毎日ていねいに歯みがきもフロスもしているのに、「フロスをしたあとのフロスのにおいが臭い!」と思ったことはありませんか?フロスが臭うことは必ずしも悪いことではないのですが、場合によっては健康に関する危険信号の可能性もあります。
この記事ではフロスのにおいと口臭の関係、フロスと歯周病についてご説明していきます!日頃のフロッシングを頑張っている方も口臭が気になっている方もぜひ読んでみてくださいね。
フロスとは?
そもそもフロスとは何なのでしょうか。歯科検診などにいったときに歯医者さんで紹介されたことのある人もいるかもしれませんね。もしくは薬局の歯ブラシ売り場で見かけたことがある人も多いと思います。
フロスは歯ブラシだけでは取り切れない歯と歯の隙間の汚れを除去するための道具で、歯の健康のために1日1回以上の頻度で使うことを推奨されています。
歯ブラシが入らないような歯と歯の狭い隙間に糸のようなものを入れてスライドすることで汚れが取れる仕組みです。この糸(フロス)は、汚れがよく取れるように200〜300本ほどの非常に細いナイロンの繊維をより合わせて作られています。
フロスのタイプは大きく2種類
フロスは大きく分けて2種類のタイプがあります。
1つ目はロールタイプ(糸巻きタイプ)。ナイロンで出来た細い糸がくるくるとロールして容器に収めてあります。使うときはこの容器からセロテープを使うときのように必要分を出して切ります。
それを両手で持って歯の隙間にいれ、ノコギリを使うときのようにやさしく動かすことで歯の隙間にたまった汚れを取ることが出来ます。前歯でも奥歯でもどの歯でも使いやすい形状ですが、使いこなすためにはコツが必要です。
使いやすいようにワックスが塗られているタイプ、ミントやレモンなどの味がついているタイプ、摩擦でふくらむタイプなど様々な種類があります。ロールタイプのフロスは容器も小さく、携帯できるようにキーホルダーになっているものもあります。
2つ目はホールドタイプ(糸ようじタイプ)。プラスチックの柄にフロス(糸)がぴんと張られています。P型とY型があり、Y型のほうが奥の歯も磨きやすいので歯科医が使用を推奨しています。
柄を持って糸の部分を歯と歯の隙間に入れ、こちらもやさしくノコギリのように動かすことで歯の隙間の汚れを取り除きます。
糸巻きタイプに比べると奥歯の掃除が難しいのですが、柄がついているので初心者でも使いやすいです。薄くかさばらない上に、一回一本を目安に使うため使用分だけを持ち運ぶことが出来ます。
フロスの普及率は10年前に比べ2倍に増加しているけど
2016年にデンタルケア商品の企業が行った調査によると、10年前に比べてフロスを使用している人が2倍ほど増加しています。
フロスを使い始めるきっかけは歯科医院で歯科医に薦められて…というケースが多いです。2012年に厚生労働省が予防歯科を推進したいという発表をしたこともあり、全国の歯科医も従来の治すということだけではなく、予防することにも力を入れてきた結果だと考えられます。
ところが、10年前よりもフロス使用率自体は従来の2倍にまで上がったものの、現在のフロス使用者は1000人の調査のうち20%しかいなかったのです。
ちょっとわかりづらいですが、10年前にフロスを使用していた人があまりにも少ないために、使用率が2倍に増えても人数で見たらまだ20%までしかいかないということですね。
これに比べて歯科医療先進国のスウェーデンではフロスの使用率は50%以上にも登ります。つまり、日本人に中にはまだまだ歯垢を取り去る余地のある人が多いということですね。
デンタルフロスで歯垢除去率が2割アップ
歯ブラシだけでブラッシングすると歯と歯の間の歯垢の除去率は58%ですが、さらにデンタルフロスを使用すると除去率は86%に上がるという調査結果があります。いかに歯ブラシでは取り切れない場所があるかということがよくわかりますね。
フロスが臭い!原因は!?
さて、歯垢除去にとても有用なフロスですが、「フロスを使った後のにおいがすごくくさい!」という経験はないでしょうか。こんな臭いものが口に入っていたということは口臭もすごく臭かったのでは…?と思ってしまいますね。
歯垢のにおい
フロスのにおいの大半は歯垢のにおいです。フロスは歯と歯のあいだに付着した歯垢(口の中の細菌が食べかすを処理して排出した細菌の便のようなもの)を掻き出しているのでそれらが臭くても自然なことです。たしかに歯垢が溜まっているときは口臭にも影響はしますが、健康上の問題は特段ありません。
とくにフロスを使い始めたばかりの時期は、これまでに放置して口腔内に溜め込んでいた歯垢が一気に取れるのでより臭いと感じがちです。毎日フロスで丁寧にケアをしていると、だんだんにおいはしなくなっていきます。
また、本来フロスは使い捨てるものです。もったいないからと言って同じものを何度も使用しているとフロスに新たに細菌が繁殖して臭くなってしまうことも考えられます。
あまりに臭いと歯周病の危険性あり
このくさいフロスからは歯垢のにおいがするのはわかったけど、それにしてもフロスが臭い!「なんだか異常なにおいがする…」「離れていてもにおいがするレベル」という場合は、細菌や膿のにおいである可能性があるので一度歯科医に相談することをおすすめします。
とくにフロスが以前よりも歯周ポケット(歯と歯茎の間)に深く入り込み過ぎると感じたり、フロスを使用した際の出血が2週間以上続くようなときは歯周病にかかっている可能性が高いです。フロスを使うことで自身の健康チェックも兼ねられるというわけですね。
ちなみに口臭の原因のほとんどは歯周病などの口腔内の問題なので、口臭が気になっている人は要注意です!フロスをきっかけに口臭の元凶を絶つことが出来るといいですね。
食べたもののにおい
にんにくや焼肉、コーヒーなどにおいのきついものを飲食した直後だと食べ物のにおいがフロスに付いてしまうことがあります。気になるようであれば一度口をゆすいでから、もしくは歯みがきをしてからフロスを使い始めると気にならなくなります。
正しいフロスの使い方
この記事を読んでいる皆さんの中にはすでにフロスを日常的に使っているという方も多いと思いますが、自己流で使用していたり、長年使うことで変なクセがついてしまうこともあります。
ということで、もう一度正しいフロスの知識についておさらいをしましょう!これから口臭対策のためにフロスを使いたいと思っている方もぜひ読んでみてくださいね。
正しいフロスの使用方法
①ロールタイプ(糸巻きタイプ)の使い方
1.指先から肘くらいの長さ(約40センチ)までフロスを取り出し、容器についているカッターで切ります。
2.両方の中指に2〜3回巻きつけ、両手の間隔が10センチ程度になるようにします。
3.両手の人差指と親指でフロスを持ちます。
4.フロスを左右に動かしながら歯と歯の間に入れます。(パチン!と力任せに下に押しこみながらフロスを歯と歯の間に入れると歯茎を傷つける恐れがあります)
5.ノコギリのように左右に動かしながら、歯間の上下を移動させます。この時左右の歯両方に添わせて歯茎のポケットの中にフロスを入れるとより汚れが多く取れます。(痛みのない範囲で)
6.歯の間からフロスを抜くときもゆっくりやさしく左右に動かしながら抜きます。もしすんなり抜けない場合は片方の指のフロスを解いてから抜きましょう。
7.歯の側面の汚れが取れたら隣の歯へうつります。今の作業で汚れた部分はずらして、フロスのきれいな部分で始めます。
8.使い終えたフロスは捨ててください。
スーパースマイルのデンタルフロスは特許成分であるカルプロックスとベーキングソーダを配合していますので歯と歯の間に潜むバクテリアとプラークを安全に除去します。初心者でも使いやすいワックスつきなのでおすすめです。
②ホールドタイプ(糸ようじタイプ)
1.柄の後方を持つと力が入りすぎてしまうので、柄のフロスに近い部分を握りましょう。
2.ロールタイプのときと同じように左右に動かしながら歯と歯の間に入れます。
3.ノコギリのように左右に動かしながら、歯間の上下を移動させます。こちらも先ほどと同様に歯茎のポケットの中まで糸の部分を入れます。
4.歯の間からフロスを抜くときもゆっくりやさしく左右に動かしながら抜きます。
5.歯の側面の汚れが取れたら隣の歯へうつります。前の歯の歯垢がついている場合は水道水で流してから使用しましょう。
6.つかい終えたフロスは捨ててください。使い捨てタイプではないフロスを使用した場合は添付の説明書をよく読んでケアをしてください。
ライオン DENT.EX ウルトラフロスはY字型で奥歯の間も入れやすいため初心者も簡単に通すことができます。持ち手もしっかりしているので安定しています。
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最適な使用頻度
フロスの使用頻度は1日1回〜2回です。時間がないときはとくに歯茎の健康状態が気になる場所だけでもやっておくと安心です。
歯科検診の時に自分の歯並びの構造上、歯垢が溜まりやすい場所を聞いておき、そこは必ずフロッシングする!と決めるのも一つの手です。
使用のタイミング
実はフロス使用のタイミングは諸説あります。「食後は食べ物のカスが歯間に多く詰まっているので食後の歯みがきのときがいい」「食後は食べ物のカスが詰まっているのでフロスをすると食べ物のカスを上から押し込むことになるので食後はNG」「食事の直後は口腔内が無菌状態なのでこのときにフロスをするのは非効率的」など、専門家によって意見が別れているのが実情です。
ただ、寝ている間は唾液の分泌がされないため、歯垢が多く残っていると口腔内の細菌が活発化しやすいということから、「寝る前のフロス」もしくは「起床後のフロス」を薦める専門家が多いです。朝は忙しいですし、夕食後にゆっくりして、寝る前に歯みがきとともにデンタルフロスを使用するのが良さそうですね♪
『Floss or Die!』
『Floss or Die!』これは1990年台にアメリカで歯周病予防キャンペーンが行われたときのキャッチコピーです。直訳すると「フロスをして生きるか、フロスをしないで死ぬかどっちかしかない!」というニュアンスです。
実はこれ大げさのようで本質をとらえていて、どういうことかと言うと歯磨きだけでは歯の汚れは取れません。そうすると歯周病が進行しいずれ歯が抜け落ちてしまいます。歯が抜けてしまうと人の寿命は短くなりますし、歯周病によって全身疾患になる確率も大幅に上がりますので結果的にフロスをしなかったために死んでしまうということです。
一見笑ってしまうようなキャッチコピーですが、フロスがどれだけ大事かということが一瞬でわかる非常に良く考えられたキャッチコピーです!
フロスをして口臭改善
口腔内のゴミである歯垢はゴミゆえに、においます。その歯垢を毎日除去することができれば当然ながら口臭は軽減できます。もし歯垢を放置したままでいると歯垢は唾液の中のカルシウムやリンと混ざり合って歯石を形成します。
歯石を形成すると歯の表面に凹凸ができるために歯みがきがしづらくなってしまい、口臭の別の原因でもある歯周病を起こしやすくなります。
フロスで歯周病・虫歯予防
歯と歯の間につまった歯垢から歯周病菌が発生もしくは増殖して歯周病を引き起こすことも多くあるので、フロスで歯垢を落とすことは歯周病や虫歯の予防になります。全国の歯科医がすすめていることもうなずけますよね。
フロスで長生きしよう!
フロスを使うことであらゆる重病にかかるリスクを減らしたり、年をとっても健康で快適な生活をおくることが出来るのです。
じつは歯周病を引き起こす細菌は口の中からのどを通ったり、歯肉を入り口として直接血管に入ったりすることで、全身のあらゆる場所に巣食うことが出来ます。
実際に歯周病の人は健康な人に比べて心筋梗塞を起こす可能性が3倍も高いのです。なぜかというと、歯周病菌が血流に乗って炎症を起こし、その炎症の部分に血栓ができてしまうからです。
また、死産や低体重児を出産した母親の子宮の中に歯周病菌の毒素が発見されたケースもあります。その他にも骨粗しょう症や肺炎、糖尿病とも深い関わりがあります。歯周病でなければ死亡にまで至らなかった病状なのに…ということも。
また、日本には歯周病菌によって歯がどんどん抜けてしまい、総入れ歯になってしまうお年寄りが多いということで世界でも有名なのです。
せっかく長生きをしても自分の歯が使えずに毎日入れ歯の手入れをし無くてはならない生活は想像しただけでも不便ですよね。人生のQOLを向上させるためにも歯周病予防は大切なことなのです。
歯は外気に触れられる場所にありながらも、体の内部を貫いている特殊な器官なので、歯周病菌の入口になりやすいのです。入り口を突破されて体内に侵入されてしまえば私たちは病状が現れるまで何も出来ません。それゆえ毎日の口腔ケア(=入口を守ること)がいかに大事かということがよくわかりますよね。
フロスでQOLの向上を!
この記事を読んだあとは是非あなたの日々のフロッシングを改めて観察してみてください。においはどんなものか、出血は続いているのか…フロスを使うことで口臭予防だけではなく歯周病予防や全身の健康につながるなんて、すばらしいことですね。
今はフロスが臭くてうんざりしていても、歯周病にかかっていない限りは使い続けているうちに臭いにおいが気にならなくなるので根気強く続けてみてくださいね。
まだフロスを使ったことのない人も、フロッシングに慣れないうちは週に数回でもやらないことに比べたら十分ですし、フロスにもさまざまな商品があり、ドラッグストアで購入することが出来るのでぜひ気軽にためしてみてください♪