便秘と腰痛が併発した時に考えられる疾患とは?便秘のリスク

便秘は多くの女性を悩ませる元となっていますが、中には便秘にともなって腰痛もあるという方もいらっしゃることと思います。

そもそも腰痛のほとんどが原因不明といわれていますが、原因が分からないと不安なものですよね。そこで、今回は便秘と腰痛が併発している場合に考えられる疾患について紹介したいと思います。

便秘が続くと辛いものですが、そこに腰痛まで加わってしまうと、排便するのがより困難になってしまいますよね。ただ便通がみられないだけでなく、「なにか病気なのではないか?」と不安になってしまうこともあると思います。

そこで今回は、便秘と腰痛が併発している場合に考えられる疾患について解説していきたいと思います。

便秘と腰痛がみられる疾患その1・大腸がん

医者がリボンを持っている

便秘にともなって腰痛がみられる場合、もしかしたら大腸がんが潜んでいるかもしれません。腰痛と便秘が同時に起こっているから必ず大腸がんという訳ではもちろんなりませんが、大腸がんの特徴について知っておくことで、早期発見が可能となりますよ。

大腸がんってなに?

大腸がんはその名の通り、大腸にみられる悪性新生物のことを言いします。がんの中でも高い死亡率を占めており、特に女性のがんの死因の中ではもっとも多いがんとなっています。

大腸がんになった場合、排便にともなって腫瘍が圧迫されることで、腰痛や臀部の痛み、肛門の痛みなどが出るケースもあります。ただ、初期の大腸がんの場合、自覚症状があまりないことから、単なる腰痛として見過ごしてしまうケースもよくあります

特に女性の場合、もともとん便秘の人が多いため、大腸がんにともなう便秘に関しても、いつもの便秘と同じだとみなしてしまい、知らないうちに重症化してしまうケースもあります。

大腸は盲腸と結腸と、直腸から成っており、小腸からつながる結腸は、上行結腸から横行結腸、下行結腸からS状結腸を経て、肛門へとつながっています。

大腸の長さは2mにも及ぶため、肛門付近にある直腸やS状結腸にがんができた場合は比較的自覚症状が出やすいのですが、上行結腸から横行結腸など、大腸の奥の方にがんができた場合、なかなか発見できないという難点があります。

大腸がんがある場合、腫瘍から出血して血便となることがあるのですが、大腸の奥でがんができた場合、血液が組織に吸収されてしまって、血便とならないケースもあり、発見をより困難にしています。

明らかに血便がみられるような場合でも、その他の症状がないような場合や、痔を患っているような場合、痔による出血として見過ごしてしまい可能性もあります。

大腸がんは40代から50代にかけて発症する人が多く、60代から70代でピークを迎えることとなります。大腸がんに限ったことではありませんが、病気は早期発見・早期治療によって治る確率が高くなります。

若いころはともかく、40代を迎えたら定期的に健康診断や人間ドックを受けて、身体に異常が現れてないかを確認するように心がけましょう。

大腸がんにともなう症状

大腸がんにともなう代表的な症状は、血便や肛門からの出血、便秘や下痢といった排便障害やお腹の張り感、腹痛などです。腰痛や臀部痛が出ることもあるのですが、一般人には通常の腰痛との判別が困難です。

大腸がんのときの腰痛の特徴

大腸がんにともなう腰痛は、通常の腰痛とは異なり、可動痛(動かしたときの痛み)だけではなく、安静にしているときでも腰が痛むという特徴があります。

また、仰向けやうつぶせで寝ている場合はともかく、腰への負担が少ない横向きで寝ているのに腰が痛むときや、日中よりも夜間の方が、腰の痛みがひどいような場合、大腸がんをはじめとした内科系の疾患が疑われることとなります。

便秘と腰痛がみられる疾患その2・子宮内膜症

ベッドの端で腰を押さえている女性

便秘と腰痛が同時にみられる疾患としては、子宮内膜症もあげられています。女性の10人に1人程度にみられる比較的ポピュラーな疾患ですが、どのような疾患なのでしょうか。

子宮内膜症ってなに?

子宮内膜症と聞くと、子宮内膜になんらかのトラブルが起こる疾患だと思われるかもしれませんが、実際には、子宮以外の場所に、子宮内膜と似た組織ができてしまう疾患のことをいいます。

子宮以外に子宮内膜に似た組織ができやすい場所としては、卵巣や卵管、子宮の周りにある腹膜、ダグラス窩などがあります。ダグラス窩は子宮と直腸との間になるため、ここに子宮内膜症ができて大きくなると、便秘になることがあります。

子宮以外の場所にできた子宮内膜にも月経があるため、子宮内膜症を患ってしまった場合、月経時の出血の量が増えることとなります。

子宮内膜症は妊娠が可能な年齢であれば、誰にでも起こりうる疾患であり、若いからと言って油断のできない疾患でもあります。

子宮内膜症の原因は現代医学を持ってもハッキリとしたことが分かっておらず、ホルモンバランスの乱れや遺伝、ストレスなど、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症するという説があります。

子宮内膜症にともなう症状

子宮内膜症にともなう症状としては、月経時の痛みや過多月経、腰痛や腹痛、性交時の痛みや不妊症などがあげられています。

特に月経時の痛みが子宮内膜症の特徴の1つで、ひどい場合には救急車で運ばれるほどの猛烈な痛みが現れることもあるそうです。

また、不妊症を訴えて婦人科を受診する人を検査してみると、子宮内膜症の見つかる可能性が高いということです。逆に考えると、子宮内膜症が不妊症の原因の1つになっているともいえる訳です。

あと、月経時以外にも下腹部の痛みや腰痛、性交時の痛みや排便時の痛みなど、いわゆる「骨盤痛」と呼ばれる症状が現れることもあります。

子宮内膜症のときの腰痛の特徴

子宮内膜症の人の半数以上が、腰痛を訴えるといわれていますが、月経困難症の場合にも腰痛が現れるため、腰痛だけで子宮内膜症だと判断することはできません。

ただ、先ほどもふれたように、子宮内膜症の場合、月経時以外にも腰痛や下腹部痛の見られることがあります。

便秘と腰痛がみられる疾患その3・子宮筋腫

お腹を押さえている女性

便秘と腰痛がみられる疾患としては、やはり婦人科系の疾患である子宮筋腫もあげられます。子宮筋腫は女性の4人に1人から5人に1人程度にみられる良性の腫瘍であり、子宮のいろいろな場所にこぶのようなものができる疾患とされています。

子宮筋腫ってなに?

子宮筋腫はその名の通り、子宮にある筋肉が腫れもののようにこぶとなる疾患を言います。基本的に良性の腫瘍なので、悪性腫瘍に変化するようなことはないとされています。

ただ、子宮筋腫のできる場所によっては、不妊症などのトラブルの元となることがあります。子宮内膜症と同様ハッキリとした原因は分かっていませんが、女性ホルモンが関与していることは間違いないと考えられています。

子宮筋腫にともなう症状

子宮筋腫の症状は子宮内膜症とよく似ていて、月経時に腰痛や腹痛の現れることがあります。また、やはり子宮内膜症と同じで、月経時以外にも腰痛や腹痛の現れることがあります。

また、子宮筋腫がある場合、月経の量が多くなったり、血の塊のような経血が見られたりすることもあります。出血量が増えるため、貧血を起こしやすくなるというのも子宮筋腫にともなう症状の特徴です。

その他にも、子宮筋腫によって腸や暴行が圧迫されることによって、便秘やひん尿の見られることがあります。

子宮筋腫のときの腰痛の特徴

子宮筋腫の場合も子宮内膜症の場合と同様、月経時以外にも腰痛の出ることがあるので、通常の腰痛との判別が困難です。ただ、以前とくらべて明らかに経血の量が増えているような場合、子宮筋腫が疑われることとなります。

腰痛の原因ってなに?

疑問マークが周りについている女性

便秘と腰痛がともなう病気として3つ紹介しましたが、そもそも腰痛はなぜ起こってしまうのでしょうか。日本整形外科学会と日本腰痛学会の策定する腰痛診療ガイドラインに沿ってみていきたいと思います。

85%が原因不明

2012年に、日本整形外科学会と日本腰痛学会によって、腰痛診療ガイドラインが更新されました。朝刊各紙の1面で取り上げられたことを覚えていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。

そこには、日本人の腰痛人口は2800万人であり、そのうち8割が原因不明と書かれていました。整形外科の医師によっては、85%の腰痛が原因不明とする人もいます。

腰痛治療の最前線

腰痛診療ガイドラインによると、腰痛を発症した場合、原則として薬物療法が推奨されることとなります。腰痛を訴えて整形外科に行ったら、痛み止めと湿布を渡されたという人もいることと思いますが、それは腰痛診療のガイドラインにのっとった治療だという訳なのです。

腰痛診療ガイドラインを見ていて驚いたのが、1ヶ月以上続くような慢性的な腰痛に対しては、精神安定剤や抗うつ薬の処方を奨めると書かれていたことです。

1ヶ月以上続く慢性的な腰痛は「気のせい」だということなのでしょうか。2800万人のうちの8割というと、2240万人ということになります。2240万人もの人が気のせいで腰痛になっているなんて、ちょっと考えにくいですよね。

腰痛の本当の原因

最近の研究によって、腰痛の原因のほとんどが、骨盤にある関節である「仙腸関節(せんちょうかんせつ)」の可動域が低下することだと考えられるようになってきています。

カイロプラクティックや一部の整体では、仙腸関節の可動域に着目して施術がおこなわれていましたが、かつて医師からは「仙腸関節が動く訳ない」と馬鹿にされていたものです。

ところが、数年前から整形外科の一部の医師によって、仙腸関節が可動関節であることが証明されたのです。そして、一部の整形外科医によって、「AKA(エーケーエー)」と呼ばれる治療法が開発されたのです。

AKAを実施している整形外科の医師によると、仙腸関節の可動域を上昇させることによって、これまで手術をしなければ治らないといわれていた腰痛の9割に改善がみられるということです。

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、ハッキリと原因の分かる腰痛は、実に15%程度に過ぎません。それ以外の腰痛は、ほとんどが仙腸関節由来であると言ってもいいのではないでしょうか。

余談ですが、腰痛を訴えて病院で検査をしてもらっても特に異常がない場合、「坐骨神経痛ですね」などといわれることがあります。実は、この坐骨神経痛という言葉、病名でもなんでもないのです。

単に、坐骨神経の通り道に症状が出ていますね、と言っているに過ぎません。病院で坐骨神経痛といわれたら、何も診断されていないのと同じなのです。そして、シップと痛み止めを出されておしまいという訳です。

便秘と腰痛が見られる場合の対処法

風呂につかっている女性

便秘と腰痛が同時にみられるような場合、どのようにして対処すればよいのでしょう。自宅でできるような対処法はなにかあるのでしょうか。

病院を受診する

便秘と腰痛が同時に見られる場合、まずは病院を受診することが重要です。便秘も腰痛も放置してよくなるようなことはあまりありません。

また、病院の検査によって、大腸がんなどの疾患が早期発見できることもあります。便秘と腰痛がある場合、自己判断をせずにまずは病院で検査してもらうようにしましょう。

身体を冷やさないようにする

腰痛の原因として「仙腸関節の可動域が減少する」ということがあげられていました。もう1つ付け加えるとしたら、なんらかの疾患が表れている場所には、必ずと言っていいほど血行不良もみられるということです。

というのも、血液は全身に酸素と栄養を運んでおり、血行が悪くなった場所は栄養状態が低下してしまうからです。

みなさんは炎症と聞くと、どのようなイメージを持たれるでしょうか。「腫れている」とか「痛みが出ている」といったマイナスイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。

実は、炎症は治癒反応なのですと言ったら驚かれるでしょうか。怪我をした場所を修復するときには、血液が集まってきます。なぜなら、血液が酸素と栄養を運んでいるからです。

そして、損傷部位の修復が始まることとなる訳ですが、その際に必ず「痛み」と「熱」がでます。これが、炎症が治癒反応であるという根拠になっています。

逆に考えると、普段から血行のわるい場所は、徐々に怪我や疾患に近づいているともいえる訳です。そのため、普段から身体を冷やさないようにして、血液の循環が滞らないようにしておくことが大事なのです。

症状がある場合早めに受診してみて

便秘と腰痛が同時にみられる場合の疾患について考察しましたが、いかがだったでしょうか。基本的に腰痛の原因はよく分かっていないのですが、安静時にも腰痛がみられる場合や、月経時以外にも腰痛や下腹部痛がみられる場合、内科系や婦人科系の疾患の可能性があります。そのような場合、早めに病院を受診して検査してもらってくださいね。