子供の口臭を感じたらすぐ対策!隠れている病気の可能性も?

日々成長する我が子、最近、何だか口臭を感じるんだけど……もしかしたら虫歯? あるいは病気の兆候? 病院に行ったほうがいいの? こんなふうに悩んでいる親は意外と多いんです。

実際、子どもにも口臭が起こりますし、子ども特有の原因が考えられます。大人の口臭とはちがう点もありますので注意が必要です。今回は、気になる子どもの口臭について説明させていただきます。

柴田はるひ
この記事の監修者
歯科衛生士
歯科医師として、30年近く審美治療にかかわってきて、治療後に患者様の笑顔がより輝いてくることに大きな喜びを感じています。 ホワイトニングや矯正治療後に、「これまでコンプレックスだった箇所が自慢の個所に変わった!」「よく笑うようになった!」など「患者さまの人生を変えることに貢献できた!」と思える瞬間が歯科医師としての一番の喜びだと思っています。最近心に残った言葉は「幸せ」には「人から与えられる幸せ」「自分の力で何かを得る幸せ」「他人に与える幸せ」の3種類あり、「他人に与える幸せ」を知っている人が最高の幸せ者である、という言葉です。 私も人生の折り返し地点を過ぎてきましたので、これからは「他人に与える幸せ」を日々実 践していきたいと考えています。 座右の銘は全ての人を尊重する、日々感謝です。 趣味は格闘技観戦、読書です。
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子どもの口臭の原因

歯の治療を受けている少年

肌はツヤツヤ、髪の毛はサラサラで、体臭もほとんどない子どもには、口臭は無縁だと思っている方はかなり多くいらっしゃるかと思います。だからこそ、口臭が起こってしまうと、どうしてわが子は口臭が…と悩んでしまうんですよね。

でも実際には、子どもも大人と同じように口臭が起こり、ひどい悪臭を放つことがあります。口臭は大人だけの問題ではないのです。ただし、子どもの場合、口臭の原因は大人の場合とは少し異なります。

大人の口臭の場合、虫歯や歯周病、舌に発生する舌苔などによる口内の病気が原因の場合がほとんどですが、子どもの口臭の場合、歯磨きの問題や虫歯の放置が原因の場合がほとんどです。それではさっそく細かく見ていきたいと思います。

虫歯がある

怖くて痛い印象がある歯科医院。子どもの多くが行きたがらない場所のひとつですよね。ですから、虫歯ができても、たいして痛みを伴わなければ我慢している子どもは多いはず。

でも、こうして虫歯が放置されていると、虫歯菌が歯を溶かし、そこに食べかすがたまるようになってしまいます。こうした食べかすは、歯磨きで取ろうとしてもなかなか取れません。いつしかその食べかすが腐敗し、悪臭を放つことになってしまうこともありますので、虫歯は早急に治さなければなりません。

磨き残しがある

ていねいに歯を磨くことよりも、かんたんにパッと済ませてしまうことの多い子どもの歯磨き。この不十分な歯磨きこそ、子どもの虫歯の中心的な原因なのです。

歯磨きが不十分ですと、食べかすが歯に残り、その食べかすによって、口内にもともと住んでいる細菌が繁殖してしまいます。その結果、歯垢や歯石ができるようになってしまいます。

こうした歯垢や歯石には、細菌がたまりやすくなっています。細菌の中には、悪臭を放つものもあるため、歯磨きが不十分ですと、口臭が起こりやすくなります。

口呼吸・鼻づまりがある

子どもの口臭の主な原因は、上記のように虫歯や不十分な歯磨きですが、ほかにも原因となりうる要素があります。大人の口臭でも見られる鼻づまりや口呼吸です。

口で呼吸をしていると、口内が乾燥していきます。乾燥すると、虫歯ができやすくなるだけではなく、口内の環境が悪くなり、口臭が起こることになります。

唾液には、口の中を洗浄する働きや細菌が繁殖するのを防ぐ働き、そして殺菌作用があります。このため、何らかの原因で口呼吸をしている子どもには、なるべく鼻で呼吸するように教え、口臭が起こらないようにしてあげることで口臭を予防することができます。

ウイルス性の風邪

風邪を引くと調子が悪くなります。調子が悪くなると、口臭が現れることがあります。この場合の口臭は、体調が悪いことを伝えるためのサインであると言えますね。

また、ウイルス性の風邪を引くと、なかなか食べものを消化することができなくなるため、胃の中で食べたものが発酵し、臭いの原因となる物質が血液から肺に流れ口臭として現れることもあります。

通常、ウイルス性の風邪が原因の口臭は、風邪が回復することで治ります。まずは治療に専念しましょう。

免疫力低下

人間には、病気にかからないために自らを守ろうとする免疫力が備わっています。しかし、調子を崩すほか、ストレスにさらされるなど、何らかの原因で免疫力が低下すると、口内においても影響が及んでいきます。つまり、細菌が繁殖しやすくなり、唾液の量が減り、口内環境が悪化してしまうことで、口臭が起こりやすくなってしまいます。

子どもの口臭が気になるようになったら、体調はどうなのかまずはしっかりと確認してみましょう。もしかしたら、免疫力の低下による口臭なのかもしれません。

免疫力を高めるためには、しっかりとした食生活を送り、十分な睡眠や運動を取り入れ、お風呂などで体を温めるようにします。日々のちょっとした心がけで改善されていきますよ。

子どもの口臭対策をするうえでの注意点

娘に歯の磨き方を教える母親

子どもで口臭が起こっても、当の本人は口臭に気がつかないということはよくあります。このため、自分で気づく前に、いっしょに遊んでいるお友だちから指摘されることもよくあります。ところが、子どもは大人に比べて思ったことをはっきりと口にしてしまうため、お友だちから「口が臭い」などと言われて傷ついてしまうこともあります。場合によっては、口臭が原因で嫌われることもあるかもしれません。

このように、子どもによっては十分に配慮した対応が必要となります。親は正しく理解し、適切な対処をすることが大切です。

親が早く気づいてあげる

まずは、親が子どもの口臭に気づくことです。口臭を感じるようになったら、それがいつのタイミングで起こったことなのか、朝起きてすぐなのか、体調を崩しているときなのか、一日中臭っているのかなど、細かいところまで確認してみましょう。

口呼吸をしていることもありますし、口内の病気の場合もあります。体調不良の口臭は、調子が元に戻ると口臭もおさまります。

敏感になりすぎない

気にするほどの口臭ではないのに、親が敏感になり過ぎているケースもよく見られます。あまり気にしていると、子どもに不安を与えてしまうことにもつながります。

子どもの口臭には、不十分な歯磨き、虫歯、口呼吸、鼻づまりやウイルス性の風邪など、さまざまな原因が考えられます。ちょっとしたことで改善することもありますので、あまり過敏にならないように心がけましょう。

大人であっても、ご自身の口臭を感じると、気分が落ち込み、どうしたらいいのか悩んでしまいますよね。人によっては、人前に出るのが嫌になったり、嫌われてしまうのではないかと思い込んでしまったりすることもあります。子どもの心はデリケート。そのことを忘れないようにしたいですね。

子どもの心を傷つけないようにする

子どもに口臭のことを伝えるとき、さらに気を配ってあげるようにしましょう。大人同士であっても、だれかの口臭に気づいたとしても、対応の仕方に迷ってしまいますよね。親しい相手であってもなかなか言いにくいことでもあります。

また、だれかに口臭のことを指摘されたら悩んでしまいますよね。子どもも同じで、傷ついてしまうこともあります。場合によっては、学校に行くのが嫌になったり、お友だちに嫌われてしまうのではないかと思い込んでしまったりすることも考えられます。

子どもに伝える前に、口臭について正しく理解しておくようにしたいですね。あまりうるさく言い過ぎないようにして、口臭を予防するためにどういうことをいっしょにはじめるのか、思いやりを忘れずに伝えるようにしましょう。

子どもの口臭の対策

ハミガキ終わりに仕上げのうがいをしている少女

子どもに口臭が起こったら、すぐに対応するようにしましょう。口臭がなくても、日頃から口臭が起こらないように予防していくことが大切です。

子どもの歯磨きは、歯が生え始めるころからスタートしたいですね。実際には、このころは、唾液によって口内は清潔に保たれているため、口内の洗浄が目的ではありません。歯ブラシに慣れることが目的です。その後のデンタルケアに大きく役立っていきますよ。

子どもの口臭対策には、親のサポートが不可欠。子どもがひとりで口臭を予防するのは難しいため、いっしょに予防していくようにしましょう。ご自身の口臭予防にもつながります。

大人による仕上げ磨きを

まずは食後に歯を磨くという習慣を身につけるようにしましょう。歯磨きをしないと、食べたものの食べかす、口内で死んでしまった細菌やはがれた粘膜などによって、歯垢いわゆるプラークがたまってしまいます。このプラークが口臭の原因です。

子どもといっしょに歯を磨き、最後は大人の手で仕上げ磨きをしてあげるようにします。仕上げ磨きを卒業する年齢は基本的には12歳ごろまでと言われています。そんなに長いの?と驚く方も多いですが、ある程度しっかり磨けるようになる12歳頃までにチェックしてあげるのが好ましいです。

仕上げ磨きのコツは楽しくやること。あまり力を入れず、歯ブラシの毛先を歯と歯茎の間や、歯と歯の間にしっかりとあて、小刻みにていねいに磨いていきます。目安は一か所につき20回以上。虫歯になりやすい奥歯や上の前歯などはさらに重点的に磨いてあげましょう。

幼いころは子どもが嫌がらないように、数を数えたり歌を歌ったりするのもいいですよね。あまり時間をかけすぎると、歯磨きを嫌がったり、飽きたりしてしまうので、手際よく行うことも大切です。そして何よりも、食後の歯ブラシは気持ちよくて楽しいということを教えてあげましょう。

歯ブラシだけでは汚れが落ちにくい歯と歯の間をお掃除する子供用の糸ようじなどもありますので、歯並びが悪く磨きにくい箇所や仕上げ磨きに慣れてきたら糸ようじの使用もおすすめです。

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口呼吸を防ぐ練習

口呼吸によって口内が乾燥することで、虫歯ができやすくなります。風邪などの感染症にもかかりやすくなるほか、喘息などの病気が起こりやすくなります。睡眠の質も悪くなるため、口呼吸をしている子どもは鼻呼吸をするように練習するが必要です。

口呼吸をしてしまう大きな原因に、口呼吸をする癖がついてしまっているということが考えられます。まずは口を閉じるようにすること。無意識にポカンと口が開いていることはよくあります。ただし、あんまりきつく指摘するのは禁物。ゆっくり時間をかけて直して口呼吸の癖を直してあげるようにしましょう。

口呼吸の原因には、歯並びの悪さが関係している場合もあります。歯のかみ合わせが悪いと、口が開いてしまうこともありますので、子どもの歯並びが悪い場合、一度、歯科医院で見てもらうことをオススメします。

口の周りの筋力が足りないということも考えられます。乳児はおっぱいやミルクを吸うことで、舌や口の周りの筋肉を鍛えています。このため、授乳時にママのおっぱいがよく出ていたり、強く吸わなくてもいい哺乳瓶などで育った赤ちゃんは、口の周りの筋肉が発達していないことがあります。

口の周りの筋肉を鍛えるには、食事の時にしっかりとかむこと。やわらかい食べ物ばかり食べていると、かむ力が鍛えられません。少し硬めのパン、硬めに炊いたごはん、大きく切った野菜などを与えるようにして、食事の時に口の周りの筋肉を鍛えるようにしましょう。

鼻づまりを治す・耳鼻科へ行く

口呼吸をしてしまう最大の原因は、鼻がつまっているためです。鼻がつまっていると、当然、鼻で呼吸することができず、やむなく口で呼吸をすることになります。

鼻がつまる原因には風邪がありますよね。風邪を引くと、鼻水が大量に出るほか、鼻がつまって呼吸しづらくなります。風邪が原因の鼻づまりは、まずは風邪を治すこと。治療に専念するようにしましょう。なお、小さな子どもはひとりで鼻をかむことができません。子どもは嫌がりますが、鼻水を吸引する道具などもありますので、鼻水を取って呼吸が楽にできるようにしてあげましょう。

風邪のような一時的な症状だけではなく、持続的に鼻がつまっていることもあります。この場合、慢性的な鼻炎、何らかのアレルギー、その他、蓄膿症などの病気が考えられます。まずは耳鼻科で相談し、鼻で呼吸ができるようにしてあげましょう。

歯医者を受診する

子どもの口臭が気になりはじめたら、早めに歯科医院に相談するようにしましょう。子どもの状態にあった口臭改善プログラムを受けることができます。

口臭の原因は実に多様なので、何が原因なのかを見つけるのもひと苦労ですよね。はっきりとした原因がわかる場合はいいけれど、原因が何なのかよくわからない場合は、悩んでいないで歯科医に見てもらい、正しい対処をしてもらうようにしましょう。

水分をとる

唾液には口内を清潔にする働きがあります。このため、唾液の分泌量を増やすことも、口臭を予防する方法のひとつ。どうしたらいいのかというと、ズバリ、水を飲むようにすることです。水分を摂ることで体内の水分が増えます。唾液は体内の水分によって分泌されるため、水分を補給することで、唾液の量が増えるのです。

子供の口臭はお口トラブルのサイン

寝転がっている子供たち

子どもに口臭を感じるようになったら、早急に原因をつきとめ、すぐに対処していくことが大切です。原因や対処法を知っておけば焦らず対処することが出来ます。

子どもの口臭には、虫歯、不十分な歯磨きのほか、口呼吸や風邪、免疫低下などの原因があります。原因がわからない場合は専門家に相談してみましょう。