場に比べて少ないですが、実はその分が尿として排出されています。つまり夏場と同じくらい水分摂取を意識しなければ、便秘など体の不調を引き起こしてしまうのです。
食生活の改善
便は食べた物から作られていますので、便秘の改善には食生活の改善も必要です。まずは、3食きっちり食べることから始めましょう。朝は忙しいからと言って朝食を抜く人が多いですが、せっかくの便秘解消のタイミングを逃してしまっています。
前述したように腸が最も活発に動くのは朝です。その朝にきちんとご飯を食べることで胃腸が動き、排便がよりいっそう促されます。寝起きに1杯のお水を飲んで朝食を食べれば、便秘改善に非常に有効です。
ですが、食事の内容も気を付けなければいけません。便秘の改善のためには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維、ビタミン、ミネラル、たんぱく質など体に必要な栄養も積極的に摂るようにしましょう。便秘改善のためには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が2:1の割合で摂取することがおすすめです。栄養はチームで働きますから、偏ることがないように意識しましょう。
ストレスの発散
便秘とストレスは大きく関係しています。便秘改善には水分摂取や食事の改善、身体を温めることが非常に大事ですが、それ以外にも気を付けたいのがストレスです。
腸を始めとする消化器官は自律神経の影響を受けています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、この2つの神経によって体温や呼吸などの生命を維持するために必要な機能を果たしています。この神経は私たちの意思とは関係なく24時間動いているので、意識でコントロールできるものではありません。
大きなストレスを抱えることで自律神経に影響を与え、胃腸の働きを低下させることがあります。その結果便秘につながります。
ストレスを感じずに生きていくことはかなり難しいですから、ため込まずに発散することが大事です。ですが誰でも確実にストレスを発散できる方法はなく、自分で見つけるしかありません。趣味や自転車・おしゃべりなど、自分が心地いいと思える習慣を見つけてみましょう。
「身体に水分を与えて便秘を遠ざける!」
水分が便秘や生命に与える影響や、便秘を改善するための水分の摂り方についてご紹介しました。のどが渇けば当たり前のように摂取する水分ですが、何を飲むかで健康に与える影響が変わってきます。
ぜひ便秘解消に効果的な水分補給をして、すっきりした毎日を手に入れてくださいね!この記事が参考になれば幸いです。