「最近、歯を磨くときに歯茎から出血する」「なんだか口臭が気になるようになってきた」…そんな方、いらっしゃいませんでしょうか。いつまでも健康な歯でいるためには、定期的に歯をクリーニングするという手があります。
日本ではまだまだ普及しているとは言えない歯のクリーニングですが、一体いくらでできるのでしょうか。また、歯のクリーニングの必要性についても解説します。
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歯のクリーニングの種類と値段は?
それでは早速ですが、歯のクリーニングについて見ていきたいと思います。歯のクリーニングは一般的に歯科医院やクリニックでおこなわれることとなりますが、歯のクリーニングにはどのような種類があるのでしょう。
保険適用のクリーニング
歯のクリーニングは、大きく分けると保険診療内でおこなわれる歯のクリーニングと、自費治療でおこなわれる歯のクリーニングとに分類されます。
保険診療内でおこなわれる歯のクリーニングは、虫歯や歯周病を治すのに必要な範囲でおこなわれるのが通常で、見た目をキレイにするためや予防におこなわれる訳ではありません。
歯をキレイに見せるためにおこなわれる治療のことを、「審美目的」の治療と呼んだりします。歯のクリーニングもそうですし。歯列矯正やホワイトングも審美目的の治療にあたります。
原則として保険が適用されるのは怪我や病気の治療だけなので、歯のクリーニングを含めた審美目的の治療には、保険が適用されないのです。
繰り返しになりますが、保険適用の歯のクリーニングという場合にはあくまでも、歯の治療に必要と思われる部分をクリーニングすることを意味するのであり、歯をキレイに見せるためにおこなわれるのではないということを覚えておきましょう。
施術内容時間
保険診療内でおこなわれる歯のクリーニングは、ほんの短い時間であることがほとんどです。なぜなら、保険診療は虫歯や歯周病を治すためにおこなわれるものであり、歯のクリーニングは付随定期なものでしかないからです。
除去できるもの
保険診療内で歯のクリーニングをおこなう際には、歯垢(プラーク)や歯石、食べカスなどが取り除かれることとなります。ただ、審美目的ではないので、あくまでも虫歯や歯周病の原因となっている部分のみ、クリーニングされることとなります。
値段
保険診療内でおこなわれる歯のクリーニングは、虫歯や歯周病の治療に付随しているため、料金は治療費に含まれることとなります。
クリーニングだけおこなった場合は3000円ほどになるでしょう。ですが全ての範囲を一度に施術することは法律上できないので何度か通い全てのお掃除が完了になります。
自費のクリーニング
審美目的で歯のクリーニングをおこなう際には、原則として自費治療となります。では、自費治療でおこなうクリーニングにはどのような特徴があるのでしょう。
施術内容時間
自費治療で歯のクリーニングをおこなう場合、1本1本の歯に対して丁寧にクリーニングをおこなうこととなります。そのため、クリーニングだけで30分から1時間程度の時間を要するということです。
除去できるもの
自費治療でおこなうクリーニングで除去できるのは、虫歯や歯周病の原因となる歯垢や歯石だけではありません。喫煙習慣や食習慣によって歯の表面に付着した着色物質(ステイン)を取り除くことも可能となっています。
一番大きな違いはPMTCによって歯周病の原因であるバイオフィルムを除去できる点です。バイオフィルムは歯磨きを丁寧に行っていたとしても生成されてしまいます。よってきちんと除去しなければ歯周病が進行してしまう原因になってしまいます。その点からも自費のクリーニングの必要性が伺えますよね。
値段
自費治療でおこなうクリーニングは汚れが多すぎる場合は2回にわけて行う事もありますが基本的に一度に全ての歯をお掃除していきます。基本的には1回あたり10000円~15000円ほどです。
汚れをとるだけでなくフッ素でコーティングするような場合であれば、追加の施術代も必要になります。もちろんもともとクリーニング代金に含まれていることもあります。
ホームページを見ると大体の医院が基本的な料金を載せていますし、問い合わせれば教えてくれます。
自宅で自分で行うホームクリーニング
歯のクリーニングは、自宅でおこなうことも可能です。そのようなクリーニング法のことを「ホームクリーニング」と呼んでいます。では、ホームクリーニングはどのようにしておこなうのでしょうか。
①歯磨き(手磨き、電動歯ブラシ)
自宅でできるホームクリーニングとしてもっとも一般的なのは、歯ブラシを用いて歯を磨くことです。電動歯ブラシを使うと、よりきれいに仕上げることが可能となります。
除去できるもの
歯磨きで除去できるものは、歯垢(プラーク)や食べカスです。歯の表面に付着してしまったステインは、ちょっとやそっとの歯磨きでは落ちないという特徴があります。
値段
ホームクリーニングを歯磨きでおこなう場合、歯ブラシや電動歯ブラシ、歯磨き粉などを購入する費用が必要となります。
手磨きをおこなう際の歯ブラシであれば数百円から購入することが可能ですが、電動歯ブラシであれば1,000円から5,000円、ものによっては10,000円以上するものもあります。
②フロスや歯間ブラシなど歯の間の掃除
自宅で歯のクリーニングをおこなう場合、フロス(デンタルフロス)や歯間ブラシを用いるという手もあります。
除去できるもの
フロスや歯間ブラシで除去できるものは、おもに歯と歯の間に挟まった食べカスや歯垢ということになります。歯磨きだけでは取りきれない汚れをとるときに、フロスや歯間ブラシが効果を発揮するという訳です。
値段
歯間ブラシやフロスは、たいていの場合数百円程度で購入することが可能です。中には50本入りで100円ちょっとの商品もあります。毎日使うものなので、安く購入できるのはありがたいですよね。
③舌の掃除
歯を磨く目的の1つとして、口臭を予防することがあげられますが、実は口臭の原因が舌であるケースもあります。そのような場合、舌の掃除をおこなうことも重要となります。
除去できるもの
舌に付着する舌苔(ぜったい)というものをご存知でしょうか。舌の表面には細かいひだがあるので、食べカスや細菌が付着してしまうことがあります。
舌苔は誰にでもあるものなのですが、量が異常に増えてしまうと口臭の原因となってしまいます。そこで、舌苔を専用のクリーナーで取り除くことが必要なのです。
とは言うものの、歯ブラシを使ってゴシゴシと舌を磨いてはいけません。舌はとても繊細な器官なので、歯ブラシでこすると傷ついてしまうからです。
また、専用のクリーナーを用いて舌のクリーニングをおこなう場合であっても、舌の側面や舌の裏側は掃除しないようにしましょう。
値段
舌を掃除するための専用クリーナーは、数百円から千円ちょっとで購入できます。ただし、あまり強い力でこすらないように気を付けてくださいね。
④洗口剤
洗口剤は洗口液とも呼ばれ、口臭を予防したり、虫歯や歯周病を予防したりする目的で用いられる液体を総称したものです。マウスウォッシュとかデンタルリンスと呼ばれるものも、洗口剤の一種です。
除去できるもの
洗口剤で除去できるものは、主に口内に存在している細菌です。歯と歯の間に入り込んだ細菌は、歯磨きだけでは取り除くのが困難なので、歯を磨いた後に洗口剤で口をゆすぐと効果的です。
値段
洗口剤は数百円から千円ちょっとで買えるものがほとんどです。
クリーニングを行うメリットは?
歯をクリーニングする方法はいろいろありますが、そもそもなぜ歯をクリーニングする必要があるのでしょう。また、歯をクリーニングするとどのようなメリットが得られるのでしょうか。
口の中の健康の維持
歯のクリーニングをおこなう最大のメリットとしては、口の中の健康を維持できるということがあげられます。では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
①虫歯の予防
歯のクリーニングをおこなうと、虫歯を予防することが可能となります。特に、歯科医院やクリニックでクリーニングをしてもらうと、その効果が長持ちします。
②歯周病の予防改善
歯のクリーニングをおこなった場合、歯周病を予防したり改善したりすることも可能となります。歯周病は口内に存在する悪玉菌によって引き起こされますが、歯のクリーニングをおこなうことで、歯周病のリスクを低下させることが可能です。
さらに先ほどもご紹介したバイオフィルムは通常の歯ブラシや保険のクリーニングでは取り除くことができないので自費のクリーニングが重要になります。
口臭の予防改善
歯のクリーニングをおこなうと、口臭を予防したり改善したりすることも可能となります。口臭の原因はさまざまですが、口腔内に原因がある場合、歯や舌をクリーニングすることで、口臭を緩和したり予防したりすることができます。
全身疾患の予防
歯のクリーニングは、単に歯をキレイにするだけにとどまりません。たとえば、歯周病が進行してしまった場合、心筋梗塞や脳梗塞になるリスクが高まったり、糖尿病が進行してしまったりするのです。歯をクリーニングしておくことによって、そのような全身疾患の予防にもつながります。
生涯おいしく食事ができる
歯をクリーニングしておくと、一生涯にわたって自分の歯で美味しく食事をとることが可能となります。厚生労働省では「8020(ハチマルニイマル)運動」を推進しています。
8020運動では、80歳になっても20本以上の自前の歯を残すことを目的としています。なぜこのようなことがおこなわれているかというと、欧米諸国に比べて日本の老人は、残された歯の本数が少ないからです。
たとえば、スウェーデンの80歳の平均残存歯数が21本であるのに対し、日本人の80歳の平均残存歯数はたったの6.8本ということです。
永久歯はいったん抜けてしまうと二度と生えてきませんし、入れ歯で食べる食事は味気ないものです。そういった意味でも、歯のクリーニングは重要なのです。
審美目的
歯のクリーニングをおこなうと、あたり前ですが歯がキレイになります。ただ、歯をクリーニングするのは、歯をキレイにするだけが目的ではありません。
というのも、歯の本数が減ってしまうと、顔貌が崩れてしまうからです。入れ歯を外した老人の口元がシワシワになるのをイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。
歯をクリーニングして自前の歯を残しておくことで、顔貌をいつまでも若々しく保つことが可能となるのです。
感染を防ぐ
アメリカではホワイトニングをおこなったり歯列矯正をおこなったりするのが当たり前となっています。また、子供の歯並びをよくするのは親の義務とも考えられています。
アメリカでは日本と異なり、キスがコミュニケーションの手段として用いられています。そのため、歯や口内を清潔に保つことがエチケットだと考えられている訳です。
日本でもパートナー同士でキスをすることがありますが、その際に細菌感染をしてしまう可能性があります。また、自分のお箸で子供にご飯を食べされるなどすることで、子供に細菌感染してしまうこともあります。
歯のクリーニングを定期的におこなって、口内を清潔に保つことで、そのようなリスクを低下させることも可能となります。
気分爽快
歯のクリーニングをおこなうメリットとしては、口の中がすっきりして気分爽快になるということもあげられます。
歯科医師や歯科衛生士にやってもらうクリーニングはもちろんのこと、ホームクリーニングであっても、ミント系の洗口剤でうがいをすると、口中がすっきりして気分爽快になることでしょう。
自信が持てる
歯のクリーニングをおこなうことで、歯がきれいになったり口臭を防ぐことで、笑顔に自信を持てるようになります。笑うことによって気持ちも明るくなり、積極性も出てくることでしょう。
自費のクリーニングは何が違うのか?
自費で歯のクリーニングをおこなった場合、それなりの値段がしてしまいますが、自費でクリーニングをおこなうことにはどのようなメリットがあるのでしょう。また、保険診療の範囲内でおこなわれるクリーニングとはどのような違いがあるのでしょう。
PMTC
自費で歯のクリーニングをおこなう際、PMTCという手法が用いられます。PMTCとは「プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング」の頭文字で、歯科衛生士によっておこなわれる施術を意味しています。
バイオフィルムの除去
PMTCをおこなった場合のメリットが、バイオフィルム(オーラルバイオフィルム=プラーク)を取り除くことができるという点です。
通常の歯磨きではバイオフィルムをとり残してしまうことがあるのですが、歯科衛生士によるPMTCによって、バイオフィルムをキレイに除去することが可能となるのです。
痛みや不快感が少ない
自費のクリーニングの場合、保険診療よりも時間をかけて丁寧に施術がおこなわれます。そのため、施術中の痛みや不快感が少ないというメリットもあります。
全ての歯のクリーニングが可能
保険診療の範囲内でおこなわれる歯のクリーニングは、あくまでも虫歯や歯周病を改善するためであり、歯をキレイにすることが目的ではありません。
一方、自費でおこなう歯のクリーニングの場合、すべての歯をキレイにすることが可能となっています。ただし、汚れがひどい場合には2回に分けて施術をおこなうケースもあります
クリーニングを行う頻度はどれくらいがいいの?
歯のクリーニングをおこなうことには、さまざまなメリットのあることが分かって頂けたことと思います。では、歯のクリーニングはどれくらいのペースでおこなえばよいのでしょうか。
3ヶ月に1回がベスト
歯のクリーニングをおこなっても、しばらくするとまたバイオフィルムが形成されてしまいます。そのため、歯のクリーニングは3ヶ月に1回程度おこなうのがベストです。
ホームクリーニングは毎日
歯科医院やクリニックで歯のクリーニングをすれば、家では何もしなくてよいという訳ではありません。歯磨きやフロス、歯間ブラシや洗口剤を毎日おこなって、口中を清潔に保ちましょう。
自費のクリーニングは高いですか?
歯のクリーニングについて見てきましたが、いかがだったでしょう。3ヶ月に1回自費で歯のクリーニングをおこなうと、年間で20,000円から40,000円ほどかかることとなります。
ただ、1日に換算するとたったの55円から110円程度です。それで生涯おいしくごはんを食べられるのであれば安いものではないでしょうか。いつまでも自分の歯でいられるよう、3ヶ月に1回、歯のクリーニングをおこなうのがおススメですよ。