肥満と妊娠との関係!肥満だと妊娠しにくくなるって本当?

LIL 編集部

メタボリックシンドロームという言葉もすっかり定着した感がありますが、高度経済成長期以降、日本人にも肥満化の波が押し寄せているようです。そんな中、肥満症と肥満という2つの言葉が聞かれることがあります。肥満症と肥満は別物なのでしょうか。別物だとしたら、どんな違いがあるのでしょう。

不妊症に悩む女性の方も多いと思いますが、その原因の1つとして肥満があげられていることをご存じだったでしょうか。太っていても出産される方もたくさんいらっしゃいますが、不妊のリスクは増大するということです。

そこで今回は、肥満と妊娠との関係や、肥満していることによるリスク、また肥満の改善法について徹底解剖していきたいと思います。

肥満ってなに?

肥満と妊娠との関係について解説する前に、まずは肥満とはどのようなことを指すのかについて知っておきましょう。はたして、肥満とは病気なのでしょうか。

太っている状態

肥満とは、太っている状態や体重が重い状態のことを意味します。必ずしも何らかの疾患を有していることが条件となる訳ではありません。

肥満症とは別物

肥満とは太っている状態を意味するものであり、それだけでは病気という訳ではありません。ただ、肥満にともなって何らかの疾患を有している場合や、疾患を発症するリスクがある場合で、かつ、減量をともなう治療が必要な肥満のことを肥満症と呼んでいます。

肥満にともなって高血圧や脂質異常症、2型の糖尿病や睡眠時無呼吸症候群、狭心症や脳梗塞などを発症している場合、もしくは発症するリスクのある場合、肥満症と呼ばれるのです。

女性の場合、肥満をすると妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、難産になる可能性が高くなるので、注意が必要だとされています。

肥満の診断基準

肥満とは太っている状態だということですが、診断基準はどのようになっているのでしょうか。

BMIを用いて算出

肥満とは体脂肪の量が増えている状態のことを意味するのですが、体脂肪を正確に測定するのは困難だということです。実際に、家庭用のヘルスメーターで体脂肪を測定してみても、メーカーによって異なることがよくあります。

そこで、世界的にBMI(ボディ・マス・インデックス)という指標が用いられています。BMIの算出法は、[身長(m)の2乗÷体重]となっています。

たとえば身長が160cmで体重が50kgの人であれば、[50÷(1.6×1.6)]=19.53となります。この場合、BMIが19.53ということになります。

BMI25以上が肥満

BMIで得られた数値によって、自分の肥満度が分かります。BMIの数値が18.5以上、25未満であれば、普通体重であるとされます。

BMIの数値が18.5未満であれば痩せがた、BMIの数値が25以上であれば肥満であるとされます。中でも、BMIの数値が35を超えるような場合、重度の肥満という風に分類されます。

肥満のリスクその1・妊娠前・妊娠中のリスク

肥満している人が妊娠した場合、普通体重の人とくらべるとさまざまなリスクがあるとされます。では、具体的にどのようなリスクが考えられるのでしょう。妊娠前から出産後まで、時期別に見ていきたいと思います。

妊娠前のリスク

妊娠前の女性が肥満体形である場合、不妊症になるリスクが高くなると考えられています。実際に、標準体重の女性と比べた場合、肥満している女性の妊娠率は低くなるという報告もあるそうです。

肥満している女性の多くに、運動不足などに起因する血行不良がみられますが、それによって月経不順や排卵障害の起こることが、不妊症になる原因ではないかと考えられています。

妊娠中のリスク

肥満している女性が妊娠した場合も、さまざまなリスクの可能性があります。では、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか。

妊娠高血圧症候群のリスク

妊娠中の女性が肥満している場合に起こりうる、もっともよく知られている症状の1つが、妊娠高血圧症候群と呼ばれるものです。

妊娠前には血圧が正常だったのに、妊娠中期から出産後12週までに高血圧になってしまった場合、または尿たんぱくやむくみがみられる場合、かつては「妊娠中毒症」と呼ばれていました。

ところが、近年の研究によって妊婦さんやおなかの赤ちゃんに危険を及ぼすのは、高血圧であることが分かってきたのです。そのため、妊娠中毒という言葉を改め、妊娠高血圧症候群と呼ぶようになったのです。

なぜ妊娠高血圧症候群になるのかは、現代医学をもってしてもハッキリとしたことが分かっていません。そのため、予防する方法もないというのが現状です。

ただ、BMIの数値が25を超えている場合や、妊娠前の体重が55kg以上あるような場合、妊娠高血圧症候群になりやすいということが分かっています。

妊娠高血圧症候群を発症した場合、脳血管障害や常位胎盤早期剥離、子癇、HELLP症候群といった、さまざまな合併症を起こすリスクが高くなります。

常位胎盤早期剥離とは、お腹の赤ちゃんのベッドともいうべき胎盤が、出産時期を迎える前に剥がれおちてしまうことを言います。やはりなぜ起こるのかは明らかになっていません。

子癇とは、癲癇や脳炎、脳腫瘍といった脳のトラブルがないにもかかわらず、妊娠20週以降にみられるけいれん発作のことを言います。高血圧によって脳がむくむことによって、けいれんが起こると考えられています。

子癇がおさまらないような場合、母体も胎児も命の危険にさらされることがあるため、緊急に帝王切開をして胎児をとり出すこととなります。

HELLP症候群は妊娠後期から出産後にみられやすい疾患で、赤血球が破壊されて、肝機能の低下や血小板の減少を招くといった症状がみられます。

妊娠高血圧症候群を発症した場合、胎児へ送られる血液量が低下するため、おなかの赤ちゃんが十分に育たずに生まれることがあります(低出生体重児といいます)。

いずれにせよ、妊娠中に急に血圧が上がったり、何らかの異変が現れたりした場合、すみやかにかかりつけのお医者さんを受診しましょう。

流産・早産のリスク

ある産婦人科の発表したデータによると、24,738人を対象にした調査で、BMIの数値が高くなればなるほど、流産になるリスクが上昇するということです。

BMIの数値が25以上29未満の場合で11.8%、BMIの数値が29以上で13.6%に流産がみられたということです。標準体重の女性の流産率は10.7%だったということです。

また、100万人以上を対象にした調査から、肥満をしている場合、早産の可能性も高くなるということが分かっているそうです。

妊娠糖尿病のリスク

妊娠糖尿病は、妊娠中に糖代謝の異常が初めて発見されたもののことを言います。元から糖尿病の人が妊娠した場合や、妊娠中に明白な糖尿病が発見された場合は、妊娠糖尿病には含まれません。

妊娠糖尿病になった場合、先述した妊娠高血圧症候群を併発するリスクが高くなります。また、羊水の量が減少したり、網膜症や腎症を発症したりすることもあるということです。

お腹の赤ちゃんに対する影響としては、心肥大や低血糖、巨大児や電解質異常、黄疸や形態異常などのほか、最悪の場合は死にいたることもあるということです。

妊娠中は運動療法や薬物療法ができないため、基本的に食事制限によって血糖値を管理することとなります。もちろん、もともと糖尿病を持っている人が妊娠した場合、より厳重な栄養管理が必要となります。

胎児への悪影響

肥満の女性が妊娠した場合、それほど例は多くないですが、二分脊椎や心臓血管奇形、口唇口蓋裂といった奇形や、子宮内での胎児の脂肪の確率が上がるということです。

肥満のリスクその2・出産時のリスク

肥満の女性が妊娠した場合、妊娠中だけでなく、出産のときにもさまざまなリスクの可能性があります。では、どのようなリスクの可能性があるのか見ていきましょう。

帝王切開になる可能性

肥満度が上がるにつれて、帝王切開になる可能性が高くなることも分かっています。この場合の帝王切開とは、もともと予定した場合の帝王切開とは異なり、分娩中の緊急を要するタイプの帝王切開のことを言います。

難産の可能性

肥満の方が出産をする場合、難産になる可能性も高くなるということです。この場合の難産のことを肩甲難産といいます。

肥満の方が妊娠中に糖尿病を発症したりすると、巨大児の生まれる可能性が高くなるといわれています。そのため、お産のときに頭は出るものの、肩で引っかかることから肩甲難産と呼ばれているのです。

産後出血のリスク

肥満の女性が出産した場合、産後にみられる出血の量が増える傾向にあるということです。このように、肥満の女性の妊娠、分娩には多くのリスクが付き物となっているのです。

また、正常範囲内の女性であっても、急激な体重の増加には気をつけましょう。妊娠中には徐々に体重が増えていくものですが、1週間に500g以上増えてしまうようでしたら要注意です。

肥満のリスクその3・産後のリスク

肥満の女性は、正常範囲内の女性とくらべると、妊娠中や出産時にかなりのリスクを背負うこととなります。ただ、肥満の女性の場合、出産後にもいろいろなトラブルが待ち構えています。

母乳が出づらくなる

肥満の女性の場合、出産後に母乳の出が悪くなるというケースがみられるということです。母乳も血液から作られるため、血行が悪いと母乳の出も悪くなるという訳なのです。

身体への負担が増大する

育児を経験したことのある方ならご存じだと思いますが、出産後のお母さんはとても大変です。赤ちゃんは2~3時間おきに母乳を求めるので、熟睡することもままなりません。

また、新生児には朝も夜もないため、夜寝て朝起きるという生活リズムになるまで、ずいぶん時間がかかってしまいます。また、赤ちゃんは成長するにつれてどんどん重たくなってきます。

それでなくても太っている女性は、正常範囲内の体重の女性と比べた場合、運動能力が低かったり、運動の習慣がなかったりするものです。それに引き換え、子供はどんどん成長して動き回るようになってきます。

赤ちゃんの体重が増えてくれば、抱っこひもで抱っこするのもつらくなってきますし、歩いたり走ったりするようになれば、ついていくのも大変になります。

このように、肥満している女性にとっては、妊娠や出産だけでなく、育児も多大な負担を身体に与えます。これから出産を考えているのであれば、まずはダイエットをした方がよいでしょう。

肥満の改善法

肥満していると見た目がみっともないだけでなく、妊娠や出産にともなうリスクが上昇してしまいます。では、肥満を改善するためにはどのようなことに気をつけるとよいのでしょう。

食事制限

肥満を改善するもっとも簡単かつ、効果的な方法は、食事制限をすることです。そもそもダイエットには「健康と美容のために食事の量をコントロールしたり、食事内容を見直したりすること」を意味しています。

単に体重を減らすだけでなく、健康的に美しくなることがダイエットの本義です。痩せすぎている人がダイエットをすれば、体重が増えて健康的に美しくなるという訳です。

肥満気味の人の多くが、糖質を摂取しすぎることによって太ってしまう傾向があります。糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたもののことで、ご飯やパン、麺類といった主食に多く含まれています。

現代人は平均して1日に300gの糖質を摂取しているとされますが、肥満気味の人はそれ以上に糖質を摂取している可能性があります。

そこで、まずは自分がどれくらいの糖質を摂取しているのか、1週間の食事をすべて書き出してみましょう。そこから、糖質の摂取量を算出してみましょう。

300gを超えているようであれば、まずは300gを切るよう、食事内容を変更しましょう。もともと肥満している人であれば、それだけでも体重が自然と落ちていくと思いますよ。

ただし、すでに妊娠しているときに過度のダイエットをしてしまうと、おなかの赤ちゃんの成長に悪影響を与える恐れもあります。妊娠中のダイエットは、かかりつけの医師と相談しておこないましょう。

適度な運動

肥満を改善したり予防したりするためには、日頃から適度に身体を動かすことも重要です。運動が大好きでしょっちゅう身体を動かしていて、食事にも気を使っている。それでも太っているという人はいません。

わざわざ時間をとって運動をしなくても、駅までの道のりを歩くとか、エスカレーターやエレベーターを使わず階段を使うなど、工夫次第でいくらでも身体を動かすことは可能です。

肥満の女性が妊娠するとリスクが多い

肥満と妊娠との関係について見てきましたが、いかがだったでしょうか。肥満をしていて身体にいいことはあまりありませんが、特に肥満の女性が妊娠するとさまざまなリスクが生じてしまいます。これから子供を作ろうと考えているのであれば、生まれてくる子供のためにも、ぜひダイエットに取り組んでくださいね。

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