ニキビの中でも厄介なのが、固く、しこり状になったもの。メイクをしても隠しづらく、痛みやかゆみも伴う上に、何度も同じところにできて困っているという方もいるでしょう。では、そんなしこりニキビを治すにはどうすればよいのでしょうか。しこりニキビが出来てしまう原因から、効果的な治療方法まで解説します。
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しこりニキビの特徴
しこりニキビは硬結ニキビとも呼ばれます。触るといたみや違和感があり、かゆみを伴うこともあります。
ニキビは、肌に皮脂や老廃物がたまることで起こる病気です。
皮脂が過剰に分泌されたり老廃物がうまく排出されなかったりすると、それが毛穴に詰まり、白ニキビや黒ニキビになります。
さらに、それを栄養源にアクネ菌が増えると、アクネ菌を倒そうと白血球が働き、炎症が起こります。これが赤ニキビです。アクネ菌が倒されると、今度はそれが膿となってたまり、黄ニキビとなります。
白血球はアクネ菌を破壊しますが、同時に肌の質を保つコラーゲンやエラスチンまで破壊してしまいます。すると、破壊された分を補おうとして細胞の数が一気に増殖します。その結果、肌が硬く腫れ上がり、しこり状のニキビになってしまうのです。
しこりニキビはニキビの最終段階といってもよく、治療は簡単ではありません。また、放っておくとニキビ跡になったりクレーター状の跡が残ってしまうこともあります。正しい治療法やケアの方法を実践することが大切です。
ニキビの直接の原因は皮脂や老廃物ですが、これらが増加する原因には次のようなものがあります。
- 肌の乾燥による皮膚の硬化
- ホルモンバランスの乱れ
- 腸内環境の悪化(便秘など)
- 睡眠不足
- 食生活の乱れ
- 体の冷え
ニキビを治しても、こうした根本原因が亡くならない限りは何度も再発してしまいます。心当たりがあるものがあれば、解消していきましょう。詳しくは第3章で解説します。
しこりニキビの種類
しこりニキビには、大きく分けて2つの種類があります。ひとつが、ニキビが赤く腫れる「赤いしこりニキビ」、もうひとつが「芯が見えないしこりニキビ」です。
どちらのタイプかによって適した治療の仕方も違います。まずは特徴を見ていきましょう。
赤いしこりニキビ
ニキビが赤く腫れ、中心に白や黄色の芯が見えている状態です。
皮脂などの老廃物が肌の表面近くに詰まって炎症を起こしているのが原因で、さらに悪化すると血液が混ざり、紫色になることがあります。
しっかりと保湿をして肌を柔らかい状態に保ち、睡眠や食事を見直して代謝を活性化させてあげれば、自然と膿が排出されてきれいに治ることもあります。
また、表面近くで炎症が起こっているので、塗り薬による治療も効果を発揮します。
たまった膿を排出することで治りを早くすることもできます。
セルフで行うときは、コメドプッシャーという専用器具を使うか、消毒した針で皮膚に穴をあけて、指の腹で膿を優しく押し出します。全てを出し切ろうとせず、出せる分だけ押し出しましょう。
押し出した後は清潔な手で傷口を洗い、軟膏やワセリンを塗って絆創膏を貼っておきます。絆創膏はよれたりよごれたりしたときには張り替えながら、傷口が治るまではり続けます。
正しい方法で行えば治りが早くなりますが、無理やり押し出したり、アフターケアをきちんとしなかったりすると、かえって肌を傷つけ、ニキビの悪化やニキビ跡の原因になります。よほど自信がある場合でなければ、避けた方がよいでしょう。
ニキビの芯が見えないしこりニキビ
芯が見えないしこりニキビは、老廃物が毛穴の奥に詰まって、そこで炎症が起こることで発生します。
腫れてはいても赤みがないこともあり、触ってもあまり痛みを感じないこともあります。それは、炎症が奥深くで起こっているためです。
また、初めは芯が見えなかったしこりニキビでも、代謝によって膿が押し出されてくることで赤いしこりニキビになることもあります。
ただし、この場合でも原因は肌の奥深くにありますから、表面上は治ったように見えても何度も再発してしまうということが起こります。膿や芯を押しだそうとしても深い部分は残ってしまうので、いたずらに毛穴を広げるだけになってしまいます。絶対にやめましょう。
このタイプのしこりニキビは赤いしこりニキビと異なり、表面からの治療が難しいという特徴があります。スキンケアや塗り薬では炎症が起きているところまで届かないのです。
ですから、芯が見えないしこりニキビを治すには、食事や睡眠など、身体の内側からのケアが重要になります。
どうすれば固いしこりニキビが治るのか
硬くなってしまったしこりニキビは、治すのにも時間がかかります。しかし、原因を改善することで、治療はもちろん、再発予防にもつながります。美しい肌を手に入れるためにも、慌てて治そうとせず、体の中と外からケアしてあげましょう。
スキンケアで治す
ニキビは肌の病気ですから、スキンケアによって改善することができます。特に赤いしこりニキビに対しては効果的です。
肌を清潔に保つ
ニキビの原因は過剰な皮脂や老廃物なので、これらを取り除くことで改善、予防になります。
洗顔料は、肌の炎症を抑える効果があるもの、さらに、肌のターンオーバーをうながすマイルドピーリング効果があるものを選びましょう。
洗顔後はしっかりと保湿をするのも大切なポイントです。手で優しく押さえるようにして化粧水を2~3回に分けて浸透させ、乾燥を防ぐために乳液を全体に薄くのばします。
また、ニキビが気になるからといって、何度も洗顔をするのは逆効果です。肌に刺激を与える原因になりますし、必要な皮脂まで奪われて乾燥してしまいます。
多くても朝晩の2回、泡立てネットなどを使ってしっかり泡だてて、優しく洗いましょう。
あまり顔に触らない
顔に触れないように意識しましょう。
ニキビが気になるあまり何度も顔に触ってしまう人もいますが、これは、手についた汚れや皮脂を顔に塗りつける行為です。また、肌に刺激を与えることにもなり、ニキビを悪化させてしまいます。
同じように、髪の毛もできるだけ肌に触れないようにしましょう。おでこのニキビなどはどうしても前髪で隠したくなってしまいますが、家にいるときは前髪を留めておくなど、できるだけ肌に刺激を与えないように心がけましょう。
生活習慣を見直す
体の内側からきれいにすることで、過剰な皮脂の分泌を抑えたり、老廃物の排出をスムーズにしたりといった効果が期待できます。また、ニキビの根本的な原因を解決できれば、再発を防ぐことも可能です。
ホルモンバランスを整える
ホルモンバランスが乱れると、男性ホルモンが多くなって皮膚が硬くなったり、皮脂の分泌量が多くなったりします。また、抵抗力や代謝能力が衰え、ニキビができやすい状態になってしまうのです。
ホルモンバランスを整えるには、充分な睡眠、バランスのとれた食事の他、身体を温めることも効果的です。普段シャワーだけで済ませるという人は、2日に1度でもいいので、ゆっくり湯船につかりましょう。代謝も促進され、お肌には嬉しいことばかりです。
また、ストレスもホルモンバランスを崩す原因になります。日頃ストレスを感じているという人は、状況を変えるか、ストレス発散の方法を見つけてみましょう。
睡眠をしっかりとる
質のよい充分な睡眠は、ホルモンバランスを整え、さらに、肌のターンオーバーを促進してくれます。理想は8時間、短くても6時間は確保したいところです。夜の10時~2時の間に睡眠をとることで成長ホルモンが多く分泌され、肌質改善に効果的だといわれています。
質のよい睡眠のためには、寝る3時間前には食事を済ませたいところです。
また、寝る直前にパソコンやスマートフォンを見ていると、寝付きが悪くなったり眠りが浅くなったりします。眠る30分前にはスマートフォンなどを見るのをやめ、目と脳を休めましょう。
バランスのよい食事をとる
私たちの体は食べたものから作られていますから、食事は非常に重要です。
肌によいビタミン類はもちろん、肌をつくるたんぱく質や、美肌に効果的なオメガ3脂肪酸を積極的に摂りましょう。また、腸内環境改善、便秘予防のために食物繊維を摂取することも大切です。
脂質の多いスナックやファストフードを避け、主食、主菜、副菜のそろった定食風の食事を心がけましょう。
クリニックでの治療をする
ニキビを早く治したいという方には、クリニックでの治療がおすすめです。お金はかかりますが、跡も残りにくく、短期間できれいに治してくれます。ここでは、病院で行う治療法を紹介します。
レーザー治療
レーザー治療には、アクネ菌を殺すもの、毛穴をふさいでいる角栓を除去するもの、毛穴にダメージを与えて余分な皮脂の分泌を抑えるものなどがあります。
また、ニキビ跡治療に特化したレーザーにも、色素沈着に効くもの、クレーターに効果的なものなどの種類があります。
クリニックによって使っているレーザーが違うので、自分に合ったものを探してみましょう。
料金もクリニックによって変わりますが、相場は1回9000円前後となっています。
注射治療
注射治療は、ニキビができているところに直接、治療薬を注射する方法です。
有効成分を直接患部に注射するので即効性があり、腫れや痛みがその日にひいたという例もあります。今すぐにしこりニキビを治したいという人にはおすすめの方法です。
クリニックによって料金は大きく変わります。1000円前後のところもあれば3000円ほどかかるところもあるので、実績や治療内容を調べた上で、自分が納得できるところを選びましょう。
もしかしたらニキビじゃないかも
スキンケアや生活改善をしても治らない、いつもと違う場所にニキビのようなものができたというときは、実はニキビ以外の病気かもしれません。
毛嚢炎(もうのうえん)
毛嚢炎は、表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌が毛穴に感染することで発症します。見た目はニキビとよく似ていて、赤く腫れ、膿がたまった状態になります。
原因は、無駄毛の自己処理や脱毛といわれています。脱毛後にニキビのようなものができたら、毛嚢炎かもしれません。また、ニキビとは異なり、汗をあまりかかない場所にもできるという特徴があります。
清潔にすることを心がけておけば多くの場合自然治癒していきますが、気になる場合は病院を受診しましょう。
粉瘤(ふんりゅう)
粉瘤は、皮膚にできる良性腫瘍で、表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)やアテローマ、アテロームとも呼ばれます。
見た目は黒ニキビに似ていて、腫れた部分の中央に黒い開口部が見えます。中は毛穴の一部が袋状になり、そこに角質がたまっている状態です。雑菌が入ると炎症を起こすことがあり、腫れや痛みを伴います。
治療は、皮膚を切開して袋状になった部分を丸ごと除去します。
大きくなると癌になる恐れもあるので、小さいうちの手術が必要です。黒ニキビがなかなか治らない、しこりのようなものが大きくなっていくという場合は粉瘤の可能性がありますから、早めに皮膚科を受診しましょう。
生活習慣を見直してしこりニキビを無くそう
しこりニキビは、ニキビが悪化して硬く、治りにくくなってしまった状態です。
ニキビの原因は皮脂や老廃物で、これらは、食生活の乱れや睡眠不足、ストレスによるホルモンバランスの乱れなどが原因で増えていきます。どんなにスキンケアに気を使い、クリニックで治療を受けたとしても、こうした根本原因が改善されなければ、結局、何度も再発を繰り返してしまいます。
ニキビを治し、再発を防ぐには、普段の生活を見直すことが一番の近道です。一気に生活を変えるのは難しくても、まずは食事を変えてみる、睡眠時間を長くとってみるなど、できることから始めてみましょう。
生活が改善されれば、お肌の調子もぐっと上向きになるはずです。