最近はオフィスでのデスクワークが主流となっているので、肩こりに悩まされている方も多いことと思います。そんな肩こりは、簡単な体操で解消することが可能だということをご存じだったでしょうか。
今回の記事では、肩が凝ってしまうメカニズムについて解説するとともに、簡単に肩こりを解消できる体操を6つ、ピックアップして紹介したいと思います。
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肩こりの原因・症状とは
肩こりには、4大原因があるとされています。それは、「長時間の同一姿勢」「ストレス」「運動不足」「眼精疲労」の4つです(病気などにともなう肩こりは除く)。
日本人は欧米人に比べると華奢な体つきをしているので、頭の重さが首や肩にかかり、肩こりを引き起こしやすいとされます。
特に、デスクワークなどで長時間の同じ姿勢をしていると、首や肩周りの筋肉が固くなってしまうため、肩こりになりやすいと考えられています。
ストレスは万病のもとなどと言われますが、肩こりの原因にもあげられています。ストレスがたまってくると、交感神経が優位になります。交感神経優位の状態が続くと、血管が収縮して血行が悪くなり、首や肩の筋肉が緊張しやすくなるのです。
運動不足も肩こりの原因としてあげられています。運動をしなくなることによって筋力が低下すると、頭の重さを支えるのが困難になり、結果として肩がこるのです。
また、運動不足になると、全身の血行が悪くなってしまいます。血行が悪くなると、肩こりになるリスクも高くなってしまうという訳なのです。
肩こりの原因としては、眼精疲労もあげられています。小さい文字を見ていたり、パソコンのモニターを眺めていたりすると、目が疲れると同時に、首や肩の筋肉も緊張して固くなってしまうのです。
肩こりは体操で解消するの?肩こりのメカニズム
肩こりの原因を見ていて、何か気付いたことはありませんでしょうか。分からないという方は、それぞれの原因について、改善法を考えてみましょう。
たとえば、肩こりの原因として長時間の同一姿勢があげられていました。直接的な改善法は姿勢を変えることですが、それでは肩こりを根本から改善することにはつながりません。
長時間の同一姿勢によって首や肩の筋肉が緊張し、血行不良になってしまうことが問題なわけです。ストレスが肩こりの原因としてあげられているのも、ストレスによって血管が収縮し、血行が悪くなるからです。
運動不足に関しても同じことが言えます。そもそも、血液が全身に酸素や栄養、白血球などを運んでいる訳です。だから、血行が悪くなった場所は栄養状態が低下し、不調が現れることとなるのです。
なんらかの症状があらわれている場所には、必ずと言っていいほど血行不良が見られます。それは、血行不良によって栄養状態が低下したり、免疫力が弱くなったりするからなのです。
このような事情を踏まえた上で質問です。「肩こりは体操で解消できるのでしょうか」。答えは言うまでもありませんね。体操によって血行がよくなれば、肩こりの解消は可能です。
肩こりに効く体操とは
肩こりは体操をすることによって、十分に可能です。もちろん、肩こりの程度によっては、専門家に診てもらった方がよいケースもありますが。では、体操をするとなぜ肩こりが改善できるのでしょうか。
肩こり体操の効果
肩こりを改善するためにおこなう体操のことを、便宜的に肩こり体操と呼んで話を進めたいと思います。まずは、肩こり体操にはどのような効果があるのかについて見ていきたいと思います。
筋肉を緩める効果
肩こり体操の効果としては、筋肉を緩める効果があげられます。肩こりとは、簡単にいうと、肩周りの筋肉が凝り固まっている状態のことを言います。
では、筋肉の緊張はどのようにして緩めればいいのでしょう。1つの方法として挙げられるのが、あえて緊張を強くするということです。簡単にいうと、肩に力を入れるということです。
肩の筋肉が緊張しているのに肩に力を入れたら、余計に緊張が増すと思われるかも知れませんが、実際には、緊張のあとには弛緩がみられるのです。
朝起きたときに「伸び」をする人もいると思います。実は、手足を伸ばしているときには、筋肉は収縮しているのです。そのあと、力を抜くと筋肉が弛緩するという訳なのです。
肩こり体操にも同様に効果が期待できます。肩を上げたり下げたり、肩を回したりすることで一時的に筋肉を収縮させると、そのあとに弛緩が見られ、肩こりが改善されるという訳なのです。
血行を促進する効果
肩こり体操には、血行を促進する効果もあります。これはなにも、肩こり体操に限った話ではありません。およそ身体を動かす運動をおこなうと、血行が促進されるものなのです。
肩こりが起こるメカニズムのところでも解説したように、結局のところ、肩こりは血行が悪くなることによって起こります。だから、肩こり体操によって血液の循環を促進することで、肩こりを解消することが可能となるのです。
関節の動きをよくする効果
肩こり体操には、関節の動きをよくする効果もあります。私たちが一般的に「筋肉」と呼んでいるのは、医学的には骨格筋のことを意味します。
骨格筋は基本的に骨と骨とを結んでおり、関節を動かしたり、骨格を支えたりする働きがあります。そのため、筋肉が凝って固くなると、関節の動きも悪くなるのです。
肩こり体操をすることで関節の可動域が広がれば、筋肉にも柔軟性が生まれることとなり、結果として肩こりをしにくくなるのです。
肩こり体操は隙間時間に
肩こり体操は簡単にできるものが多いので、わざわざ時間を取らなくても、隙間時間でおこなうことが可能です。仕事や家事の合間に、ちょっと手を休めておこないましょう。
肩こりに効く体操のやり方
それでは今回のメインテーマでもある、肩こりに効く体操のやり方について見ていきたいと思います。簡単な体操ばかりなので、説明を読みながら実際におこなってみてくださいね。
肩の上げ下げ
肩こりに効く簡単な体操の1つが肩の上げ下げです。肩を思い切って上にあげ3秒ほどグッと力を込めます。そのあとに、ストンと下におろしましょう。
この体操をおこなうと、肩こりのよく見られる僧帽筋を緩めることができます。先ほども触れましたが、緊張のあとには弛緩が訪れます。リラックスして気持ちよくおこないましょう。
肩まわし
肩こりに効く体操としては、肩まわしもあげられます。やり方はいくつかあるのですが、肩まわしをおこなう際には肩甲骨を大きく動かしたいので、肩甲骨を大きく動かせる肩まわしの方法を紹介しますね。
- 右手で右肩を、左手で左肩を軽くつかみましょう。
- ひじで空中に大きく円を描くようにして、肩を前から後ろに大きく回しましょう。
- 後回しが終わったら、今度は後ろから前に回しましょう。
ひじの位置が後ろになったときに、肩甲骨を思いっきりよせるようなイメージでやると効果的です。イメージとしては、肩甲骨がまず上にあがり、背中の中央に寄って、そこから下にさがる感じです。
名前こそ肩まわしとなっていますが、実際には肩甲骨を大きく回すイメージでおこなってください。
首たおし
肩こりに効く体操としては、首倒しもあげられます。NHKの人気テレビ番組である「ためしてガッテン」でも、大学教授によって首たおしの運動が紹介されていました。
著作権の関係でここでは紹介しませんが、YouTubeには動画もあげられているようです。興味のある方はご覧になってみてはいかがでしょうか。
首の骨には斜角筋や頚長筋、肩甲挙筋などの筋肉が付着していますが、これらの筋肉が緊張することによって頭の重さを支え辛くなり、結果として肩こりが起こってしまいます。ある意味、肩こりは首こりから来るともいえるのです。
首の筋肉をストレッチする際には、首たおしが効果的だとされています。
- 首の右側の筋肉をストレッチしたいのであれば、頭を左側にゆっくりと倒しましょう。その際、右肩が上がらないように気をつけてください。
- 首たおしの方向は、前後を除く6方向です。首の左右と、右斜め前、右斜め後ろ、左斜め前、左斜め後ろの6方向をストレッチングしましょう。
- たとえば、首の右斜め前をストレッチするときには、左斜め後ろを向くようにしましょう。その際、口が開かないようにしてくださいね。口が開くとストレッチ効果が減少してしまいます。
あと、首たおしに関しては、絶対に無理をしないようにしてください。特に高齢者の方は要注意です。痛みを感じるようであれば、すぐにやめるようにしてくださいね。
胸・腕伸ばし
腕を伸ばして胸の筋肉を緩めるのも、肩こり解消には効果的です。胸には大胸筋と呼ばれる大きな筋肉がありますが、この筋肉が緊張すると、肩が前方へと引っ張られてしまいます。
いわゆる「巻き肩」と呼ばれる状態になるのですが、巻き肩になると肩甲骨が前方へスライドし、頭が前に倒れてしまいます。その結果、肩が凝ることになるわけです。
- 巻き肩を改善するストレッチはとても簡単です。仰向けに寝た状態から、両手を大きく左右に開きましょう。胸郭を開いてあげれば、肩甲骨の位置は自然と元に戻ります。
- 両手を大きく左右に開いたあとは、大きくバンザイをしましょう。それによって、肩甲骨の可動域を広げることが可能となります。
寝る前に1分間ずつおこなうだけで、肩こりのリスクをグッと下げることができますよ。
脇腹伸ばし
人間の筋肉は、筋膜と呼ばれる膜でおおわれています。そして、その膜同士はつながっているのです。だから、首の筋肉が凝ると、肩の筋肉も凝ってしまうのです。
この筋膜に注目した肩こり体操が、脇腹伸ばしです。ラジオ体操で身体を横に倒しながら、大きく伸ばした腕を耳に添える運動があると思います。あれが脇腹伸ばしにあたると考えてもらって構いません。
突然ですが、着ているシャツの右下を引っ張ってみてください。左肩が引っ張られますよね。筋膜的な発想でいうと、右のわき腹の筋膜が緊張すると、左肩の筋膜が引っ張られることとなるわけです。
だから、右のわき腹を伸ばすことで、結果的に左肩への負担が減ることとなるわけです。整体院や整骨院では、このことに着目し「筋膜リリース」などと称して施術に取り入れているところもあります。
背伸び
おそらく一度は誰でもやったことがあるであろう肩こり体操が背伸びです。両手を組んで背伸びするアレですね。大きく背伸びをすることによって、肩関節や肩甲骨の可動域を広げることが出来ます。
また、一時的に筋肉を緊張させることによって、そのあとに弛緩が訪れます。この2つの効果によって、肩こりを解消することが可能となるのです。
つらい肩こりを体操で解消しましょう
肩こりの原因やメカニズム、そして肩こりの解消法について見てきましたが、いかがだったでしょうか。肩こりは冬の夜にしんしんと降りつもる雪のように、「気が付いたらひどくなっていた」というケースが多々あります。
肩こりがひどくなると頭痛を併発するなど、生活の質(Q・O・L)を著しく低下させてしまいます。悪くなってからあせらないように、日頃から肩こり体操をおこなって、軽いうちに肩こりを解消しておきましょう。
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