【歯科衛生士監修】デンタルフロスの正しい使い方や選び方のコツ

お口の健康に気を使われることが多い昨今、デンタルフロスを使用して歯を磨いていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。しかし、デンタルフロスの正しい使い方を知らないとせっかくのデンタルフロスの本来の効果を発揮できていないかもしれません。今回はデンタルフロスの使う頻度やタイミング、選び方や使い方のコツまでお教えします!

柴田はるひ
この記事の監修者
歯科衛生士
歯科医師として、30年近く審美治療にかかわってきて、治療後に患者様の笑顔がより輝いてくることに大きな喜びを感じています。 ホワイトニングや矯正治療後に、「これまでコンプレックスだった箇所が自慢の個所に変わった!」「よく笑うようになった!」など「患者さまの人生を変えることに貢献できた!」と思える瞬間が歯科医師としての一番の喜びだと思っています。最近心に残った言葉は「幸せ」には「人から与えられる幸せ」「自分の力で何かを得る幸せ」「他人に与える幸せ」の3種類あり、「他人に与える幸せ」を知っている人が最高の幸せ者である、という言葉です。 私も人生の折り返し地点を過ぎてきましたので、これからは「他人に与える幸せ」を日々実 践していきたいと考えています。 座右の銘は全ての人を尊重する、日々感謝です。 趣味は格闘技観戦、読書です。
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デンタルフロスとは

デンタルフロスについてはご存知の方も多いとお思いますが、デンタルフロスの使い方やコツを知る前に少しだけおさらいをしておきましょう。主にデンタルフロスとは絹糸や合成繊維等の細い糸を用いた歯間の歯垢や食べ残しを掃除するためのものをいいます。糸楊枝という商品名でも販売されており主に歯磨き後に行うオーラルケアの一種です。

デンタルフロスを使用するメリット

元気な歯

虫歯・歯周病予防

普段、歯磨きでしっかり磨いたつもりでも意外と虫歯菌や歯周病菌は残っています。これらの菌をなくすには歯磨き後にデンタルフロスでしっかり歯垢を取り除くことが歯周病の予防のコツです。

歯茎の引き締め効果

継続することで歯茎が引き締まり健康な歯を保てます

口臭の緩和

口臭の原因は様々ですが原因の一つに歯垢の臭いがあります。歯垢を取り除くことで口臭は緩和されます

口内トラブルの早期発見

デンタルフロスを日常的に使用することで、ひっかかりや違和感を感じることがあれば、それは口内トラブルのサインですので早めに、歯科医に相談しましょう。

出典:http://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/file/statement/statement_03_text.pdf

いつ使用すると効果的か

歯ブラシを持っている手

デンタルフロスがお口のトラブルに効果的な働きがあるのはご理解いただけたかと思います。では効果を最大限引き出すためのタイミングとコツはなんでしょう。1番効果的なタイミングは夜の歯磨き後と言われています。就寝時は唾液が減り、汚れが残っているとそこから細菌が繁殖し虫歯や歯周病の原因になると言われています。夜の歯磨き後にお口の中で細菌が繁殖しないようにデンタルフロスでしっかり守りましょう。使い方のコツは、夜に歯磨きをしっかり行い歯ブラシでは取りきれなかった汚れや細菌をデンタルフロスでしっかり除去するのがコツです。

デンタルフロスの使用頻度

様々な口内トラブルに役立つデンタルフロスですが使用頻度はどれくらいでしょうか。それは、もっとも歯磨きに時間をかけやすい就寝前の歯磨き後1日1回が効果的です。歯垢が歯石に変わるまで2~3日かかるので歯垢が歯石に変わる前に除去すれば、歯磨きでは取りきれなかった食片の除去や歯垢が歯石になるのも防げ虫歯や歯周病の予防にもなりますので就寝前のデンタルフロスを心掛けましょう。

デンタルフロスを選ぶコツ

疑問を持っている女性

デンタルフロスを大きく分けると、フロスの形・糸の2種類から選びます。まず形は、ホルダー型と糸巻き型があり、ホルダーに型には「F」型のものと「Y」型ものがあります。糸の種類もワックス加工されているものやノーワックスのものがあり、繊維の滑り具合に違いがあります。歯の形は人それぞれなので、自分にあったデンタルフロスを見つけるのがオーラルケアを続けるうえで大事なコツです。

→詳しく知りたい方はこちら「デンタルフロスおすすめ10選!自分に合った商品を使おう」

デンタルフロスの正しい使い方・コツ

デンタルフロスの使い方や目的は、歯間に挟まった汚れを取ることだと思われがちですが、どちらかと言うと歯の表面についた歯垢を取るのが目的で作られています。実は歯間の汚れだけ取っていても虫歯・歯周病予防にはなっていない可能性がありますので、歯間だけ掃除して終わるのではなくしっかり歯の表面をこするようにして歯垢を剥ぎ取ることがデンタルフロスの使い方のコツです。次にデンタルフロスの使い方やコツを紹介していくので正しく使って口内環境を整えましょう。

デンタルフロスの正しい持ち方

デンタルフロスにはホルダー型(元々糸が付いているもの)と糸巻き型(自分で糸の長さ等を準備するもの)の2種類あります。ホルダー型は比較的初心者向けになっていますので、最初はホルダー型から試して、慣れてきたら糸巻き型に変えてみてください。ホルダー型と糸巻き型には若干の持ち方に違いがあるので参考にしてみてください。

糸・ロールタイプ

白いデンタルフロス

糸巻き型の使い方は少し下準備が必要です。まず、糸を1回分の長さ(約40cm)に切ります。この時、指先からひじぐらいまでに合わせると分かりやすいです。

その後、糸の両端を左右の中指に巻き付けて固定し糸の部分が10~15cmになるようにします。

デンタルフロスが両手の中指にまかれている

両手の親指と人差し指を使い、指の間の糸を1~1.5cmに張って持つのがコツです。
※長すぎると糸に力が入りやすく、歯茎を傷つけることがあるので注意が必要です。

両手の親指と人差し指がデンタルフロスを持っている

【上の前歯】や【上の奥歯】【下の奥歯】をフロスする際は持ち方がやや異なります。

上の前歯の持ち方:左もしくは右手の親指ともう一方の手の人差し指で上向きにフロスを押さえます。

手でデンタルフロス口に入れている

上の奥歯の持ち方:両手の人差し指で上向きにフロスを押さえます。

下の奥歯の持ち方:両手の人差し指で下向きにフロスを押さえます。

両手で奥歯にデンタルフロスを入れている

ホルダータイプ

色違いのY字型のデンタルフロス

ホルダー型の使い方は下準備等は不要ですぐに使えます。下準備が不要な所と、元々糸がしっかり張られているところが糸巻き型との使い方の大きな違いです。持ち方もなるべく柄の前方を持ちフロスしていくのがコツになります。この時、柄の後方を持ってしまうと、デンタルフロスの動きが大きくなってしまい力が入りやすいので歯茎を傷つけててしまう可能性があるので、注意が必要です。

デンタルフロスの正しい動かし方

デンタルフロスの動かし方は、糸巻き型とホルダー型で少し違います。共通する使い方のコツは:
①歯茎を傷つけないようにゆっくり行う
②歯垢をしっかり取り除く
2つのコツをしっかりマスターして健康な歯を保ちましょう。下で糸巻き型とホルダー型に分けて細かくコツをご紹介します。

糸・ロールタイプ

糸巻き型のデンタルフロスの使い方は
①歯と歯の間にデンタルフロスをあて、横に動かしながらゆっくり歯の間に入れます。
※この時、歯茎を傷つけないように鏡を見るなどして場所を確認するのがコツです。
②歯の根元まで入ったら歯に巻きつけるようにして上下に動かし、隣り合った歯の両方を掃除するようにします。
※この時、歯についた歯垢を削るように意識すると効果が高まります。
③次の歯に移るときも、歯茎を傷つけないように注意しながら気を付けて掃除していきます。
使い方を動画でも紹介していますので再確認しておきましょう。

ホルダータイプ

ホルダー型のデンタルフロスの使い方は基本的に、糸巻き型と同じです。事前の下準備が無いことや、最初から糸がしっかり張られているのですぐに使えます。
①歯と歯の間に入れて、上下に動かし、歯垢や汚れを取って行きます。
※ホルダー型で注意しなければならないのは、つい力が入りやすいため歯茎を傷つけやすい ので、慣れるまでは歯茎の手前で止めるのがコツです。
使い方を動画でも紹介していますので再確認しておきましょう。

正しくデンタルフロスを使おう

デンタルフロスをたかっていて笑っている女性

デンタルフロスの正しい使い方や、コツについてお伝えさせて頂きました。デンタルフロスは続けてこそ効果を得られますし、毎日の歯磨きにデンタルフロスをプラスすることで、虫歯や歯周病の予防・早期発見、口臭緩和等につながるので皆さんも自分にあったデンタルフロスを見つけて自信のもてる健康で素敵な歯になってくださいね。

出典

https://www.lion.co.jp/ja/company/press/2014/pdf/2014050.pdf

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jacd/34/3/34_231/_pdf/-char/ja