脚痩せに効果的なツボがあると聞いたけど本当なのだろうか、また、骨盤矯正によって脚痩せができるらしいのだけど、本当に効果があるのだろうか。できれば楽をして痩せたいけど、そんなうまい話があるのか知りたい。
脚痩せをするときには、運動をしたり食事制限をしたりするのが一般的だと思います。でも、出来れば楽をして痩せたいというのが人情というものですよね。整体や鍼灸など、東洋医学をベースにした治療院では、ツボや骨盤矯正などで脚痩せをおこなっているところもあります。今回は、東洋医学的な脚痩せ法に迫ってみたいと思います。
≪経歴≫
20代から絵画療法士として老人ホームや精神科病院で講師を務める。 その傍らで、児童絵画教室なども主催する。 その後、心と体の関係について考えるようになる。 「身体のバランスをとることで健康になる」身体均整法に出会い、 身体均整法学園に入学。
卒業後、「生き方は姿勢に現れる」と身体の歪みを矯正するアピア均整院を開設。現在は、代表を務め、身体均整師会の副会長として励みながら、技術研鑽に勤めている。
≪メッセージ≫
身体均整法のアプローチは身体のバランスからからはじまります。痛み・内蔵の不調・冷え・疲れがとれないなどは身体のゆがみとして現れます。もともと人の体はゆがみやすいものです。でも毎日の生活の中できちんとお手入れしていけば。体型のゆがみや心身の不調も改善されていきます。まずは身体のゆがみに気づき、健康と美しさを築く。心も身体もピカピカの健康美人になっていただきたいです。
脚が太くなるメカニズム
脚痩せしたいという人はたくさんいると思いますが、まずはなぜ脚が太くなっているのかを知っておきましょう。それによって、足ツボの選択法も変わってきますし、脚痩せ法も違ってくることとなります。
糖質の過剰摂取
脚が太くなるもっとも分かりやすい理由は、脂肪がついてしまうことです。そして、脂肪の付く最大の原因が、糖質の過剰摂取であると考えられています。
糖質は私たちの脳や身体が活動するために必要なエネルギーであり、そのため、糖質(炭水化物)はエネルギー源と呼ばれ、また3大栄養素の1つともなっているのです。
体内に入った糖質は、すい臓から分泌されたインスリンによって分解され、エネルギーへと変換されます。ところが、糖質の摂取量が多すぎたり、血糖値の上昇が急すぎたりすると、インスリンの分解能力をオーバーしてしまうのです。
インスリンによって分解されなかった糖質は、緊急時に使うための予備のバッテリーとして、細胞内に蓄えられることとなります。その正体こそが脂肪であり、この一連の流れが太ってしまうメカニズムと言う訳なのです。
筋力の低下
最近では家庭のヘルスメーターでも、体重だけでなく体脂肪や筋肉量が計れるようになってきています、どれくらい正確化はさておき、筋肉量が減少すると、反対に体脂肪が増加します。
ただ、筋肉がそのまま脂肪に変わるわけではありません。なぜなら、筋肉がタンパク質から構成されているのに対し、体脂肪は脂質によって構成されているからです。
では、なぜ筋力が低下すると脂肪の量が増えるのでしょうか。それは、筋肉量が減少すると、基礎代謝量も低下するからです。
基礎代謝とは、私たちが特に意識をしなくても、1日の間の勝手に消費されるエネルギー(カロリー)のことを言います。
ダイエットの基本は、消費カロリーの量を摂取カロリーの量よりも多くすることなので、基礎代謝の芸化によって消費カロリーが減少すると、太ってしまうリスクが高くなるわけです。
骨盤の後傾
骨盤の後傾といわれてもピンとこないかもしれませんが、姿勢が悪くなって背中が丸まっているというと分かりやすいのではないでしょうか。
最近はデスクワークなど、長時間にわたって同じ姿勢を強いられる仕事が増えてきています。長時間デスクワークをしていると、おなかにある腸腰筋という筋肉が緊張して(こって)しまいます。
腸腰筋は腰の骨と股関節をおなか側で結んでいるため、腸腰筋が緊張することによって、身体が前に倒れてしまうのです。
また、デスクワークの際にパソコンの画面を覗き込むような姿勢を継続していると、骨盤周囲の筋肉が緊張して、骨盤が後ろに傾いてしまうこととなるのです。
腸腰筋の緊張や骨盤の後傾が起こると、股関節が外旋することとなります。外旋とは外側に開くことを意味し、見た目的にはO脚を誘発することとなります。
O脚になっている人のバランスは、脚の外側加重になっています。そのため、実際の脚の太さよりも、太ももやふくらはぎの外側の筋肉が目立つようになり、太く「見えて」しまうのです。
ツボってなに?
脚痩せに効果的なツボを紹介する前に、まずはツボとはどのようなものなのかについて知っておきましょう。
経穴
ツボは東洋医学の世界では経穴と呼ばれています。経穴は「気」の流れる経絡上に存在していて、悪い気(邪気)が集まりやすい場所とされています。
東洋医学の考え方では、気の流れがスムーズであれば身体の調子もよく、気の流れが滞ってしまうと、さまざまな体調不良が生じるとされています。
そのため、邪気がたまったり気の流れが滞ったりする場所=ツボに、鍼を打ったりお灸を据えたりして、停滞した気を流すこということをおこなっている訳です。
西洋医学とツボ
東洋医学が大好きな人の話を聞いていると、「気」とか「津液」、「陰陽」など、一般人からするとやや胡散臭く感じられる言葉がよく出てきます。
そのため、東洋医学の信憑性が下がることとなるのですが、実際には、東洋医学的な「ツボ」と、西洋医学的な「トリガーポイント」には一致する点が多数あるのです。
トリガーポイントとは、神経や血管が密集している場所であり、単に痛みが現れている点のことをいうのでなく、痛みを引き起こしている原因となるポイントのことを言います。
たとえば、坐骨神経痛で脚にしびれが出ているようなときに、腰や臀部のトリガーポイントを刺激することで、しびれが緩和するようなケースがあります。
東洋医学でも同じような発想で、トリガーポイントにあたる場所を鍼で刺激したり、指圧したりするわけです。説明の仕方こそ違うものの、治し方が同じと言うのは興味深いですよね。
脚痩せに効果的なツボ
簡単にではありますが、ツボについては理解して頂けたことと思います。それでは次に、脚痩せに効果的なツボを紹介していきたいと思います。脚痩せをするには、脚にアプローチするのは当然のこと、全身の機能を整えることも重要となります。
代謝をアップさせるツボ
脚に脂肪がついてしまう原因の1つとして、身体の代謝機能の低下していることがあげられます。そのため、代謝をアップさせるツボを刺激してあげましょう。
代謝をアップさせるツボとしては、「無名穴(むめいけつ)」がよく知られています。無名穴は背中にあるツボです。しかし、背中にあるのでなかなか自分では押すのが難しいと思います。そんなとき、代謝効率を上げるツボとしては、以下のの2点のツボをおすすめします。
中脘(ちゅうかん)
中脘はおへそから指の幅4本分上に移動したところにあります。
中脘のツボを刺激してあげると、胃腸の機能が高まり、代謝効率を上げることが可能となっています。ただ、押しすぎるとお腹が痛くなってしまう可能性があるので、中指の腹の部分で優しく刺激しましょう。
血海(けっかい)
血海は、膝のお皿の上から内側の角より指3本分上がったところにあります。
血海は、血の働きが悪くなったときに押すのが効果的です。補血のみならず、瘀血の人などにも効きます。
自律神経のバランスを整えるツボ
自律神経とは、私たちが特に意識しなくても勝手に働いてくれている神経で、私たちの生命活動をつかさどっている神経でもあります。
自律神経のバランスが乱れるとさまざまな不調がもたらされます。また、自律神経のバランスが乱れることで、満腹中枢がうまく機能しなくなり、結果として太ってしまうようなこともあります。
そこで、自律神経のバランスを整えるためのツボを紹介していきたいと思います。
心包区(しんほうく)
心包区は手のひらのほぼ中央にあるツボ
押し方は、親指を心包区に置き、少し強めに3秒ほど押し込みます。
指間穴(しかんけつ)
指の付け根と付け根の間にあるツボ
こちらのツボはいずれも、自律神経のバランスを整える効果があるとされています。
押し方は、親指と人差し指で、「指間穴」を挟むようにして刺激してください。
心包区を刺激する場合、反対側の親指で気持ちよく押圧するとよいでしょう。指関穴は親指と人差し指以外の指の付け根の間にあるので、やはり親指で気持ちよく刺激するとよいでしょう。
冷え症を改善できるツボ
男性に比べると女性には冷え症の方が多いですよね。冷え症は血行が悪いことによって起こるのですが、血行が悪いとむくみとなって脚を太く見せる要因となってしまいます。そこで、冷え症を改善できるツボを紹介したいと思います。
冷え症を改善するときに効果的なツボとしては、「三陰交(さんいんこう)」がよく知られています。三陰交は、内くるぶしから指の幅4本分上に行った所にあるツボです。
三陰交を押圧することで冷え症の改善を図ることができますが、普段から三陰交にあたる場所を冷気にさらさないようにすることも重要です。
むくみの改善できるツボ
デスクワークなど、長時間座ったままの姿勢でいると、脚がむくんで太く見えてしまいますよね。そんなときには、足のむくみが改善できるツボを押してあげましょう。
脚のむくみを改善できる代表的なツボが、「湧泉(ゆうせん)」と呼ばれるツボです。泉が湧くという字を書きますが、なんとなくイメージ的にもよさそうな名前ですよね。
湧泉は足の指を曲げたときにシワのできる場所、足の裏の真ん中よりやや上に行った所にあります。湧泉のツボを刺激すると利尿作用が高まり、むくみの解消に効果的だとされています。また、疲労回復効果も期待できるということです。
ダイエットのウソ!ホント?
脚痩せに効果的なツボは以上の通りですが、ここで少し趣向を変えて、巷でおこなわれているダイエットや、ダイエットに関する知識の誤りについて紹介したいと思います。誤った情報に惑わされず、正しいダイエット法を選択してくださいね。
セルライトのウソ
おしりや太ももにボコッとしたセルライトの見られることがありますが、セルライトとは一体何なのでしょうか。実は、セルライトはヨーロッパのエステ業界で用いられるようになった造語です。
医学的にみるとその正体は「皮下脂肪」であり、減らすための方法は、皮下脂肪を減らす方法と一緒です。繰り返しになりますが、医学的にはセルライトなどという物質は存在しません。
「骨盤がゆがむ」のウソ
整体院やカイロプラクティック、最近では整骨院などでも、「骨盤のゆがみを解消してダイエット」などと宣伝しているところがありますが、骨盤がゆがむことは医学的に見てあり得ません。
骨盤とは、複数の骨が靭帯によって強固に結合されたものを指しており、交通事故や高い場所から転落するなど、よほどの外力が加わらない限り、ゆがむようなことはあり得ないのです。
しかし、骨盤のまわりの筋肉が歪んでいる可能性は考えられます。骨盤の前傾・後傾、右の傾き・左の傾きを改善し、姿勢を修正することで代謝をアップすることは見込めます。
耳つぼダイエットのウソ
耳つぼダイエットとは、耳にあるツボに皮内鍼と呼ばれる小さい鍼をさしたり、金粒や銀粒をテープで張ったりすることで、ダイエット効果が得られるとするものです。
ただ、耳つぼ治療をおこなっている治療院の多くでは、耳つぼダイエットとあわせて食事制限を強要されます。ひどいところだと、食事量を半分以下にするよう迫られることもあるということです。
耳つぼダイエットだけで痩せられるのであれば、食事制限を強要する必要などありませんよね。耳のツボを刺激する「だけ」で痩せられるというのは、少し虫のいい話というほかありません。
脂肪燃焼のウソ
エステティックサロンなどでは、マッサージによって脂肪燃焼がおこり、それによって痩身が可能と宣伝しているところもあります。
実際に、マッサージによってウエストのサイズがダウンしたり、太もも周りのサイズがダウンしたりすることはあります。ただ、それは単にむくみがとれただけです。
いくら皮下脂肪をつねったり揉んだりしたところで、脂肪燃焼がおこるようなことはありません。脂肪燃焼はあくまでも、有酸素運動によってもたらされるものです。
正しいO脚矯正
脚痩せの方法としては、O脚を矯正するという方法もあげられます。ただ、O脚の種類について知っておかないと、効果的に脚痩せをすることができません。
O脚の種類を知ろう
O脚には、骨盤の後傾にともなうタイプのO脚と、すねの骨が外旋してしまうことによるO脚の2種類があります。前者はO脚矯正によって改善が可能ですが、後者は残念ながら改善が望めません。
すねの骨が外旋しているかどうかは、椅子に座って確認できます。足の裏が床についたときに、膝の角度が90度になる高さのいすに座って、上からすねの骨を見てみましょう。骨の中心部が外を向いているようであれば、O脚矯正をしても改善は望めません。
正しいO脚矯正のやり方
正しいO脚矯正は、骨盤の後傾を改善し、腸腰筋の緊張を緩和させるところから始まります。先ほども述べたように、骨盤自体は骨ですのでゆがみませんが、それを取りまく、腸腰筋、大腰筋、殿筋群を整えて骨盤の後傾をなおしていくことが大切です。
正しい情報で効率よく
脚痩せに効果的なツボや、ダイエット法の「ウソ・ホント」について紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。巷にはさまざまなダイエット法が出回っていますが、どの情報が正しいのかを判断するのはあなたです。誤った情報に踊らされず、効率よく脚痩せしましょう。