歯科でクリーニングを!10年後20年後も自分の歯で過ごそう!

歯医者さんへ行くのって歯が痛くなったり不具合がでてからということがほとんどですよね。でも、そうなってからは遅いことってご存知でしたか?

歯科でクリーニングを定期的に行ったことで歯が抜ける確率を大幅に軽減することができるとわかっています。将来ずっと自分の歯で過ごせるように今回はクリーニングについてご紹介していきます。

柴田はるひ
この記事の監修者
歯科衛生士
歯科医師として、30年近く審美治療にかかわってきて、治療後に患者様の笑顔がより輝いてくることに大きな喜びを感じています。 ホワイトニングや矯正治療後に、「これまでコンプレックスだった箇所が自慢の個所に変わった!」「よく笑うようになった!」など「患者さまの人生を変えることに貢献できた!」と思える瞬間が歯科医師としての一番の喜びだと思っています。最近心に残った言葉は「幸せ」には「人から与えられる幸せ」「自分の力で何かを得る幸せ」「他人に与える幸せ」の3種類あり、「他人に与える幸せ」を知っている人が最高の幸せ者である、という言葉です。 私も人生の折り返し地点を過ぎてきましたので、これからは「他人に与える幸せ」を日々実 践していきたいと考えています。 座右の銘は全ての人を尊重する、日々感謝です。 趣味は格闘技観戦、読書です。
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歯科で行うクリーニングとは?

歯科衛生士が患者をみている
歯のクリーニングという言葉を聞いたことがありますか?歯のクリーニングとは歯科で歯のお掃除を行うことです。歯科で歯科医、歯科衛生士から歯についた汚れを取り除いてもらうことです。
自宅での歯磨きなどでは落とすことのできない汚れを専用の器具を使用して落としてきます。お口の中に汚れが溜まってしまうと歯周病や虫歯、口臭が発生してしまう原因となってしまいます。

クリーニングとホワイトニングの違いとは?

よく歯科で行う歯のクリーニングとホワイトニングが一緒だと混同されている方がおおいですが、2つは全く別の施術になります。
クリーニングは歯についた汚れを落として虫歯や歯周病を予防したり、ステインを落として歯を本来の白さにすることです。
歯のホワイトニングは歯に薬剤を塗って黄ばんでしまった歯を白くすることです。ホワイトニングでは過酸化水素という歯を漂白する効果がある薬剤を使用します。

最大の予防

歯科で歯をクリーニングをすることは歯が抜けてしまうのを防ぎます。食事をした後にしっかりと歯磨きを行っていたとしてもそれだけでは汚れは取り切れず溜まってしまいます。
そこに細菌が充満してしまい炎症を起こしてしまいます。歯茎が炎症を起こすと歯周病が進行してしまい歯を支えている骨が溶けて歯がぐらつき最終的には歯が抜けてしまいます。
歯科でクリーニングをすることによって普段取り切れない汚れや固まってしまった歯石、クリーニングによっては歯に付着している細菌まで取り除くことができますので歯周病を防ぐことができて歯が抜けてしまうのを防ぐことができますし、もちろん虫歯の予防にもなります。

口の中の汚れの種類

様々な歯のイラスト
口の中の汚れには種類があります。口の中の汚れの種類には「プラーク」「ステイン」「舌苔」「バイオフォルム」があります。

プラーク(歯垢)

歯垢又はプラークという言葉を聞いたことがあるかもしれません。プラークとは食べ物のカスが歯に付き細菌が繁殖することで生まれる白くネバネバとしてものです。食後8時間ほどでプラークになると言われています。
なんと1㎎の中に300種類の細菌が1億個存在しています。顕微鏡で採取したプラークを患者様に見せるとみると多くの方が驚かれます。
食後は菌の働きで口の中が酸性に傾きます。この時すぐにプラークが取り除かれれば歯の再石灰化作用により歯は守られますが長時間そのままの状態が続くと歯は脱灰(溶けてしまうこと)してしまい虫歯になってしまうのです。
また、歯の表面だけでなく歯茎のポケットにもプラークはたまっていくため歯茎を炎症させて歯を支えている骨も溶かし歯周病を進行させてしまいます。
プラークの中の細菌は口臭の原因であるガスを発生させるために口臭の原因となることもあります。ゆすいでもプラークは除去できませんので歯ブラシと歯の間の掃除する歯間ブラシやデンタルフロスが必要になります。

ステイン

ステインとは歯の着色汚れのことで発生してしまう原因はカレーやコーヒー、赤ワインやチョコレートなどの着色が強くポリフェノールを多く含む食べ物と歯のエナメル質を覆っているぺクリルというタンパク質の物質が結合してしまうことです。
ステインは紅茶やお茶に含まれているタンニンと唾液中のカルシウムのような金属イオンと結合することによっても発生してしまいます。タバコのタールもステインになります。
ステインは毎日の食生活の積み重ねで発生してしまいステインが発生してしまうと、うがいや歯磨きなどでは除去するのが難しくなってくるために歯科でクリーニングをしてステインを除去してもらう必要があります。

舌苔

舌苔(ぜったい)とは舌に白い苔がついたような状態のことです。舌苔は舌の上で食べかすや細胞が剥がれ落ちたものが舌の舌乳頭の間に入ってしまいそこに細菌が繁殖して発生してしまいます。
舌苔になってしまうと細菌が増えてしまうことで口臭がひどくなってしまいます。舌苔になる大きな原因として唾液の分泌が不足してしまい口の中で細胞が浄化されずに舌に溜まってしまって発生します。唾液が少なくなってしまう原因は水分不足、よく噛んで食べない、ストレスなどが挙げられます。

バイオフィルム

バイオフィルムはネバネバとした膜のようなもので口腔内の常在菌や歯周病の細菌が生み出しています。基本的に歯ブラシでの掃除や薬剤による除去効果はなく機械的にバイオフィルムを破壊することで歯の表面から除去することができます。
バイオフィルムは白血球などの身体を防御してくれる細胞を攻撃したり、バイオフィルムから外部に有害物質を放出するため虫歯や歯周病になってしまいます。虫歯も歯周病も感染症ということになります。

バイオフィルムは1度専用の機械で除去したからと言ってそれで終わりではありません。だいたい3ヶ月経つとバイオフィルムは再生されますので繰り返し除去することが重要です。

口の中のお掃除の主な種類

歯を掃除すろ道具のアップ
お口の中の掃除にはどんな種類があるのでしょうか?お口の中の掃除は「スケーリング」「エアフロー」「PMTC」などがあります。それぞれどういった掃除の方法なのでしょうか?

スケーリング

歯を検査している

スケーリングとは歯石を除去するためのスケーラーと言われている医療器具を使用して歯石やプラークを除去することです。歯石を除去することで歯周病の原因を防ぐことができます。
現在のスケーリングの主流は超音波スケーラーという医療器具で超音波振動によって歯石を砕いて水で流してしまう方法です。
歯石は歯面にへばりついておりそれをスケーラーで取り除いていきますがスケーリングの当て方が悪かったり振動を無駄に強くしてしまうことでセメント質を削ってしまい知覚過敏になってしまう可能性があります。超音波スケーラーでセメント質を削ってしまう可能性は低いですが可能性としてゼロではないことを覚えておいてください。
スケーラーでバイオフィルムも除去することもできますが、要領が悪いので後で紹介するPMTCで詳しくご説明します。

エアフロー

エアフローとは歯に水と超微細なパウダーを吹き付けて歯をクリーニングします。エアフローで使用するパウダーは重曹を使用していることが多く歯にへばりついてしまった汚れやステインを瞬時に落とすことができます。

ホワイトニングをする前にエアフローをすることでよりホワイトニング効果がでます。ただしエアフローは歯石を落とすことはできないためにスケーリングとセットで行う場合が多いようです。

PMTC

歯を綺麗にしている
PMTCとはプロフェッショナル メカニカル テゥ-ス クリーニングの略でプロによる機械を使用したクリーニングを行うことです。

専用の機器とフッ化物入り研磨剤を使用して、歯みがきで落とせない歯石やバイオフィルムを中心に歯面の清掃と研磨を行ない、齲蝕や歯周病になりにくい環境を整えます。

先に紹介したスケーラーでの歯石除去を行った後に、シリコンのカップなどで歯の表面を磨いていきます。この時歯茎のポケットの中までカップを入れるとより予防につながります。ペーストをフッ化物が入ったものにすることで歯質を強化できますし、歯の表面をつややかにして汚れをつきにくくします。

歯のクリーニングには2種類

歯ブラシ、歯磨き粉、歯がハートを抱えている

歯のクリーニングは基本的には2種類です。保険が適用されるか自費であるかどうかです。保険がきくかきかないかで施術の内容は変わってきます。

保険

保険適用内の歯科でのクリーニングでできる施術内容は歯周病と判断された場合の歯石の除去です。保険適用内というのは病気の治療を目的としています。歯のクリーニングは基本的には予防の範囲になるため原則保険は利きませんが、歯周病と判断された場合歯周病の治療として保険が適用されるのです。

ただし1回で施術できる範囲が保険のルールで決まっているため何度も通わなければならず1回の費用は3000円ほどですが、何回も通うため実質1万円ほどかかってしまいます。

歯石の除去や研磨も時間は短いですがしてもらえます。ステインの除去は保険のルールだと本当はしてもらうことが出来ません。

自費(保険適用外)

自費でクリーニングを受ける場合には施術内容が広くなってきます。エアフローやPMTCは保険適用外の施術になるためステインや歯石だけでなくバイオフィルムもしっかり除去することができます。

保険適用外のクリーニングは全体のクリーニングを一度にすることができるため何回も通う必要がなく、1回で全ての汚れを取り切ることができるのです。そのため、歯周病や虫歯になる前に予防をすることができて将来歯を失う可能性がかなり低くなります。

時間もしっかり確保して行うため汚れの取り残しもなく、痛みも少ないのが保険適用外のクリーニングになります。1回の施術で費用は8000~15000円ほどになります。

歯のクリーニングで予防できるもの

虫歯になった歯が器具でふれられようとしていて泣いている

歯のクリーニングでどのような病気を予防できるのでしょうか?歯のクリーニングによって予防できるのは歯周病、虫歯、口臭や全身疾患です。

歯周病

歯周病は歯垢が歯と歯の間の隙間に溜まってしまい、歯垢の中に含まれる細菌が繁殖してしまい歯肉に炎症を起こす形で発症します。そして歯肉の中の骨を溶かしてしまいます。

最終的には歯が抜け落ちてしまいますし、口の中だけでなく全身疾患の原因にもなる怖い病気です。痛みもなく進行してしまうことから日本人の成人の約8割が歯周病に罹患していると言われています。

虫歯

虫歯は食事の食べかすなどが歯に残ってしまい歯の表面についた歯垢にニュータンス菌という虫歯の原因となる菌が糖を栄養としながら増殖して酸を発生させ歯の表面のエナメル質は歯の内部の象牙質を溶かしていきます。

虫歯が進行すると歯の神経まで到達してしまい最悪の場合、歯科で歯を抜かないといけなくなります。
歯科でクリーニングを行い歯石やバイオフィルムなどを取り除くことで虫歯の原因を解消していきます。

口臭

歯科で歯のクリーニングを行うことで口臭を改善することができます。口臭になってしまう原因は様々なものがありますが、その中のひとつに口の中の食べかすや汚れに細菌が増殖して発生してしまう歯垢があります。歯垢の中にいる細菌がくさい臭いを発生させてしまいます。

また歯垢は歯と歯の間につまってしまいそのままになってしまうと唾液の成分のミネラルと結合して歯石となってしまいます。歯石も口臭の大きな原因となってしまいますので歯科で歯のクリーニングを行うことで歯垢、歯石をしっかりと落とします。

全身疾患

先ほどもご説明しましたが歯周病は歯だけの病気ではありません。歯周病菌は歯茎の血管から全身の血流をめぐり心臓や脳、女性の子宮にたどり着きます。その結果、心疾患や脳梗塞、早産や低体重児出産を誘発する可能性が指摘されています。

歯を予防するには自費のクリーニング

女性歯科衛生士が患者を診ている

歯科で歯のクリーニングをする場合には保険適用内、保険適用外のクリーニングがありますが、あらゆる病気を予防するためには自費でのクリーニングをおこなった方が良いです。

保険適用内では歯周病の患者への歯石の除去だけと施術の範囲が狭くなってしまいます。時間や期間の制約ない自費のクリーニングはしっかりと全ての歯の汚れを取りお口の中をきれいな状態で保つことができるのです。

痛みが出てからでは遅い

歯のクリーニングは痛みがでてからでは遅いです。歯のクリーニングは虫歯や歯周病を発生させないための予防のために行うものです。痛みが出てしまった段階で歯垢や歯石が原因で虫歯になっている可能性が高いです。

日本人は痛みがでて歯医者さんへ行くという習慣がありますが、歯を一生守るためには痛みが出る前に定期的にクリーニングを受けることが重要になります。

定期的なクリーニングをする

歯石やバイオフィルムは2~3ヶ月のペースで溜まってしまいますので定期的に歯科でクリーニングしましょう。定期的なクリーニングをすることで歯の健康が保たれて虫歯、歯周病、口臭の原因を完全に抑えることができます。

クリーニングと家でのケアも忘れずに!

歯科でクリーニングを行ってもらったら家で何もしなくていいわけではありません。歯ブラシとデンタルフロスの併用で歯の汚れをしっかりと落としていきましょう。

クリーニングが高い?

眼鏡で白衣を着た女性が歯の模型をもって指さしている
ここまで歯科での歯のクリーニングについてお伝えしてきました。歯は毎日しっかりブラッシングすることももちろんですが、歯科で定期的にクリーニングをすることも大事です。

自費のクリーニングの金額を聞いて高いと思ってしまう気持ちはわかります。でも、1回1万円のクリーニングを3ヶ月に1度行った場合の1日あたりの費用は109円程度です。1日109円で将来歯を失わずにすみます。

もし、歯を失ったら入れ歯やインプラント、月々の歯医者の費用はさらに高くつきます。今から毎日109円で予防することでいつまでもキレイな歯で毎日を楽しく過ごせるってとても幸せなことではないでしょうか。