「子供の歯が黄色っぽいけど、ホワイトニングできないのかな?」…そんな疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんでしょうか。
日本でも多くの方がホワイトニングをするようになっていますが、では、何歳頃からホワイトニングは可能なのでしょう。子供の場合はやはりしない方がよいのでしょうか。今回はそういった疑問に答えるとともに、子供の歯を守る方法についても紹介していきます。
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大人の歯は子供の歯に比べて黄色い
ホワイトニングを何歳から受けることができるのかについて説明する前に、まずは子供の歯(乳歯)と、大人の歯(永久歯)との違いについて見ていきたいと思います。
一般的に、子供の歯は大人の歯と比べると、白くて透明感のある色をしています。乳歯をよくみてみると、青みがかった白色をしているのに対し、永久歯はクリーム色に近い白色をしています。
また、歯の構造自体は乳歯も永久歯も同じなのですが、乳歯の方が永久歯よりも小さいため、歯の表面にあるエナメル質や、その内側にある象牙質が、乳歯の方が薄くなっています。
そのため、永久歯と比較した場合、乳歯の方が虫歯になりやすく、進行も早いという特徴があります。もし子供の歯が黄色っぽい場合、何らかの異常が生じている可能性があります。
子供の歯が黄色くなる原因としては、エナメル質形成不全の可能性があります。歯の表面を覆っているエナメル質が何らかの原因によって先天的な障害を受け、エナメル質が正常に形成されず、下にある象牙質の黄色が目立ってしまう状態のことを指します。
見た目でそれと分かるエナメル質形成不全は、永久歯の場合で人口の10%程度、乳歯ではもう少し少ないというものの、決して珍しいものではないということです。
エナメル質形成不全になる原因はいろいろです。遺伝的な要因が原因となることもあれば、歯の成長段階で十分な栄養が得られなかった、などといったことも原因となることがあるそうです。
サロンや歯科医院の年齢制限
小さいお子さんをお持ちの方でしたらよくご存じかと思いますが、子供の歯は大人と比べると、青みがかったキレイな白色をしています。ただ、子供によっては黄色みが目立つこともあると思います。そのような場合、何歳からホワイトニングを受けることが可能なのでしょうか。
15~18歳からOKなところが多い
歯科医院やクリニックでおこなわれるホワイトニングの場合、歯の形成が完了する15歳から18歳以上から、ホワイトニングの施術を受けられるとするところが多いようです。
ホワイトニング剤に含まれている過酸化水素や過酸化尿素は、基本的に人体にとって有害なものではないのですが、15歳未満の子供は成長過程にあるため、薬剤の安全性が確立されていないという事情があります。
一方、ホワイトニング専門のサロンなどでセルフホワイトニングをおこなう場合、永久歯に生え換わっていれば年齢制限がないというケースもあるようです。
20歳未満は親権者の同意書がいる可能性あり
歯科医院でも15歳以上の子供を対象としてホワイトニングをおこなっているところがありますが、未成年や18歳未満の場合、保護者の同意書を必要とするケースがあります。
10代の大人の歯はまだ成長途中
ホワイトニングは原則として、安全性の高い施術です。歯科医院でホワイトニングをおこなう際に用いられるホワイトニング剤には、過酸化水素が含まれていますが、実は過酸化水素は第6類危険物に分類されています。
そのため、歯科医師や歯科医師の指導のもと、歯科衛生士によって施術がおこなわれることとなるのです。ホワイトニングに用いられる過酸化水素は、米国食品医薬品局(FDA、日本でいうところの厚生労働省のようなもの)によって、安全性が保障されています。
とは言うものの、10代の大人の歯はまだまだ成長過程にあることもしばしばです。そのような歯にとって必要なのは、見た目を白くすることではなく、正しい歯質にしていくことです。
そのためには正しい歯磨きの仕方やブラッシングの仕方を学ぶ必要もありますし、口内環境を良好に保つような生活習慣も重要となります。
必ずしも「歯が白い=健康」という訳ではありません。歯の色を白くすることと、歯そのものを丈夫にすることとは別問題ですし、10代の歯にとっては、歯そのものを丈夫にすることの方がより大事な問題なのです。
副作用が出やすい?
10代でホワイトニングを受けたような場合、副作用のリスクが高いといったようなことはあるのでしょうか。基本的にホワイトニングに用いられる薬剤は安全であり、副作用としては知覚過敏が代表的なものとしてあげられています。
先ほど、15歳未満の場合、ホワイトニング剤の安全性が確立されていないと説明しましたが、それは、ホワイトニングがそもそも成人を対象としておこなわれてきたからという背景があります。
15歳未満が用いると副作用が出やすいなどという問題ではなく、成人に対するような臨床試験がおこなわれておらず、安全性に関する医学的根拠(エビデンス)がないという訳なのです。
知覚過敏という問題でいうのであれば、虫歯や歯周病になっている中年期以降の人の方が出やすいことでしょう。
年齢制限がないホワイトニング
歯そのものを白くするホワイトニングは、原則として歯科医院やクリニックにおいて、もしくは歯科医師や歯科衛生士の指導のもと、自宅でおこなうこととなります。ただ、歯の表面の汚れを落とすということであれば、民間のサロンでも可能となっています。
セルフホワイトニング
ホワイトニング専門のサロンでおこなわれるホワイトニングに、セルフホワイトニングと呼ばれる方法があります。セルフサービスのガソリンスタンドのように、お店に行って自分でホワイトニングをするのです。
なぜそのような面倒なことをするのかというと、職業として歯や口の中を見ていいのは、国家資格を有する歯科医師や歯科衛生士だけだからです。
では、そのような面倒なことをするメリットがどこにあるのかというと、歯科医院でおこなうオフィスホワイトニングや、歯科医師や歯科衛生士の指導のもと自宅でおこなうホームホワイトニングよりも価格がかなり安いということです。
ホワイトニング専門のサロンでは、過酸化水素や過酸化尿素を用いることができないため、歯そのものを白くすることはできません。
ただ、ポリリン酸ナトリウムや酸化チタンを配合したホワイトニングを用いることで、歯の表面に付着した着色物質を取り除くことは可能となっています。
たとえば10代であっても、普段から食べているものや飲んでいるものによって、歯の表面に着色物質(専門用語でステインといいます)の付着する可能性があります。
歯が汚れて見える原因が、歯そのものの変色ではなくてステインであれば、それを落とすことによって元の色に戻すことが可能となるのです。
クリーニング行為なため
なぜ民間のサロンでホワイトニングが可能なのかというと、民間のサロンでおこなうホワイトニングは医療行為ではないためです。
先にも述べたように、ホワイトニング専門のサロンで用いるホワイトニング剤には医薬品が含まれていません。ポリリン酸ナトリウムや酸化チタンなど、食品添加物や顔料として用いられる安全な成分が用いられているからです。
ポリリン酸ナトリウムや酸化チタンには歯の表面に付着した着色物質を取り除く効果しかありません。言ってみれば歯のクリーニングのようなものなので、民間のサロンでも施術が可能なのです。
自然な元の色に戻る
ホワイトニング専門のサロンでセルフホワイトニングをおこなうメリットとしては、歯の色を自然な色に近づけることが可能だということがあげられます。
芸能人やモデルさんには歯のキレイな人も多いですが、中には不自然なまでに白く輝いている人もいますよね。セルフホワイトニングは基本的に歯のクリーニングのようなものなので、歯本来の自然な色に戻すことが可能となっています。
10代の歯のケアは大切
10代であっても歯のホワイトニングをすることは可能ということですが、10代により必要なことは、正しい歯のケアの方法を学ぶことです。永久歯はいったん生えたら二度と生え換わりません。そのためにも、以下のようなことに気をつける必要があります。
歯磨き
「歯のケアの基本はなんですか?」と聞かれた場合、多くの方が「歯磨き」と答えるのではないでしょうか。歯磨きはもっとも手軽で簡単かつ、効果的に歯をケアするための方法となっています。
とは言うものの、「では、正しい歯磨きとは何か?」と聞かれた場合、正確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。
歯を磨くときに重要なことを簡単に説明すると、「力を入れすぎないこと」「歯茎もブラッシングすること」「小刻みに歯ブラシを動かすこと」です。
まず「力を入れすぎないこと」に関してですが、歯を磨くときに力いっぱいゴシゴシこすってしまうと、歯の表面にあるエナメル質が摩耗してしまい、象牙質の色が目立つ結果となってしまいます。
また、エナメル質が摩耗してしまうと、虫歯になるリスクが高くなったり、虫歯が進行するスピードが速くなったりします。さらに、知覚過敏を生じる可能性も高くなります。
次に、「歯茎もブラッシングすること」も重要です。歯の土台は歯茎の中にあり、歯茎には血液が流れています。血液は酸素と栄養を運ぶ働きをしているので、血行不良になると歯や歯茎の栄養状態も低下してしまうのです。
栄養状態が低下すると口内環境が悪化し、歯周病になったり虫歯になったりするリスクが高くなってしまいます。そのため、歯を磨くときには歯茎もブラッシングして、血行を促進することが大事なのです。
あと、歯磨きをするときには小刻みに歯ブラシを動かすことも重要です。大きく動かすとどうしても磨き残しが発生してしまいます。そうなった場合、磨き残しに細菌が繁殖して、やはり歯周病や虫歯になるリスクが高くなってしまうのです。
フッ素
歯をケアする方法としては、フッ素でコーティングするということもあげられます。フッ素は簡単に言うと、歯の質を向上させて虫歯になりにくくするための薬です。
歯磨き粉の中にもフッ素を配合しているものがあるので、そのような歯磨き粉を用いて歯を磨くのも効果的でしょう。
受動喫煙
子供の歯を守るためには、受動喫煙の害悪から子供を遠ざけることも重要です。タバコにはよく知られているニコチンやタールだけでなく、4,000種類もの化学物質が含まれています。
また、200種類以上の有害物質が含まれている上に、50種類以上の発がん性物質が含まれています。まさに「百害あって一利なし」の、非喫煙者にとっては害悪そのものということが可能です。
タバコの厄介なところは、副流煙が目に見えなくなってからも、空気中には有害物質が漂っているという点です。タバコの煙だけに気をつければよいという問題ではないのです。
歯が黄色くなる原因として、たばこに含まれているタール(いわゆるヤニ)もあげられます。受動喫煙であっても、ヤニが歯に付着することによって、歯の表面が黄色くなる可能性は十分にあります。
タバコを吸う人に特徴的な「スモーカーズフェイス」をご存知でしょうか。タバコを吸う人は吸わない人に比べて、歯が黄色くなったり顔にシワができやすくなったり、白髪になりやすかったりするとされています。
美容面で見ても、タバコを吸うことに何のメリットもありません。なによりも、成長期の子供に対しては害悪しかありません。大人の方が自重するべきでしょう。
矯正
子供の歯を守る方法として、歯列矯正という手段もあげられます。歯並びが悪いと、どうしても磨き残しができてしまい、それによって口内環境が悪化してしまいます。
アメリカでは歯列矯正をおこなうことがあたり前となっていますし、子供の歯並びをよくすることは親の義務であるとも考えられています。
というのも、アメリカは日本のように国民皆保険制ではないため、歯を治療する際にも全額自己負担となってしまうからです。そのため、歯をキレイにしておくことで、虫歯や歯周病になるリスクを下げるという訳なのです。
虫歯や歯周病になるリスクを下げるという点では、日本であっても子供に歯列矯正を受けさせることは有益です。歯並びをよくしておけば歯を磨きやすくなるため、歯が黄色くなるリスクも下げることが可能となります。
ホワイトニングしやすい環境を整えましょう
これまで見てきたように、歯が白い=健康という訳ではありませんし、ホワイトニングをおこなえば歯が丈夫になるという訳でもありません。将来ホワイトニングをするにしても、歯の状態を健全に保っておくことが何よりも重要となります。
今回の記事では、子供でもホワイトニングをおこなうことができるのか、できるとすれば何歳からなのかについて見てきました。そして、永久歯が成長しきっていれば子供でもホワイトニングは可能ということでした。
ただ、ホワイトニングで見せかけの白さを手に入れることよりも、子供の場合は歯自体を健康に保つことがより重要だということも言えます。歯は長いあいだ使う必要があるので、お子さんの歯をしっかりとケアしてあげてくださいね。