タバコを吸うと、タバコに含まれているニコチンやタールといういわゆる「ヤニ」のせいで、歯が黄ばみます。「タバコはやめられないけど、ヤニを落として白くきれいな歯を手に入れたい」と思っている人は多いですが、歯磨きをしっかりしてもなかなかきれいにならないですよね?
今回は、そんな「タバコのヤニ汚れで黄色くなった歯を白くしたい」とお悩みの方に向けて、歯を白くする方法をご紹介いたします。(タバコのヤニに以外の黄ばみについては紹介していません。ヤニ以外の黄ばみでお悩みの方は、お読みにならないでください。)
CONTENTS
歯にヤニがつくメカニズム
歯の黄ばみとヤニの黄ばみは別物だった!
タバコを吸う人は吸わない人に比べて歯が黄ばみやすいですが、タバコを吸わない人でも歯の黄ばみに悩んでいる人はたくさんいらっしゃいます。実は、歯が黄ばむ理由はタバコを吸う人と吸わない人で異なります。
タバコを吸わない人の歯が黄ばむ理由
①「エナメル質内部の存在する有機物質(着色)による黄ばみ
赤ワイン、コーヒー、カレーなど、私たちが日ごろ口にしている食べ物や飲み物によって、知らず知らずの間に歯の表面に色素汚れが溜まっていきます。
②歯石による汚れ
歯の着色汚れに似ていますが、歯石は白色~黄色くらいの色がついています。この歯石がたまっていくことで歯が黄色くなってしまうのです。
③エナメル質が薄くなることで歯が黄色く見える
加齢や歯の磨きすぎなどで歯の表面にある「エナメル質」が薄くなることも原因の1つです。エナメル質のさらに下には「象牙質」という黄色い組織があり、この象牙質が透けやすくなることで黄ばみが増します。この場合は、表面を磨いても効果はありません。
④象牙質の黄色みが増す
加齢が進むと同時に、歯の「象牙質」は黄色みが増してしまいます。表面にあるエナメル質は半透明になっているため、象牙質の黄色が透けて歯が黄ばみが増したしまうのです。
ヤニで歯が黄ばむメカニズムとは?
では、タバコを吸うとなぜ歯が黄ばむのでしょうか。
歯は、内側から「歯髄」「象牙質」「エナメル質」の主に3つの組織で構成されていますが、さらにエナメル質の表面は「ペリクル」という薄い膜で覆われています。このペリクルは、だ液の働きによって作られています。
タバコのヤニ汚れは、歯の表面の「ペリクル」に着色汚れが付くことで起こります。タバコに含まれる「タール」は水溶性であり、タバコを吸うことでまずだ液に溶けます。そのだ液がペリクルに取り込まれることで、歯が黄色くなるのです。これが、ヤニによって歯が黄ばむメカニズムとなります。
タバコのヤニは水溶性だった!じゃあなぜ落ちないの?
先ほどご紹介した通り「タール」という成分は実は水溶性であるため、水に溶ける性質を持っています。では、なぜ歯を毎日磨いても歯が黄ばむのでしょうか?
原因は、「喫煙後に口をゆすがずに放置している」ことにあります。
つまり、喫煙後にすぐ口をゆすいだり歯磨きをすればヤニは簡単に落ちるため、着色汚れは発生しません。半日~1日ほどタールが歯に付いた状態で放置することで、タールと歯の表面にある「ペリクル」が強く結びついてしまい、歯の着色汚れ(=ステイン)となることで落としにくい黄ばみとなります。
歯の黄ばみで最も落としにくいのがヤニ汚れ
歯のエナメル質の上にあるペリクルには、「エナメル質を酸による攻撃から守る」という重要な役割があります。ペリクルは粘着力があるため、口の中の細菌やポリフェノールなど着色汚れの原因になる成分も引き付けてしまうのです。
また、ヤニの成分である「タール」は植物などに含まれる樹脂が主原料となっているため、同じく粘着力があります。つまり、ペリクルもヤニもお互い粘着性があるため、一度結びついてしまうとなかなか落としにくいのです。
タバコを吸っていると、服や壁にもヤニ汚れが付いて黄色く変色してしまったことはありませんか?同じ現象が、歯にも起こっているのです。
ポイントはヤニを除去した後にホワイトニングすること!
ホワイトニング以外で歯が白くなる!?クリーニングでヤニは落ちる
では、歯に付いてしまった黄ばみはどのように落としたらいいのでしょうか。
ヤニ汚れ以外の歯の黄ばみなら「ホワイトニング」によって歯を内側から漂白するしかありませんが、ヤニによる汚れは表面に付着した汚れであるため「歯のクリーニング」で除去できます。
歯のクリーニングはかかる時間や費用もホワイトニングに比べて少なく、最も取り組みやすい方法です。保険が適用されることもあり、その場合は3000円程度と費用もかなり抑えられます。(基本的には自由診療となります。)
クリーニングペーストを歯の表面に塗布し、歯科医院専用の機械で除去してもらいます。痛みはありませんが、歯石を取る際に多少痛みを感じることはあります。
表面についた汚れを落とすだけなので何度も通う必要もなく、1回で終わることもあります。汚れが多すぎると、複数回通うこともあります。
クリーニングで取れない色素沈着による汚れはホワイトニングで漂白する
ヤニの汚れならクリーニングで取り除けますが、色素沈着が起きている部分はホワイトニングを行い、薬剤で汚れを分解するしかありません。ホワイトニングなら歯そのものを白くすることができます。
ホワイトニングを行うなら歯のクリーニングは不要?
「それならクリーニングせずにホワイトニングから行えばいい」と思いがちですがそんなことはありません。ホワイトニングを行う場合も、まずはクリーニングを行い表面についているヤニなどの汚れを落とすことから始める必要があります。
歯の表面に歯石やヤニ汚れがついた状態のままホワイトニングを行うと、薬剤が浸透せずあまり効果がでないこともあります。そのため、クリーニングを先にしておくことをおすすめします。
歯ぐきの黒ずみもきれいになる!?
余談ですが、タバコによって歯ぐきも黒ずむことがあります。
歯ぐきの黒ずみの原因は、タバコに含まれる「ニコチン」です。ニコチンには血管を収縮させる働きがあり、喫煙によって歯ぐきの血管が収縮して血液の循環が滞ることで歯ぐき全体に栄養が届きにくくなってしまいます。
さらにニコチンが歯ぐき内のビタミンCを破壊することで「メラニン色素」が沈着し、色が黒ずんでしまうのです。
この歯ぐきの黒ずみは「ガムピーリング」という方法できれいにすることができます。「フェノールアルコール」という薬剤を歯ぐきの表面に塗布してもらうことで、黒ずんだ表面を落とすことができるのです。歯の着色汚れだけではなく歯ぐきの黒ずみも気になっている方は、一度相談されてみてはいかがでしょうか。歯茎の黒ずみに関しての詳しい記事はこちらをご覧ください。
ヤニをつきにくくケアすることが大切!
研磨剤入りの歯磨き粉で磨けば落ちる?それって実は逆効果!
歯の表面に付いたヤニ汚れを、「こすって落とそう」としたことはありませんか?昔から、研磨剤を使って歯のヤニ汚れを削り取る商品も販売されていますが、できる限り避けることをおすすめします。
歯に付いたヤニ汚れは歯の表面のペリクルと強く結びついているため、ペリクルごと除去するしか方法はありません。
確かにこすってヤニ汚れをはがすことで一見きれいになったように見えますが、実はペリクルだけではなくその下にあるエナメル質も削り落としてしまうため、歯にかなりのダメージを与えることになります。歯の表面に傷がつくことによりで凹凸ができてしまい、更にヤニが付着しやすくなるのです。
「研磨剤でこすって落とす」ということを繰り返すとエナメル質がどんどん失われてしまい、象牙質が透けることによる黄ばみ・エナメル質が薄くなることによる知覚過敏などほかのトラブルさえ招いてしまうのです。
そのため、「重曹で歯を磨く」という事もやめておくことをおすすめします。研磨剤と同じく、歯のエナメル質を傷つけてしまいます。
ポイントは、「歯の表面を傷つけずにヤニを除去し、歯の表面を滑らかに保つこと」です。
トリートメントケアで着色汚れを防げる!
では、どのように歯を滑らかにしたらいいのでしょうか。
歯は、髪やお肌と同じように「トリートメントする」ということができます。外側から歯に栄養を与えてあげることで表面を滑らかにして、着色汚れや歯石などがつきにくい歯にするのです。
歯に栄養を与えることができる成分は「ハイドロキシアパタイト」というものになります。しかも、ナノレベルまで細かい粒子にした「ナノハイドロキシアパタイト」という成分でないと効果はありません。
この「ハイドロキシアパタイト」という細かい成分が、歯の表面に付いた傷を修復して滑らかにします。さらに、歯に透明感や輝きを与える働きもあり、歯そのものを強くすることで虫歯のリスクも軽減します。
施術の場合はは、一般歯科やホワイトニング専用サロンで行ってもらえます。歯科衛生士の方がトリートメント専用の薬剤を使用して、柔らかいラバー素材の装置ですり込んでくれます。
歯の表面をコーティングするものとしては、昔は「フッ素」という成分が一般的でした。ですが、最近は「ナノハイドロキシアパタイト」が開発されたことにより、トリートメントの方法も変わってきました。
フッ素は歯の表面から修復するアプローチに対し、ナノハイドロキシアパタイトは歯によく似た成分となっているため、歯の内側から修復できるのです。ナノハイドロキシアパタイトは、「歯そのものを強くする」という働きも持っているのです。
ハイドロキシアパタイトを配合した歯磨き粉はご自宅でも使っていただけます。アパガードリナメルは優秀なハイドロキシアパタイトを配合したトリートメントです。
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ポイントを押さえた歯磨きでヤニ汚れを落とす!
日々行う歯磨きにも少し工夫することでヤニ汚れを落としやすくできます。ヤニ汚れは「小刻みな振動に弱い」という性質を持っているため、歯ブラシを2ミリ~3ミリほど小刻みに振動させて磨くことで少しずつはがすことができるのです。
何度も言いますが、強い力で削るように磨いてはいけません。さらに着色汚れがひどくなってしまいます。
定期的な専門家によるクリーニングでヤニを落とす!
禁煙しない限り、日ごろのケアを行ってもヤニによる汚れは少しずつ付着していきます。定期的に一般歯科やホワイトニングサロンなど専門家の方に歯のクリーニングを行ってもらうことで、楽に歯をきれいに保つことができます。
クリーニングの方法もいくつかあります。
超音波スケーラー:超音波の振動で歯石やヤニを除去する。細かい振動に弱いヤニ汚れには効果的
ジェットパウダー洗浄:塩のパウダーを歯に吹き付けることでヤニ汚れを落とす。(表面がざらついてしまうので、必ず歯面を磨いてもらう)
歯面研磨(PMTC):フッ化化合物を含んだペーストを付けて、専用の器具で歯の表面を磨いてもらう。虫歯予防の効果も期待できる。
ホワイトニング後もタバコはやめなくても大丈夫?
ホワイトニングが終わったら、ずっと禁煙しなければいけないのでしょうか。
ホワイトニングを行った直後は歯が色素新着しやすくなっているため、12時間~24時間程度は必ず禁煙する必要があります。
それ以降は禁煙しなくても良いですが、ステインの予防はしておいた方が良いです。さらに喫煙は体だけではなく口内にも以下のような悪影響を及ぼします。これを機に禁煙に挑戦してみるのもおすすめです。
①ステインはつきます
先ほども説明したようにホワイトニングして歯をきれいにしても、再び喫煙することで再度ヤニ汚れがついてしまいます。ヤニは粘着性があるため、歯石やほかの汚れも引き付けてしまいます。ホワイトニングの色が戻るというよりはホワイトニングをして白くなった歯にステインがついてしまうということです。
②歯周病のリスクが高まる
タバコに含まれる「ニコチン」の影響で、歯ぐきの免疫力が衰えます。そのため、吸わない人に比べて歯ぐきが炎症を起こしやすくなり、歯周病のリスクが高まります。
③口臭がきつくなる
だ液には「歯を浄化する」働きがありますが、喫煙によってだ液の分泌量が減ってしまいます。細菌が繁殖しやすくなり口内環境が悪くなるため、口臭もきつくなってしまいます。ホワイトニング後の喫煙については、こちらの記事をご参照ください。
タバコのヤニにはクリーニングを!
今回は、タバコのヤニ汚れについて詳しくご紹介しました。喫煙している人でヤニ汚れに悩んでいる方は多くいらっしゃいます。ヤニ汚れはホワイトニングで漂白する以外にも、歯のクリーニングである程度落とすことができます。
今回ご紹介したように、「歯の表面を削って無理に落とす」ということだけはやめておきましょう。まずは歯のクリーニングでどれだけヤニ汚れが落ちるか試してみて、もっと歯を白くしたいと思ったらホワイトニングしてみるのもいいでしょう。