股関節の運動で腰痛や肩こりを予防!おすすめの運動4選!

最近、開脚がひそかなブームになっています。両足を180度に開いて、胸がペタンと付けられるなんて、身体の固い人には信じられませんよね。ただ、いきなりそこまでになれなくても、日々の努力で必ず股関節は柔軟になります。今回は、そのための方法を解説します。

肝臓のことを「沈黙の臓器」などと呼んだりしますが、股関節はいわば「沈黙の運動器」と言えます。知らず知らずのうちに、固くなったり筋力が衰えたりして、結果として腰痛や肩こりを招きます。また、股関節の運動不足は下半身太りにもつながります。そこで今回は、股関節のおススメ運動法を厳選して4つ紹介します!

股関節は沈黙の運動器!?

指を口に当てて静かにするように指示している女性

「股関節を制するものは運動を制する」という訳ではありませんが、トップアスリートで股関節の柔軟性を軽視している人はほとんどいません。

あのイチロー選手も、打席に向かう前に必ず股関節のストレッチをおこなっていますし、長いあいだ現役でいる選手であればある程、股関節の動きを意識しています。では、股関節とはどのような場所なのでしょう。

可動域

股関節は、太ももの付け根にある骨(大腿骨骨頭といいます)が、骨盤にあるくぼみ(寛骨臼、かんこつきゅう)にはまったような形をしています。

寛骨はいわゆる骨盤を形成する骨の1つで、腸骨と坐骨、そして恥骨から成っています。正常な股関節である場合、寛骨臼によって大腿骨骨頭の5分の4が覆われており、それによって股関節の安定性を生み出しています。

股関節は、肩関節と並んで人体の中でもっとも可動域の広い関節でもあります。では、一派的に股関節にはどの程度の可動域があるのか、日本整形外科学および、日本リハビリテーション医学会が策定したガイドラインを元に見てみましょう。

お医者さんというのはとかく難しい言葉を使いたがるものなので(失礼)、専門用語は一般の人にも分かる形で説明したいと思います。

まず、股関節の屈曲と言って、膝を抱えるような形にする際(実際に抱える訳ではなく。そのように動かすだけです)、身体の軸に対して125度が平均的だということです。

反対に、股関節の伸展といって、仰向けに寝た状態でかかとを後ろにあげるような動作をする場合、身体の軸に対して15度が平均的な角度とされています。

次に、股関節の内転と外転について見ていきましょう。股関節のない点とは、たとえば右足を左足の外側に持っていくような動作を指します。

足元の引き出しが空いているときに、足で閉めるのをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。一般的に、股関節の内転角度は20度だとされています。

股関節の外転は、股関節の内転と反対です。右足の場合、右足を大きく横にあげていくような動作になります。やはり45度が平均的だということです。

股関節にはさらに、内旋と外旋という動きもあります。膝を90度にしてまっすぐあげた状態で、足を、あぐらをかくように持ち上げた際の動作が股関節の外旋、逆にペタンコすりのように外側に開いた場合が、股関節の外旋です。

股関節の外旋と内旋はそれぞれ45度となっています。これらの動作を組み合わせることで、股関節は実にさまざまな動きをすることが可能となっているのです。

例えば、股関節の下にある関節である膝関節は、屈曲と伸展動作しかできません。しかも、屈曲こそ130度となっていますが、進展は0度です。そのため、膝関節は曲げることしかできません。

一方、股関節と並んで可動域の大きい肩関節の場合、屈曲や伸展、外転や内転、外旋や内旋以外にも、水平屈曲と水平伸展という動作が可能となっています。そのため、肩関節も非常に大きな動作をすることが可能なのです。

関節の可動域が広い方がもちろんよいのですが、可動域の狭い関節と比べると、慢性的なダメージがたまりやすいと言えるかもしれません。

そのため、四十肩や五十肩、股関節痛などを発症すると、足首やひざのけがに比べて治るのに時間のかかる傾向がみられるようです。その点が、沈黙の運動器といわれる所以なのでしょう。

付着する筋肉

股関節の可動域が広く、しかもいろいろな方向へと動かせるのは、股関節にさまざまな筋肉が付着しているからです。

たとえば、大腿骨の大転子といって、太ももの付け根の少し膨らんだ部分にある骨には、太ももの筋肉である外側広筋や、臀部の筋肉である中殿筋や小殿筋、梨状筋(りじょうきん)などが付着しています。

反対に、大腿骨の内側の付け根にある小転子と呼ばれるふくらみは、大腰筋や腸骨筋が付着しています。その他、太ももを動かすたくさんの筋肉によって、股関節も併せて動かされることとなります。

股関節の運動不足がもたらすこと

足の付け根の痛みに思わず身を屈める男性

運動不足が身体にとってあまり好ましくないことは何となくイメージできますが、では、股関節が運動不足になってしまうと、どのような弊害を生じるのでしょう。

柔軟性の低下

股関節の運動不足によって、股関節周囲の筋肉が硬くなってしまうと、股関節の可動域が減少してしまいます。俗にいうところの「股関節が固くなる」という状態です。

股関節の柔軟性が低下すると、たとえば立った状態で靴下を履くのが困難になったり、あぐらをかくのがしんどくなったりします。

怪我のリスクが上昇

股関節の運動不足は、怪我になるリスクも上昇させます。お相撲さんが相撲部屋に入門すると、まずおこなわれるのが「股割り」という儀式(?)です。

脚を180度近くに開いた状態で、上から先輩力士が覆いかぶさるという悪夢のようなストレッチです。ただ、力士にとって股関節の柔軟性は絶対に欠かすことができないのです。

実際に相撲を観戦したことのある方ならご存じかと思いますが、土俵は意外と高さがあります。あのような高いところから、150gとか160kgとかが転落するのですから、股関節が硬いと一発でアウトです。

また、プロ野球などでも40歳を過ぎて現役でピッチャーをやっていた人など、特に股関節を重視してトレーニングをおこなっていました。

逆に、股関節が硬いアスリートは、股関節だけでなく、膝関節や腰を怪我してしまいがちです。一般人であっても、運動不足によって股関節が固くなれば、股関節痛や腰痛になるリスクが高くなります。

下半身太りのリスク

股関節の運動不足は、下半身太りになるリスクも高めてしまいます。なぜなら、下半身には全身の70%もの筋肉が集中しており、股関節は下半身を動かす起点となるからです。

特に、股関節には太ももの筋肉やお尻の筋肉が付着しているため、運動不足になると太ももがたるんで太くなったり、お尻がたるんで大きくなったりしがちです。

また、股関節には腸腰筋という、腰の骨と股関節の骨をおなか側で結んでいる筋肉も付着しています。運動不足によって腸腰筋が緊張すると、股関節が外旋してしまいます。

股関節が外旋すると、いわゆるO脚傾向になってしまいます。O脚になると、脚の外側に重心が移動するため、太ももの外側の筋肉や、ふくらはぎの外側に筋肉が目立ってしまい、実際の体重異常に脚が太く見えてしまうという訳なのです。

生活習慣病

股関節の運動不足は、生活習慣病になるリスクも高めます。皆さんは「足は第2の心臓」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

心臓が全身に血液を送っていることは、皆さんもご存知の通りだと思います。血液は血管を介して、酸素と栄養を全身の各部にある細胞へと送り届ける働きがあります。

そのさい、細胞内の不要なもの(タンパク質や脂質、有害物質)などが静脈へと送られ、心臓へと戻っていくこととなります。

ただ、心臓には血液を戻す働きはないのです。そこで、全身の筋肉が収縮することによって、血液を心臓へと送り返すこととなるのです。この働きのことを「筋ポンプ」と呼んでいます。

心臓より上にある場所からは、重力によって心臓に血液がスムーズに送り返されることとなるのですが、足は心臓からもっとも遠い場所にある上に、重力に逆らって上方へと血液を送り返さなければなりません。

そのため、足は第2の心臓と呼ばれているのです。足の筋肉が弱かったり、筋肉量が少なかったりして、血液を送り返す力が弱くなれば、全身の血行が悪くなってしまうのです。

それによって直ちに生活習慣病を発症するという訳ではありませんが、長い目で見た場合、血行がよい人よりも生活習慣病になるリスクが高まると言える訳です。

股関節の運動法3選!

指導を受けながらスクワットをしている女性

股関節の運動不足は、さまざまな弊害を招いてしまうということが分かって頂けたことと思います。それでは、股関節を効果的に動かすための運動法を、厳選して4つ紹介したいと思います。

踏み台昇降

股関節の運動法としては、踏み台昇降という手段があげられます。昭和生まれや平成最初の方の世代であれば、体力テストで踏み台昇降をおこなったことがある人も多いのではないでしょうか。

踏み台昇降はもともと、一定の時間の有酸素運動をおこなった際の心拍数の変化と、それがどれくらいの時間で元に戻るのかを測定するためのテスト手段として用いられていました。

ただ、手首から脈拍を測ることの困難さや不正確性、被験者の体重や年齢によって結果が大きく左右されるなど、テストとして適当ではないという意見が多くなったため、1999年以降は実施されなくなったということです。

とは言うものの、踏み台昇降の運動効果自体が否定されたわけではありません。踏み台昇降は誰にでもできて、怪我のリスクも少ない優れた有酸素運動法です。

股関節に付着している筋肉もたくさん動員されるので、股関節の運動としてはとても優れています。足を上げる動作には足の筋肉だけでなく、腸腰筋も使われます。

そのため、踏み台昇降によって太ももや殿筋のビルドップやシェイプアップができるのみならず、腸腰筋への刺激によってウエスト痩せの効果も得られるのです。

スクワット

股関節の運動としては、スクワットもおすすめのエクササイズとなっています。なにしろ、スクワットは別名を「キング・オブ・エクササイズ」ともよばれているからです。

スクワットなんて見たこともやったこともないという方は少ないと思いますが、簡単にやり方を説明しておきます。

まず、足を肩幅かそれよりやや広めに開きます。両手をまっすぐ前にのばして、そのままお尻を後ろに突き出しながら膝を曲げて上体を下に沈めていきます。その際、膝頭がつま先よりも前に出ないように気をつけましょう。

また、猫背にならないよう、背中を伸ばしたままスクワットするようにしましょう。スクワットも足だけでなく、腸腰筋を刺激することが可能です。そのため、下半身全体をシェイプアップするのに効果的なエクササイズであるといえます。

また、踏み台昇降もスクワットも、ふくらはぎの筋肉を刺激することで、血行を促進することも可能となっています。全身の血行がよくなることで、栄養状態の改善効果も得られます。

足あげ運動

足あげ運動は、寝たままでもおこなうことのできる楽チンな股関節の運動法です。まずは仰向けに寝て、片足を高く上にあげましょう。その際、膝は曲げずにまっすぐ伸ばしたままでおこないます。

次に、横向きに寝た状態で、腰がひねらない様に注意しながら足をあげられるだけ上にあげましょう。左右同じようにおこないます。最初は10回程度を目安におこなうとよいでしょう。

どちらかというと、股関節が硬い人や、足の筋力が弱い人向けのエクササイズとなっています。足を上にあげることで、血液の循環をよくする効果もあるので、むくみが気になる方はぜひやってみてくださいね。

股関節の運動をする際の注意点

人差し指を立てる黒いトレーニングウェアを着ている女性

将来の生活習慣病や腰痛予防のためにも、普段から股関節の運動をしておきたいものです。ただ、いくつかの注意点があるので紹介しておきます。

無理はしない

股関節の運動に限った話ではありませんが、運動をするときに無理は禁物です。中には筋肉痛が快感という方もいらっしゃいますが、筋肉痛になると運動をする意欲の下がるケースがほとんどです。

継続することが重要

一念発起して運動やダイエットを始める人にありがちなのが、最初だけ頑張っていつの間にかやらなくなっているというケースです。

ただ、義務感にしてしまうとしんどいですし、精神衛生上もよくありません。「やらないよりはまし」といった程度の気分で、気持ちを楽に持って継続するとよいでしょう。

痛みが出たら中止する

股関節の運動をしていてもし痛みが出たら、ただちに中止するようにしてください。大したことがないと思っていても、翌日に激しい痛みへと変わっている可能性もあります。

股関節の運動をしていて痛みが出る場合、負荷が大きすぎるケースと、運動法が誤っているケースの2パターンが考えられます。しばらく休んでから、正しい方法でおこなうようにしましょう。

股関節の運動を始めましょう

股関節の運動について見てきましたが、いかがだったでしょうか。股関節は下半身の動作の起点となるため、硬くなるといろいろな不具合が生じてしまいます。

また、股関節が固くなると下半身太りにもつながってしまいます。運動機能面でも美容面でもいつまでも若々しくいられるよう、股関節の運動を始めてみませんか?

ABOUTこの記事の監修者

吉川一彰

Primary Body Care 代表
<保有資格>
・理学療法士
・日本ACLS協会認定ACLS Provider
・国際PNF協会認定アシスタントインストラクター
<経歴>
2004年 ​理学療法士
養成校卒業
2009年 ​Kaiser (San Francisco) 
9month program
The institute of Physical Art (Functional Orthopedics1)終了
2014年​ドイツ(Munich)
国際PNF協会認定アシスタントインストラクター取得
2017年​4月独立し、
Primary Body Care起業
サロンの名前にもなっておりますが、"primary"という自分を第一に考えた健康、そして根本からの適切な治療や予防をモットーに、質の高い体の中からのケアを提供していきます。
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