肥満の影響とは?健康面だけでなく美容面にもデメリットが!

「肥満だからと言って、誰にも迷惑をかけていない」と豪語できる人はともかく、肥満だとさまざまなデメリットがあります。今回は、肥満がもたらすさまざまな悪影響を多角的に検証したいと思います。

肥満は、見た目が悪くなるという美容面の影響だけでなく、健康面にも悪影響を及ぼしてしまいます。また、経済的に見ても肥満はデメリットがたくさんあります。今回の記事では、肥満が我々の生活にどのような悪影響を与えるのかについて知り、そのうえで、肥満改善するための方法について学びたいと思います。

肥満による悪影響その1・健康面

胸を押さえている女性

肥満になるととさまざまな悪影響が起こります。最初に考えられるのは、健康面に与える悪影響でしょう。では、肥満は、健康面でどのような悪影響が起こるのでしょうか。

肥満と肥満症

みなさんは、肥満と肥満症とが別物だということをご存じだったでしょうか。肥満とは単純に太っている状態のことを指し、そこに何らかの疾患がともなうかどうかは問題ではありません。

肥満症とは、肥満の状態に加えて、なんらかの健康上のトラブルがあり、治療を必要とする場合、および、なんらかの健康上のトラブルが起こる可能性のある場合を指します。

肥満症によるリスク

肥満と肥満症は厳密に分けると別物であるということです。ただ、肥満の人の大半はなんらかのトラブルを抱えていたり、トラブルを発する可能性を抱えていたりするものなので、そこまで厳密に区別する意味はあまりないと言えるでしょう。

では、肥満症になってしまった場合、どのような健康上のトラブルが発生しやすいのでしょうか。のちほど詳しく紹介しますが、肥満を測定する指標の1つに、「BMI」と呼ばれるものがあります。

計算法は後述するとして、日本人の場合、BMIの数値が25を超えると、健康上のトラブルを発しやすくなるといわれています。たとえば、高血圧や脂質異常症、2型の糖尿病や痛風といった、生活習慣病になるリスクが上昇するとされています。

また、脂肪肝や肥満による腎機能障害、心筋梗塞や狭心症とった心疾患など、内臓機能に悪影響をもたらすケースもあります。

女性の場合、月経異常や妊娠中の合併症のリスクが上昇するということです。妊娠中の合併症としては、妊娠高血圧症候群(かつての妊娠中毒症)や妊娠糖尿病などがあげられています。

その他にも、肥満症になると睡眠時無呼吸症候群や肥満低換気症候群といった呼吸器系の疾患や、腰痛や膝痛、股関節痛といった整形外科的な疾患を発症するリスクも高くなります。

肥満による悪影響その2・美容面

ウエストサイズ測定

肥満になると、健康上よくないということは何となくイメージできるのではないでしょうか。それ以外にも、肥満は美容面でも悪影響が現れてしまいます。

見た目が悪くなる

太っていても可愛らしいという人もいなくはありませんが、たいていの場合、太ってしまうと見た目が悪くなってしまいます。世の女性がダイエットをするのも、痩せることによって見た目を改善したいという考えがあるからだと言えるでしょう。

肥満になると、まず体型に合う服を探すのが大変になります。肥満体型の人がバシッと決められるような洋服はまずないと言ってよく、大抵がふわっとした衣服になります。

蓼食う虫も好き好きなどという言葉もあるように、中には「太っている人が好きだ」という方もいますが、やはり肥満な容姿の面でコンプレックスを抱え得ることが多いのではないでしょうか。

新陳代謝が滞る

肥満で健康診断でなんの問題もないという人はごくまれです。特に、日本人の場合、軽度の肥満であっても高血圧や脂質異常症といったトラブルに見舞われがちだということです。

高血圧や脂質異常症になると、いわゆる「ドロドロ血液」の状態になり、全身の血流が滞りがちになってしまいます。血液は酸素と栄養を全身の隅々までに届けているため、ドロドロ血液になると栄養状態が低下することとなります。

新陳代謝とは古いものが新しいものへと生まれ変わることを意味しますが、肌の栄養状態が低下すれば、肌の生まれ変わり(ターンオーバーともいいます)が滞り、お肌のハリやツヤが失われることとなります。

男性の場合、頭皮への血行が悪くなることによって頭皮環境の悪化を招き、結果として薄毛になってしまうリスクが上昇します。

肥満による悪影響その3・経済面

診察

肥満による悪影響は、健康面や美容面にとどまりません。お金という観点からしても、肥満になるとデメリットがたくさんあります。

食費がかかる

肥満している人のほとんどは、食事量が多いことによって太っているといえます。よく聞かれる言葉ですが、「水を飲んでも太る」などということはあり得ません。

基本的に肥満な人は、「摂取カロリー>消費カロリー」の状態になっていることがほとんどです。身体を動かして消費されるエネルギーよりも、食事によって摂取するエネルギーが多ければ、自然と太ってしまうという訳なのです。

摂取するエネルギーが多いということは、食費がかかるということであり、エンゲル係数が高くなるということでもあります。人によっては家計を圧迫することもあるでしょう。

また、肥満の原因として最近になって有力視されているのが、糖質の過剰摂取だとされています。お米やパン、パスタなどの主食もそうですし、生クリームやバターをたっぷりと使った洋菓子などもそうです。

女性の方で、「運動をしているのに痩せない」とか「筋トレをしているのに痩せない」などという方がいらっしゃいますが、よく聞いてみると「甘いものがやめられない」というケースが多々あります。

おいしいケーキは値段もそれなりにしますので、ケーキをやめられなくて肥満をすることによって、さらに経済的負担が増すこととなります。

病院代がかかる

先ほども少し触れましたが、肥満症になるとさまざまな疾患を発症するリスクが高くなってしまいます。生活習慣病を発症した場合、生涯にわたって通院、医薬品の服用をおこなわなければならないケースもが多いです。

アメリカなどの海外に比べると肥満率が低いとされる日本人ですが、それでも中年男性の3人に1人異常が肥満とされており、日本の医療費を増大させる1つの要因となっています。

病院に通って治療を受けたり薬を処方されたりすることで、個人にも経済的負担がかかることとなりますが、国にとっても国庫を圧迫するという事態に陥るのです。

肥満の定義

BMI メジャー

肥満になってしまうと、さまざまなデメリットが生じるということを理解して頂けたことと思います。ところで、肥満の定義はどのようになっているのでしょうか。一般的には、以下の3つの判断基準によって肥満に分類されることとなります。

BMI

BMIは英語の「Body Mass Index」の頭文字をとったもので、全世界的に用いられている肥満度を表す体格指数ということです。

BMIの数値は、身長(m)の2乗を体重(kg)で割ることによって求められます。たとえば、160cmで体重が50kgの場合、[50÷(1.6×1.6)」=「19.53」がBMIということになります。

BMIの数値が18.5未満の場合、痩せがたに分類されることとなります。BMIの数値が18.5以上25未満であれば、標準体重とされます。BMIの数値が25を超えると、肥満に分類されることとなります。

肥満度は1度から4度に分けられており、BMIの数値が25以上30未満までを1度の肥満、BMIの数値が30以上35未満までを2度の肥満、BMIの数値が35以上40未満までを3度の肥満、BMIの数値が40を超えると4度の肥満に分類されます。

1度の肥満のことを、軽度の肥満ということがあり、2度の肥満のことを中等度の肥満ということがあります。また、BMIの数値が35を超えた場合、重度の肥満と呼ばれるようになります。

BMIの算出法は世界各国で共通しているのですが、BMIの数値がどの段階から肥満に認定するのかは、国によって異なっています。日本ではBMIの数値が25を超えると肥満とされますが、アメリカの場合はBMIの数値が30を超えると肥満とされます。

腹囲

BMIの算出法には1つの問題点があります。それは、身長と体重しか考慮に入っていないということです。身長と体重が同じでも、一般人とプロのアスリートとでは「体脂肪率」が異なっています。

特に、生活習慣病を発症するような肥満の場合、内臓脂肪がたくさん付着しているという傾向があります。そこで、腹囲を測ることによって内臓脂肪型の肥満を割り出すことが可能となっているのです。

男性の場合、腹囲が85cmを超えると内臓脂肪型の肥満とされ、女性の場合、腹囲が90cmを超えると内臓脂肪型の肥満とされます。女性の基準が男性より緩いのは、女性には皮下脂肪が付着しやすいからです。

そのため、皮下脂肪を加味して基準が緩くなっているという訳なのです。腹囲が基準値を超えた場合、メタボリックシンドロームと呼ばれることになります。

脂肪率

肥満かどうかは、体脂肪の割合を測定することで判断できます。CTスキャンやMRIといった画像検査によって脂肪率や脂肪量を類推することとなるのですが、正確な体脂肪率を算出するのはなかなか難しいということです。

肥満の改善法を教えて!

寝起き

肥満のリスクや肥満の測定法については以上の通りです。では、さまざまなリスクの元となる肥満を改善するためには、どのようなことをおこなえばよいのでしょうか。

生活習慣の改善

肥満の原因として遺伝があげられることもありますが、やはり肥満の最大の原因は日常の生活習慣だと言えます。特に、食習慣は肥満になるかどうかを大きく左右します。

食事の摂りすぎももちろん問題なのですが、先ほども少しふれたように、最近の研究によって糖質の過剰摂取が肥満のリスクファクター(危険因子)と考えられるようになってきています。

糖質は私たちの脳や身体のエネルギー源となる物質なのですが、過剰に摂取した場合、エネルギーとして即座に使われない分が、脂肪として体内に蓄えられてしまうのです。

また、睡眠不足や疲労などが原因で、ストレスが蓄積すると、自律神経のバランスが乱れ、やはり太りやすくなるケースがあります。

私たちの身体では、睡眠中に成長ホルモンが分泌されることで、細胞の分裂がおこり、それによって身体を修復したり、疲労を回復したりしているのです。

ところが、睡眠不足になってしまうと睡眠の質が低下し、細胞分裂を起こすための成長ホルモンの分泌量が減少してしまいます。食べたものの消化や吸収も睡眠中におこなわれるため、睡眠の質が低下すると太りやすくなってしまうのです。

さらに、ストレス状態が継続すると、脳の下垂体にある満腹中枢が刺激されにくくなることも分かっています。ストレスを感じたときにやけ食いやドカ食いをするのには、ちゃんと理由があるという訳なのです。

そのような生活習慣によって肥満している自覚のある人は、糖質の摂取量を制限し、睡眠をしっかりとって身体を休ませるようにしましょう。

運動習慣の改善

肥満の原因としては、運動不足もあげられます。若いころは部活や体育の授業で身体を動かしていたという人でも、社会人になるとよほど意識して身体を動かさない限り、運動不足になってしまいます。

運動をする機会は減少するのに、基礎代謝は10代の後半をピークとして下がっていく一方です。そのため、若い時と同じような生活をしていると、自然に太っていってしまうのです。

とは言うものの、忙しく仕事をしていると、なかなか運動に割く時間を作れないと思います。そのような場合、日頃から使っているエレベーターを階段にするとか、一駅前で降りて歩くなど工夫するとよいでしょう。

減量手術の検討

日本では、まだあまりメジャーな治療法とは言えないのですが、減量手術という手段もあります。アメリカでは、1年間に21万人もの人が減量手術を受け、生活の質(QOL)を向上させているということです。

肥満を改善するだけでなく、肥満症にともなう疾患の治療にもきわめて効果的な方法だということなのですが、まだ実施している医療機関や施術者が少ないという問題もあります。

早い段階で改善に取り組みましょう

肥満が与えるさまざまな影響について見てきましたが、いかがだったでしょうか。肥満になると、健康上の問題が生じたり、見た目上の問題が生じたりと、ろくなことがありません。なるべく早い段階で肥満の改善に取り組み、自分ではどうしようもない場合は医療機関を受診するようにしてくださいね。