脚をストレッチすると得られる効果とは?目的別ストレッチで効率的に

ストレッチを行うと気になった部分が伸びて気持ちいいですよね!でもストレッチの効果って詳しくご存知でしょうか?ストレッチで痩せるという記事も見たことがあると言う方も多いかと思いますが、果たしてストレッチで痩せることは可能なのでしょうか?今回はストレッチと脚のストレッチに関して詳しくご紹介致します。

福本 晋平
この記事の監修者
ふくもと治療院院長
ふくもと治療院院長 健康を考えることは、自分自身を見直すことです。それには、正しい情報と実践が必要不可欠です。 今は情報が氾濫しています。身体にとって間違ったことをしていると必ず悪化します。 これまで多くの患者さんがその方に合っていないこと、間違った方法を実践され、適切に取り組めていないのが現状です。3000年以上脈々を受け継がれている東洋医学には日常の生活から身体を改善するノウハウがたくさん詰まっています。東洋医学の教えや、私自身の治療経験を元に皆様に分かりやすく、正しく、実践に基づいた情報を提供します。 日本においても私たちのような東洋医学は、日本人の持つ繊細さや高い感性により独自の発展を遂げてきました。日本においてはあまり馴染みのない医学ですが、ヨーロッパ、アメリカ、韓国、中国などでは国の医療機関で行われています。一人でも多く自国の持つ素晴らしい伝統的な治療を受けて頂きたいと願っています。 困っておられる症状を、患者さんと一緒に改善していくことで感謝される。私自身何物にも代えられない大きな喜びです。 一人で悩まずにお困りのことをぜひご相談下さい。一緒に治療していきましょう。私も、皆様の健康の為に日々治療技術を高め、精進していきます。
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ストレッチの効果とは

ストレッチをしている女性ランナー

ストレッチというと単なる柔軟運動でしかないと思われがちですが、実はストレッチをすることには大きな意義があります。ストレッチによる体への影響について、詳しくお話していきます。

身体が柔らかくなる

ケガをしにくい

学校の体育の授業のはじめに、ストレッチをさせられた記憶はありませんか?ストレッチを運動前に行うことにより、筋肉をほぐすことで怪我予防になると考えられてきました。

しかし、最近では運動前のストレッチについては賛否両論あるようです。運動前のストレッチ法としては「動的ストレッチ」という方法がおすすめです。動的ストレッチとは、同じ動きを繰り返すもののこと。例えば、ラジオ体操は同じ動作を繰り返す良い運動法です。

運動の効果が上がる

運動の前後には、ウォームアップやクールダウンのためにストレッチするのが一般的です。これは運動の効果を高める意味があります。筋肉が柔らかくなると、同じ運動をしてもエネルギー消費が高まり、トレーニング効果が得られやすくなるためです。

肩こり腰痛の改善

肩こりは特に日本人が抱えやすい悩みです。同じ姿勢が続いたり、重たいものを持つことで肩の筋肉が硬直して、血流が悪くなってしまいます。血流が悪くなると、疲労物質が蓄積しやすくなり、ますます肩のこりが抜けにくくなります。

肩こり解消には、肩まわりだけでなく、脚や全身の筋肉をストレッチすることで、血流の良い体を目指していくことが大切です。

リラックス効果

睡眠の質アップ

ストレッチにはリラックス効果もあります。脳から発するアルファー波が増えて、副交感神経が優位にはたらくようになり、体もココロもリラックスできます。寝る前にストレッチを行うようにすると、寝つきもよくなりますよ。疲れて何もしたくない!という日もあるかもしれませんが、むしろストレッチをした方がよく眠れるようになります。

疲労回復

続けると疲労が溜まりにくくなり、疲労からの回復しやすくなります。血流が良くなり、乳酸などの疲労物質が溜まりにくくなるためです。どんなに疲れていても、ちょっとの時間のストレッチを心がけるようにすることで、翌日に疲れを持ち込まないようにしましょう。

ストレッチのダイエット効果とは!?

ストレッチでは痩せない

運動が苦手な方は、「ストレッチするだけで痩せる!」ということを信じてしまいがちかもしれません。しかし、残念ながらストレッチだけで、直接的に痩せることはありえません。ストレッチ自体の消費カロリーはわずかであり、体重が落ちたり、脂肪燃焼効果は考えにくいです。

いくらストレッチを繰り返し行っても、ストレッチそのものによるダイエット効果は期待できません。むしろ、やり過ぎにより怪我をすることもあるため、ストレッチだけで痩せようとしてむやみに行わないようにしてくださいね。

その後の運動で痩せやすくなる

では、ダイエットにストレッチに意味がないのか、というとそういう訳ではありません!運動前にストレッチを取り入れることで、同じ運動をしてもダイエット効果が出やすくなります。

身体が柔軟になることで、可動域が広くなり、エネルギー消費や脂肪燃焼効果が大きくなります。

寝る前のストレッチで痩せ体質になる

運動が苦手な方は、寝る前のストレッチだけでもおすすめです。寝る前にストレッチすることで、全身の疲労とむくみを改善します。それだけでなく、脂肪を分解する作用のある成長ホルモンの睡眠時の分泌を促します。

また、睡眠不足は食欲ホルモンのグレリンの分泌を増やしてしまいます。寝る前のストレッチで良質な睡眠をとることで、グレリンが抑えられれば食べ過ぎも減ってきますよ。

  1. ベッドや布団の上で、仰向けになって寝る。
  2. 右足を胸の方に引き寄せ、右ひざを左足の反対へ倒していきます。目線は足と反対側の右のほうを向くとストレッチが高まります。伸びを感じながら10秒キープしましょう。
  3. 反対側も同じように繰り返してください。
  4. 呼吸を止めずにゆっくり続けましょう。

脚の疲労回復目的のストレッチ

ハイヒールのせいでむくんだ脚をマッサージをしている女性

一日中立ちっぱなし、歩きすぎなどにより足が疲れたなあ、という時、マッサージも良いですがストレッチも疲労回復に効果があります。脚の疲労回復に効くストレッチをご紹介します。

①仰向けで背伸びストレッチ

全身でゆっくりと伸びをすることで、リラックスと疲労回復効果が期待できるストレッチです。

  1. 仰向けになって寝ましょう。
  2. 両手を頭の上方にまっすぐ伸ばして、バンザイのポーズをします。手と足を反対方向に引き合うように、グーっと伸びをします。肩やももに力をいれないように気をつけましょう。
    1回10秒ほど呼吸しながら行います。3から5セットが目安です。

②大臀筋(だいでんきん)のクロスストレッチ

全身のストレッチが終わったら、おしり周りの大臀筋をストレッチしましょう。1日中デスクワークで椅子に座ったままや立ち仕事では、おしり周りの筋肉が硬くなりやすいです。腰痛予防にもなるため、よくストレッチしましょう。

  1. 仰向けで寝ます。
  2. 右足を立てて、左の足の膝の上に乗せます。左手で右膝に触れて、左側の方へ向けて引きます。右足のかかとが左足の膝から離れないよう注意してください。
    ゆっくり呼吸しながら1分ほどキープします。終わったら反対側も行いましょう。

③足くみクロスストレッチ

お尻から太ももにかけて、さらに伸ばしていきましょう。座ったまま行うポーズなので、テレビを見ながらでも出来る方法です。

  1. 足を両方とも前に伸ばして座ります。
  2. 右足を左足の膝の隣にクロスさせます。
  3. さらに左足を曲げて、かかとを右のおしりの方まで持ってきます。
  4. 右足をぐっと胸の方に引き寄せます。
    10秒ほどストレッチしたら、足を組み替えて反対側も行いましょう。

脚の柔軟目的のストレッチ

マットの上でストレッチをする女性

脚や身体の筋肉を柔らかくするためにストレッチをしたいという方も少なくないでしょう。身体が柔らかくなるだけで、血行も良くなり、ダイエットも成功しやすくなります。脚を効果的に柔軟させる方法をご紹介します。

①太もも痩せのための股関節の柔軟

脚の柔軟運動として、欠かせないのは股関節周りのストレッチです。股関節周りにはリンパ節があり、この部分の血流をよくすると、足の疲労が取れるだけでなく、全身の血流アップにもつながります。また、股関節の可動域が狭いと、太ももやふくらはぎも硬くなり、太くなりがちです。

バレリーナや新体操の選手はベターっと開脚できるほど柔軟で、美しい脚を持っていますよね。ぜひ、股関節周りのストレッチを行って、脚の柔軟性を高めましょう。

  • あぐらのような姿勢を取り、足の裏を合わせて座ります。この時、お尻の下にある坐骨の骨があたるように、お尻の肉はかきわけて座り、背筋は伸ばしましょう。
  • 合わせた両足が離れないように、両手を足に添えて押さえます。
  • かかとをできる限り自分の股関節の方へ引き寄せていきます。
  • この状態のまま、膝を上下に動かします。20回程度、バタバタさせましょう。
  • 次に、両手を膝の上に乗せて、ゆっくりと床の方へプッシュしていきます。
  • 床に膝がつくような感じで、呼吸しながらグーっと押さえます。
  • 2から6を5セット行いましょう。

ただし、股関節に痛みや違和感を感じる方は、怪我のもとになるため、無理をしないようにしてください。お風呂上がりの体が温まっているときは柔軟性が高まります。やりすぎて怪我をしないよう気をつけましょう。

② 大腿部(太もも)裏のストレッチ

次の方法は、大人気の書籍「ベターっと開脚」でも推奨されている太もも裏のストレッチ方法です。大きく足を開いて座ったときに、足を曲げないと座れない方、身体をまっすぐ起こせない方は太もも裏の筋肉の硬さが原因かもしれません。太もも裏をしっかり伸ばしていけば、ベターっと開脚も夢ではありませんよ。

  • 手ぬぐいや長めのタオルを用意します。
  • 仰向けになって横になり、両膝は立てておきます。
  • タオルの両端を手で持ち、片方の足裏にタオルをかけます。
  • 脚を伸ばしてタオルをぐーっと引っ張ります。この時、上半身が浮かないように気をつけましょう。
  • 辛いかもしれませんが膝は曲げずに、脚の裏全体を伸ばすことが大事です。

負荷を高めたい方は脚を頭の方へ引き寄せていきましょう。30秒程度続けて行い、反対側も同じように行います。

③ シコ踏みストレッチ

股関節周りと太ももをストレッチできる方法です。立位で行うので、外でも出来る方法です。

  • 脚を肩幅よりも大きめに開いて、つま先は外へ向かせます。
  • 膝を曲げていき、シコを踏むような体勢まで腰を下に降ろしていきます。
  • 手は太ももの内側においておきましょう。
  • 腰を上下に20回程度揺らして、股関節をほぐしていきます。
  • 続いて、片方の肩だけ内側に入れて、腕を伸ばします。この状態で、再び腰を上下に20回揺らします。
  • 反対側の肩に入れ替えて、繰り返しましょう。

効果的なストレッチの方法

伸びをしている女性

ストレッチは単にやれば良いというものではありません。ポイントを意識して行うのと、そうでないのでは、効果も大きく変わってきます。ストレッチ効果を高めるために、次の4つのポイントを意識して行っていきましょう。

呼吸を意識

呼吸とストレッチは連動させた方が効果的です。息を止めると、筋肉はギュッと緊張しがちになります。呼吸しながら行う方が、筋肉がリラックスしてほぐれやすくなるのです。

呼吸は息を吸う「吸気」と吐く「呼気」が交互に行われるものです。この吸気には、リラックスに関わる副交感神経が働きます。

筋肉をより伸ばすためには、息を吐きながら行った方が、ストレッチ効果が高まるのです。ぜひ、呼吸は止めずに、呼吸を意識しながらストレッチすることをおすすめします。

呼吸が自分で唯一できる自律神経の調整法です。現代人はストレス社会とも言われ、呼吸が浅く、交感神経優位の人が多いです。そのため深呼吸をして眠るだけでも普段より深く眠れるという効果も感じられるかもしれません。

時間をかけて

ストレッチは少し行ったくらいでは、なかなか効果が得られません。ある程度の時間をかけて、じっくりと筋肉の柔軟性を高めていくことが大切です。

1部分のストレッチには、最低でも15秒から30秒はかけたいところです。首の筋肉のような、繊細で小さな部位ならば15秒程度でも十分でしょう。逆に、お尻の筋肉のように大きな部位は、じっくりと時間をかけて行うことが必要です。

伸ばし過ぎない

ストレッチをやりすぎて、伸ばし過ぎてしまうことを「オーバーストレッチ」といいます。オーバーストレッチになるのは、次の理由があります。

・強度が強すぎるストレッチ

・伸ばす時間が長すぎる

早く身体を柔らかくしたいからといって、無理な強いストレッチや、長くやり過ぎることは禁物です。伸ばしすぎることで、逆に筋肉が縮む指令が出されて、痛みを起こすことがあるのです。

このわかりやすい例が「寝違え」です。同じ方向にずっと筋肉が伸び続けてしまった結果、神経が働いて筋肉を収縮させてコリを生じてしまいます。

ストレッチ時間は60秒を超えないことが目安です。また、痛みを感じたら中止しましょう。

身体をあたためてから

朝起きてから、すぐにストレッチをしようとしても、全然身体が伸ばせないという経験がある方も多いと思います。朝は身体も温まっておらず、筋肉も一番縮まっているので、ストレッチしにくいのです。

同じように日中のストレッチでも、身体が温まっている状態で行った方が、ストレッチ効果は高まります。特におすすめなのは、お風呂上がりです。身体が硬い方でも、お風呂上がりならば、比較的伸びが良いので痛みを感じにくいですよ。

温熱療法によるストレッチ効果の増加が、研究報告でも明らかとなっています。外出先でも自宅でも、まずは身体を少し温めてからストレッチすることをおすすめします。

ストレッチは健康増進

脚のストレッチ方法を中心にご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?脚は毎日移動に生活に使う、大事な体の一部です。脚をしっかりストレッチしていくことで、足の疲労対策や引き締めはもちろんのこと、全身の健康増進にもつながります。ぜひ、脚のストレッチを継続して、健康的な身体づくりを目指してくださいね。

参考資料:The effect of heat applied with stretch to increase range of motion: A systematic review」