遺伝子検査で肥満が改善できる!?情報難民に送る注意点

LIL 編集部

「痩せたい」「細マッチョになりたい」などというのは、たくさんの人が望むところでありますが、出来れば楽をして痩せたいというのも事実ですよね。そんな方向けのダイエット法の1つが、遺伝子ダイエットと呼ばれるものです。遺伝子検査によってその人に合った食事や運動を推奨するというものですが、本当にそんなことが可能なのでしょうか。

世の中にダイエット法はたくさんありますが、最近になって、遺伝子検査をおこなうことで肥満のタイプを類型化し、それに応じた食事や運動をすることで、肥満の改善や予防をおこなうというものがあります。

いわば「遺伝子ダイエット」とでもいうものですが、実際にそのようなことが可能なのでしょうか。今回は、遺伝子検査と肥満との関係について掘り下げてみたいと思います。

遺伝子検査と肥満との関係

遺伝子検査によって、なぜ肥満の改善をおこなうことが可能なのでしょうか。そのためには、遺伝子と肥満との関係について知っておくことが重要です。

なぜ遺伝子検査で肥満しやすいかどうかわかるの?

結婚式などで新郎側と新婦側の家族を見たときに、一方はみんな痩せているのに、他方はみんなポッチャリしているなどということがありますよね。

そのことからも、肥満には遺伝子が関係していると考えられているわけです。もしも、太りやすい遺伝子を持っていることが分かれば、その人の太ってしまう理由も分かるという訳なのです。

肥満の3タイプ

遺伝子検査によってなぜ肥満の改善ができるのかというと、遺伝子のタイプによって、肥満を3つのタイプに類型化できるからだとされています。では、肥満にはどのようなタイプがあるのでしょうか。また、どのような遺伝子が関与しているのでしょう。

ADRB2遺伝子

ADRB2遺伝子は、ベータ・ツー・アドレナリン受容体遺伝子と呼ばれており、この遺伝子に変異がみられることによって、肥満してしまうとされています。日本人の肥満のうち、40%がADRB2遺伝子変異性の肥満だとされています。

ADRB2遺伝子に変異がみられるような人の特徴として、筋肉がつきにくく、スタミナに欠けており、年齢とともに基礎代謝の低下が早まるということがあげられています。

とあるクリニックでは、このタイプの肥満の人にみられる性格として、「好奇心が旺盛である」「ウツになりやすい傾向がある」「神経質でストレスに負けやすい」ことをあげています。

ADRB2遺伝子の変異によって、タンパク質が分解されやすくなるため、このタイプの肥満の人は、若いうちは痩せていたというケースが多いという特徴もあります。そのため、このタイプの肥満のことを「バナナ型」の肥満と言ったりします。

ところが、年齢を重ねて基礎代謝量が低下してくると、いつの間にか太っていたというような太り方をする傾向があります。

ADRB3遺伝子

ADRB3遺伝子は、ベータ・スリー・アドレナリン受容体遺伝子と呼ばれており、この遺伝子に変異が現れることによって、やはり肥満してしまうとされています。日本人肥満のうち、およそ35%がADRB3遺伝子変異性の肥満だと考えられています。

ADRB3遺伝子に変異がある人の特徴としては、炭水化物を摂取することによって太りやすいということがあげられています。また、鼻水が出やすいという傾向もあるようです。

太り方の特徴としては、ウエスト周りに脂肪が付着しやすいということがあげられています。そのため、このタイプの肥満のことを「リンゴ型」の肥満と言ったりします。

先のクリニックによると、ADRB3遺伝子の変異によって肥満する人の性格として、「我慢強くてあまり怒ることがない」「誰からも愛されるタイプ」「空気を読むことができない」といったことがあげられています。

UCP1遺伝子

UCP1遺伝子も肥満に関する遺伝子の一種で、この遺伝子に変異がみられることによって、やはり肥満しやすくなると考えられています。日本人の肥満のうち、25%がこのタイプに当たるとされています。

UCP1遺伝子に変異がみられる人の特徴としては、脂肪分を摂ることによって太りやすいということがあげられています。また、汗っかきという特徴もあるということです。

太り方の特徴としては、お尻や太ももといった場所に脂肪が付着しやすいということがあげられています。そのため、このタイプの肥満のことを「洋ナシ型」の肥満と言ったりします。

やはり先のクリニックによると、UCP1遺伝子に変異がみられるタイプの肥満の人の特徴として、「チャレンジ精神が強い」「自己愛が強い」「合理主義者である」ことなどがあげられています。

遺伝子検査はどうやってするの?

ここまでの説明で、肥満に関する遺伝子の変異によって、さまざまなタイプの肥満の可能性があるということを理解して頂けたことと思います。それでは、実際に遺伝子検査をおこなう場合、どのような方法が考えられるのでしょうか。

病院やクリニックを受診する

肥満に限ったことではありませんが、遺伝子検査をするのであれば、専門の病院やクリニックを受診するのがもっとも確実だと言えるでしょう。

遺伝子検査によって算出された数値を見ても、素人には何のことだか分かりませんし、どの数値が高くて、どの数値が低い方がよいのかも不明です。その点、病院やクリニックには専門の医師がいるので、詳しく検査結果について聞くことができます。

遺伝子検査キットを利用する

肥満に関する遺伝子検査であれば、DHCなどが販売している簡易の遺伝子検査キットを利用するという手もあります。

インターネットや電話などを通じて遺伝子検査キットを購入し、利用約款に同意した上で、頬の内側にある粘膜を採取します。

それを送付すると、2週間から3週間後に検査結果が返送されてきます。それと同時に、検査結果に基づいたダイエット法も送付されてきます。

遺伝子検査ダイエットのウソ

遺伝子検査によって、肥満に関する遺伝子の変異を検出し、ダイエットにつなげるということが最近はやっているようです。ただ、このようなダイエット法にはいくつかの問題があります。

検査対象が少ない

肥満に関する遺伝子は、およそ60種類はあると考えられているそうです。ただ、遺伝子検査をおこなう場合、たいていのケースで3種類程度の遺伝子が対象となっています。

肥満に関する遺伝子を研究することによって、その人に合った食事法や運動法を考えるというのは、確かに理にかなっているといえます。ただ、3種類の肥満関連遺伝子によって100点満点を導き出す方が無理というものです。

また、先に紹介したとあるクリニックでは、これまでのデータに基づいて遺伝子検査の結果を導いているということです。

ただ、そのデータは6,000人程度とされており、それによってすべての日本人に信頼のおける検査結果を提供できるのかは不明です。

肥満は遺伝よりも生活習慣の影響が大きい

冒頭で、結婚式に行った時に、新郎側と新婦側の親戚に体型的な特徴がみられることがあるという例を出しました。そこだけを見た場合、遺伝だと考えてしまうのも分からなくはありません。

ただ、肥満は遺伝よりも生活習慣に起因することの方が多いと考えられています。なぜ太っている人の子供が太りやすいのかというと、太ってしまうような食習慣を共有しているからです。

また、親が運動嫌いで休みの日も家でゴロゴロしていれば、子供も身体を動かす頻度が減ってしまい、活発に外で遊ぶ子どもとくらべると太りやすくなってしまうことでしょう。

以前、テレビの番組でダメ犬改善計画という企画がありました。その中の1頭に、平均サイズの4倍程度の重さのビーグル犬がいました。そして、飼い主家族がみんな太っていたのです。

あたり前といえばあたり前のことですが、飼い主と犬との間に遺伝子的なつながりはありません。ということは、食習慣や運動習慣の影響が大きいということが言えるのです。

結局は食事制限が必要

遺伝子検査を病院やクリニックでおこなった場合も、簡易キットによって検査をした場合も、改善策として必ず食事制限をともないます。

炭水化物の摂りすぎによって太っているのであれば、炭水化物以外なら好きなだけ食べてもよいのでしょうか。まさかそんなはずはありませんよね。

そもそもダイエットとは「規定食」という意味を持っており、健康や美容のために食事の量をコントロールしたり、食事内容を見直したりすることを意味しているのです。

遺伝子検査の満足度が高い理由

 

遺伝子検査による肥満のタイプ分けには、以上の理由からほとんど意味がないということを理解して頂けたことと思います。では、なぜ肥満の遺伝子検査がこれほど人気なのでしょう。

精神的な満足感

遺伝子検査の満足度が高い理由としては、精神的な満足感を得られるということがあげられます。人間は、何らかの事象に対して理由が欲しいものです。

なぜ太っているのかが明らかにされることで、「そのせいで自分は太っていたのだ」と安心することができます。

遺伝という甘え

高血圧の方にもよくみられるのですが、自分が高血圧であることに関して「遺伝だから仕方がない」とおっしゃる方がいます。確かに、肥満と同様、高血圧も遺伝によって起こることはあります。

ただ、高血圧もやはり、遺伝より生活習慣の方が大きなリスクファクターとなっています。生活習慣病という呼び名自体が、そのことを表していると言えるのではないでしょうか。

肥満に関しても同様で、遺伝によって太っているといわれることで、「太っているのは自分のせいではない」という言い逃れができる訳です。

ダイエット産業に惑わされない注意点

今回は遺伝子検査と肥満との関係について見てきましたが、ダイエット産業は非常に大きなマーケットです。中には、消費者庁から景品表示法違反に問われるようなダイエット法もあります。

では、そのようなダイエット法に惑わされないためには、どのようなことに気をつければよいのでしょう。

英語表記に惑わされない

ダイエット産業に惑わされないためには、英語表記に誤魔化されないということが肝心です。ダイエットのときによく聞くセルライトとは単なる皮下脂肪のことですし、インナーマッスルとはただの深部筋です。

日本人は海外の人とくらべて、極端に英語能力が低いといわれています。そのため、英語を使って説明したりされたりすると、なんだか知的な話をしているような気分になってしまうのです。

セルライトやインナーマッスル以外にも、リンパやデトックスなどという表記を見かけたら、9割以上はダイエット効果がないと思って間違いないでしょう。

簡単に痩せる方法はない

ダイエット産業がなぜこれほど繁盛しているかというと、多くの人が意味のないダイエット法に手を出しては失敗し、また新たなダイエット法に手を出すということを繰り返しているからです。

人間のほとんどが、年齢を重ねるごとに基礎代謝が低下し、太っていくものです。よほど自制している人や運動習慣のある人でもない限り、太ってしまうのはある意味自然の流れなのです。

もともと、人類の歴史というものは、飢えとの闘争の歴史でもあるのです。いかにして腹をいっぱいにするか、食料を保存するか、先人達はそのことに知恵を絞ってきたのです。

ある意味、太っているということは、生物の歴史からすると成功例とも言えるのかもしれません。それを証拠に、太っている野生動物なんていませんよね。

最近の研究で、私たちが太ってしまうのは、単に食べ過ぎていることが原因ではなく、炭水化物(糖質)の過剰摂取が原因だということが分かってきています。

なぜなら、糖質を過剰摂取してしまうと、体内で分解されずに体脂肪として蓄えられてしまうからです。そして、皮下脂肪には「つきにくく落ちにくい」という厄介な性質があります。

いったんついてしまった皮下脂肪を落とすためには、長期間にわたって食事制限をしたり運動をしたりする必要があります。

簡単に脂肪を落とす方法はただ1つ、美容整形で脂肪を吸引するという手だけです。ただし、生活習慣の見直しをおこなわないと、同じことの繰り返しとなります。

遺伝で太っていても諦める必要はない

遺伝子検査による肥満のタイプ分けやその対処法について解説することで、遺伝による肥満が、実は肥満全体からすると少ないということを理解して頂けたことと思います。ダイエット法はいろいろありますが、残念ながら簡単に痩せる方法など存在しません。

逆にいえば、「遺伝で太っているから」とあきらめる必要もないということです。食習慣の見直しや生活習慣の見直しをおこない、長期的な展望に立ってダイエットに取り組むようにしてくださいね。

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LIL 編集部

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