口臭がひどいのではないかと心配になる瞬間とは、至近距離でだれかとしゃべったり、他者の口臭が気になったりしたときではないでしょうか。もしかしたら…と気になりはじめると、仕事に集中できなくなるだけではなく、不快な気分になってしまいます。口臭はご自身だけではなく、周りの人をも不快にするもの。気になりはじめたら、早めに対処することが大切です。
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口臭がひどくなる原因
だれかと接しているとき、仕事の会議や友だちとの会話などのシチュエーションで、だれかの口臭が気になった経験、だれしも思い浮かべることができるのではないでしょうか。口臭とは、文字通り、口内から放たれる悪臭のことで、自身ではなかなか気づきにくいのが難点。臭いに慣れてしまい、親しいだれかに指摘されるまで気づかないということもあります。指摘されるならまだしも、陰でひそかに話されているなんてこともあるかもしれません。
このように、口臭はおもに人間関係において問題となる火種。気づいたらすぐに対処したいところですが、口臭がひどくなる原因はいくつかあります。さっそく見てみましょう。
長期間そのままの状態が続く
口臭が気になりはじめても特に何もせず、そのまま放っておくと、口内の環境がどんどん悪化していきます。虫歯や歯周病がある方は症状が悪化しますし、ない方でも口内の免疫が低下し、菌が付着しやすくなります。その結果、口内だけではなく、ほかの病気などを引き起こすこともあります。また、まれにずっと放置していた虫歯が原因で亡くなるというケースもあります。たかが口内の問題と言えど、なかなか侮れません。
口臭の原因が悪化したため
口臭はさまざまな要因によって起こる症状ですが、その要因が悪化することで、口臭がひどくなることもあります。
口臭の原因とは、虫歯などの口内の病気だけではありません。香り成分の強い食品の影響で口臭が起こることもありますし、口内の汚れが原因で悪臭が発生することもあります。
体調不良
体調が悪くなると、体の免疫力が低下し、口臭の原因にもなる菌が繁殖しやすくなります。また、発熱があると、体内の水分が蒸発し、口内が乾燥してくることで、口内の細菌が繁殖しやすくなります。
つまり、普段は感じない口臭を感じたら、もしかしたら体調がすぐれていないのかもしれません。口臭は健康のバロメーターとも言えますね。様子を見て、必要な場合は休息を取ることが大切です。このような体調不良による口臭は、体調が回復するとおさまります。
口臭の原因
口臭が起こる原因は多様です。虫歯や歯周病、その他の病気が原因で悪臭を放つこともあります。これは病気を知らせるためのサイン。臭いだけではなく、痛みやだるさなども生じていたら、ちゃんとした検査を受ける必要があります。
また、食べ物や飲み物をはじめ、口にするものが原因で口臭が起こることも。にんにく、ねぎ、にらなど、強い香り成分アリシンを多く含む食材、コーヒーなど独特の香りを有する飲み物を口にした後、口臭を放つことがあります。タバコを吸う方もしかりですよね。タバコを吸うと、タールが口内に付着し、独特の臭いを口内に残します。
VSCによる口臭
以上のような原因があるわけではないのに、口臭が起こることもあります。たとえば、舌の表面についた汚れや、歯にたまった歯垢を放っておくと、揮発性硫黄化合物(VSC)という口臭の原因となる物質が作られてしまいます。その結果、口内に悪臭が放たれ、口臭が起こります。
また、何らかの原因で唾液が減ることで、口臭が起こることもあります。唾液には口内を洗浄する働きがありますが、唾液が減ることで洗浄が行えなくなり、口内環境が悪化して口臭が起こります。唾液の減少が原因の口臭は、寝起き、疲れているとき、ストレスが溜まっているとき、口呼吸をしているときなどです。
以上に挙げた原因が思い当たる方は、歯のブラッシングや口内洗浄を意識的に行い、口臭が起こらないようにしたいですね。
歯周病による口臭
歯周病とは、歯と歯肉の間に口内の細菌がたまったことで生じる炎症のこと。放っておくと歯と歯肉の境が深くなり、歯を支えている骨が溶けていってしまいます。歯周病が悪化すると、歯と歯茎の間から膿が出てきますが、この膿がひどい臭いを発します。
歯を磨いたばかりなのに、口内がべとべとしたり、出血が起こったりする場合、歯周病かもしれません。歯周病は、気づかないうちに進行する病気です。早いうちに治療することが大切ですので、つねに口内を清潔にしておく必要があります。
病的な口臭
病的な口臭には、虫歯や歯周病などの口内の病気のほか、気管支炎などの呼吸器疾患、鼻炎などの耳鼻咽喉の病気、胃炎などの消化器系の病気、糖尿病をはじめとする代謝系の病気などが原因で起こる口臭があります。
実際には、口内の病気が原因の場合が圧倒的で、原因となっている病気が治れば口臭がおさまります。このため、まずは原因を見つけ、その治療に専念することが大切となります。病気の可能性のある方は病院で相談しましょう。
口臭がひどい場合は歯科医院へ
口臭がひどい場合、その原因がよくわからないこともありますよね。そんなとき、ひとりで悩んでいないで、まずは歯科医院に相談してみることをオススメします。口臭の原因が口内にある場合が多く、原因がわかることで解消されることも多いからです。
最近では、口臭外来を併設する病院も増えていますよね。それだけ悩んでいる人も多いということにほかなりません。気になったらまずは気軽に相談してみるようにしましょう。
歯周病の治療を行う
歯周病は、20代ごろから徐々に発生し30代を超えると8割以上の方が歯周病と言われています。つまり、だれもがなりやすい病気のひとつなのです。
しかも、歯周病にかかっても、目立った症状が現れず、ゆっくりと進行していくため、気づくのが遅れることもよくあります。重度の歯周病では、場合によっては歯を抜かなければいけないこともあります。
歯周病の有無を判断する自覚症状として、口臭をはじめ、歯の出血、歯肉の腫れなどが見られます。気になった方は、すぐに歯科医院に相談してみましょう。早期発見が早期解決につながります。
歯周病が重症化していると治療するのにも長期間を要します。なぜなら虫歯のように削って詰めてはい終わり、ではないからです。歯石をとり必要に応じては歯周外科手術を行い、長い期間をかけてメンテナンスをし、自宅でのケアもかかせません。
普段から予防しておくことで長期間に及ぶ歯周病治療を回避することができるのです。
歯ブラシでは取れない汚れをクリーニングで落とす
日頃のブラッシングで落としきれなかった汚れは、プラークとも呼ばれる歯垢として歯にこびりついていきます。この歯垢は、歯ブラシでブラッシングすることで落とすことができると言われていますが、放っておくと口内の成分と結合して歯石となってしまいます。
また、口の中の細菌が原因で現れるバイオフィルムも歯ブラシでは取り除くことができません。歯石やバイオフィルムは、ブラッシングしても落とすことはできません。歯科医院における歯のクリーニングが必要となります。
歯垢や歯石、バイオフィルムは歯周病などの原因にもなります。このため、定期的に歯のクリーニングを行うことは大切です。
ホームケアをプラスする
ご自宅でできる歯のホームケアは、毎日の歯磨きだけではありません。定期的に歯間ブラシやデンタルフロスなどを使ってケアをすることも大切です。
また、歯磨き剤をしっかりと選ぶことも大切。虫歯の予防に対してはフッ化物配合のものを選ぶべきですし、歯周病予防であれば歯周病細菌に対して効果のある成分を選ぶことが重要です。
忘れてはならないのは、日頃の食生活の見直しです。甘いものを食べ過ぎると虫歯になりやすくなるため、控えた方がベター。歯の健康を考えて、たんぱく質をはじめ、カルシウム、ビタミンDやビタミンKなどの栄養素を十分に摂ることも重要です。また、食事の際はよくかむこと。かむことで唾液が増え、唾液によって口内は洗浄されます。
所見がない場合は内科へ
歯科医院に相談しても、口臭の原因がわからない場合、内科へ相談してみましょう。口臭の原因の大半は口内の病気ですが、内科の領域で口臭が起こることもあります。
ただし、この場合、何らかの病気が原因となるため、病気がかなり進行していることもあります。口臭の原因となっている病気がわかったら、その病気の治療を最優先させるようにしましょう。この場合、口臭は、病気が治るとなくなっていることが多いです。
ひどくなる前に対処しましょう
口臭に限ったことではありませんが、症状が気になりはじめたら、すぐに対処するべき。口臭の場合、その多くの原因は口内にあります。虫歯や歯周病は、早期治療によって早期解決につながります。放っておくと、症状が悪化し、治療も困難になっていきます。
とはいえ、口臭はなかなか気づきにくい症状でもあります。臭いに慣れてしまっていることが多いからです。本来であれば、親しい相手などに指摘してもらうのがいいのですが、口臭は他者が指摘しにくい症状ですよね。
そういう場合、歯科医院などで歯の治療やクリーニングなどを行う際に、医師に聞いてみるというのもひとつです。口臭が起こっているかどうか気になっている旨を伝え、場合によっては検査してもらうと安心ですね。
気づく前から対策をしておく
口臭はなかなか自覚できなかったり、他者から指摘してもらえなかったりする症状のひとつです。ですから、口臭が起こる前から、まめに口内を洗浄し、口内を清潔に保っておくことが大切です。毎食後の歯のブラッシングを習慣にし、虫歯や歯周病も同時に予防するようにしたいですね。
とくに喫煙されてらっしゃる方、にんにくやコーヒーなど独特の香りを含む食べ物や飲み物を好んで摂取する方も、まめに口内を洗浄したほうがベター。歯や舌に成分が付着しないように心がけ、口臭が起こらないようにしたいですね。
定期的なクリーニングを
そして、定期的に歯科医院で歯のクリーニングを行うことをオススメします。歯垢や歯石が付着していないか歯科医に見てもらうことで、歯の病気を予防することもできます。また、なかなか人に聞くことのできない口臭の有無についても相談することができますね。
歯石がついてきたり口腔内のバイオフィルムが再生されるのは通常3ヶ月と言われていますので、最低でも3ヶ月に1度はクリーニングに通うと良いでしょう。
口臭は身だしなみのひとつ
少し前の調査になりますが、2009年にネットで行われたあるメーカーの「口臭の社会生活への影響に関する調査」では、20代~50代の男女で気になる臭いの第1位が口臭でした。そして、調査対象の80%以上が「口臭は迷惑だ」と考えているのに、70%以上の人が「だれにも言わない」と答えています。
口臭はあらゆるシチュエーションにおける人間関係を不快にさせる要因のひとつ。だれかの口臭で、不快な気分になってしまうのと同じように、ご自身の口臭が、まわりの誰かを不快にさせてしまいます。
それが会社や学校の身近な相手だったとしたら……社会生活を送るのが難しくなったり、人間関係にひびが入ったりすることもあるかもしれません。この自覚をもって、日頃から口臭が起こらないように配慮することが大切です。
向かう相手に嫌な気持ちを起こさせないためにも、まずはご自身から日頃のホームケア、定期的な歯のクリーニングをはじめたいですね。
あなたの意識で口臭は予防できます
口臭は、虫歯や歯周病などの口内の病気をはじめ、それまで口にしてきた成分によって生じたVSCが原因で起こることもあります。自覚することも他者に指摘することもむずかしい症状ですので、日頃のホームケアを十分に行い、定期的に歯のクリーニングを行って、口内を清潔に保ちましょう。