「唇が人とくらべると黒っぽい気がする」「唇に黒っぽい斑点ができた」…そんな経験をお持ちの方はいらっしゃいませんでしょうか。唇の色が悪いと、人に与えるイメージも悪くなってしまいますよね。
そこで今回は、唇が黒くなってしまう原因や考えられる事例、唇の血色をよくする方法などについて解説していきたいと思います。唇の色が悪い方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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唇は健康のバロメーター
みなさんは、「唇は健康のバロメーター」と呼ばれていることをご存知でしょうか。唇も皮膚の一部ですが、身体のその他の場所に比べると、非常にデリケートにできています。
私たちが単に皮膚といった場合、一般的に「表皮」のことを指すケースがほとんどです。表皮は「角層」と「顆粒層」、「有棘層」と「基底層」の4層からなっています。
皮膚は基底層で細胞分裂することによってつくられ、角層へと押し上げられます。角層は14層から15層構造になっているのですが、唇の角層はわずか数層しかありません。
そのため、血行が悪くなるなどすると、唇の色が変色してしまうのです。プールにはいったときに、唇が青黒っぽい色になった経験は誰でも持っているのではないでしょうか。
また、唇にはほかの場所と違って、皮脂腺や汗腺が存在していません。そのため、肌にとってもっとも避けるべき「乾燥」によってダメージを受けてしまうのです。
もし、唇の色に何らかの変化が表れている場合、体調不良など、身体に何か異変が起こっているのかもしれませんよ。
唇が黒い3つの事例
唇の色が変色するケースはいろいろありますが、唇が黒っぽくなっているような場合、どのような異変が考えられるのでしょうか。単に体調不良ならそれほど心配する必要はありませんが、もしかしたらなんらかの疾患を発症している疑いもあります。
唇に黒いシミが出来た
唇が黒っぽくなる原因の1つとして、日焼けをすることによって、黒いシミができているという可能性が考えられます。
私たちの皮膚はメラニンという色素によって守られていますが、唇はほかの場所とくらべ、メラニンの分布量が少ないため、紫外線によるダメージを受けやすいのです。
ほくろのような黒い斑点が出来た
唇にほくろのような斑点ができた場合、何らかの疾患が疑われるケースもあります。では、どのような疾患の可能性があるのでしょうか。
色素性母斑
唇にほくろのような斑点ができたときに、最初に考えられるのが色素性母斑(母斑細胞母斑)です。色素性母斑は、母斑細胞と呼ばれる細胞が増えることによって生じます。
ほくろも色素性母斑の一種なのですが、通常のほくろであれば治療をする必要はありません。ただ、色素性母斑が盛り上がって引っかかるような場合や、悪性の場合は除去するケースもあります。
レックリングハウゼン病
レックリングハウゼン病は、唇や歯茎、頬粘膜や舌などに、ミルクコーヒー色の色素性母斑が現れる疾患です。
黒いできもののように見えることもありますが、通常は痛みが出るようなことはありません。小さいものは放置しても構わないということですが、なんらかの障害がある場合には切除が奨められます。
悪性黒色腫
悪性黒色腫にはいくつかのタイプがありますが、中でも結節型黒色腫と呼ばれるものに関しては、唇だけでなく、全身どこにでも起こり得ます。
黄色人種とくらべた場合、白色人種に多くみられることから、紫外線の影響が大きいと考えられています。次第に大きくなって来るような場合、速やかに医療機関を受診しましょう。
ポイツ-ジェガース症候群
ポイツ-ジェガース症候群は、生まれつき唇や口腔内、指先などに1mmから5mm程度の色素斑が現れる疾患です。ただ、唇に見られる場合は放置しても問題ないということです。見かけが気になる場合は、脱色措置が採られるケースもあります。
唇の輪郭に黒い線が入った
唇のふちに沿って黒い線が入ったように見える場合、色素沈着を起こしている可能性があります。その場合、瀰漫(びまん)性メラニン色素沈着の可能性があります。
瀰漫には「広い範囲にわたって見られる」という意味があり、加齢とともに瀰漫性色素沈着の可能性は高くなります。ただ、特に治療をおこなうような必要はありません。
唇が黒くなる5つの原因
ここまでの解説で、唇が黒くなる3つの事例についてご理解して頂けたことと思います。また、唇が健康のバロメーターと呼ばれていることについても、ご納得いただけたのではないでしょうか。
それでは次に、唇が黒くなる原因について見ていきたいと思います。唇が黒っぽくなってしまうのは、おもに以下の5つのことが原因になると考えられています。
タバコを吸っている
唇が黒くなる原因としては、タバコを吸っていることがあげられます。タバコには200種類以上の有害物質が含まれており、そのうちの50種類以上が発がん性物質だとされています。
中でも依存性の高いタールやニコチンは、発がんする確率を高くするだけでなく、唇の色を黒くすることでも知られています。
タールはいわゆる「ヤニ」と呼ばれている物質で、唇にタールが付着することによって、唇が黒くなるのです。もちろん、唇だけでなく、歯や歯茎も黒くなります。
また、ニコチンには毛細血管を収縮させ、血行を悪くする働きのあることが知られています。血行が悪くなると、唇や歯茎の色も黒っぽくなってしまうのです。
血行不良・冷え性である
血行不良や冷え症も、唇が黒っぽくなってしまう原因として知られています。子供の頃にプールに入って、唇が黒っぽくなった経験をお持ちの方は、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
唇はほかの部分とくらべて角層が薄いので、皮膚の下を流れている血管が見えやすいのです。そのため、血行が悪くなると、唇が黒っぽく見えるようになるのです。
女性の唇が黒っぽくなりやすいのは、男性とくらべて血行が悪くなりやすいからです。女性はそれでなくても、月経によって血流が不足しがちです。
それに加え、男性よりも筋力が弱かったり、筋肉量が少なかったりするため、余計に血行が悪くなりやすいのです。みなさんは、「足は第2の心臓」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
心臓から全身へと送られた血液を、心臓へと送り返すのに、足の筋肉は重大な働きをするのです。足は心臓からもっとも遠くにある筋肉で、重力に逆らって血液を上方へと送る必要があります。
そのため、足の筋力が弱いと、血液を送り返す力も弱くなり、全身の血液循環が悪くなるのです。その結果、身体が冷え、唇の黒っぽくなりリスクも上昇するのです。
リップメイクなどによる色素沈着
唇が黒っぽくなってしまう原因としては、口紅などリップメイクによる色素沈着の可能性も考えられます。女性の方の多くがメイクをされると思いますが、アイメイクやファンデーションほど、唇のメイクオフを意識していないのではないでしょうか。
お酒を飲まれる方ならご存知かもしれませんが、赤ワインをたくさん飲んでいると、唇の角層に赤ワインの色素が沈着し、唇が赤黒くなってきます。
メイクも同様で、しっかりとメイクオフをしないと、徐々に唇に黒い線のような色素沈着が起こります。唇を塗ったら、その日のうちにしっかりとメイクオフすることが重要です。
唇に摩擦をかける生活を送っている
先ほど少し触れましたが、皮膚にとってもっとも避けたいことが「乾燥」です。実は、皮膚にとってもう1つ避けたいことがあるのですが、それが「摩擦」なのです。
摩擦によってダメージを受けると、肌の新陳代謝(ターンオーバー)に異常が生じ、本来であれば剥がれおちるはずの角層が剥がれ落ちなくなり、角層が分厚くなったり、角層が目立つようになったりします。
ぶ厚くなった角層に色素が沈着すると、見た目が悪くいのはもちろんのこと、唇の形まで悪く見えてしまいます。それでなくても唇は乾燥しやすいので、ダメージを受けやすい場所です。なるべく唇を摩擦しないよう心がけましょう。
腎臓の病気・動脈硬化といった病気の可能性
腎臓の病気や動脈硬化によって、血液や水分の循環が滞ることで、唇の色に変化が現れるケースもあるようですが、自己判断は禁物です。唇の変色にともなってなんらかの症状が出ている場合、速やかに医療機関を受診しましょう。
自己ケアで唇の血色を良くする7つの方法
唇が黒くなるような場合、有効な治し方はあるのでしょうか。明らかな疾患は病院で見てもらうべきですが、生活習慣からくる唇の黒さであれば、以下のような方法で対処することが可能です。
食生活の見直し
私たちの身体は食べたものでできており、身体によいものを食べていれば健康状態が保たれますし、身体に悪いものを食べていれば、不調が現れることとなります。
身体を冷やすようなものばかり飲み食いしていれば、血行不良によって唇の色が悪くなることにつながりますし、栄養不足により体調が悪くなれば、唇だけでなく顔色自体が悪くなってきます。
5大栄養素の中でもビタミンとミネラルは、身体の調子を整えるのに重要な役割を果たしてくれます。ところが、現代人の食事にはビタミンとミネラルが絶対的に不足しているとされています。
そのため、厚生労働省が、1日に350gの野菜を摂取するように呼び掛けている訳です。炭水化物やタンパク質、脂質だけでなく、普段の食事にビタミンとミネラルを取り入れましょう。
温かい飲み物を飲む
先ほども触れましたが、プールにはいったときに唇の色が悪くなるのは、身体が冷えることによって血行が悪くなるからです。逆にいえば、血行がよければ、唇の色は悪くならないということです。
血行を良くするためには、身体を温めるのが一番です。そのため、普段から温かい飲み物を飲むように心がけましょう。
とは言っても、温かい飲み物であれば何でもよいという訳ではありません。たとえば、コーヒーはホットで飲んでも身体を冷やすとされています。
禁煙する
タバコのヤニやニコチンが原因となって、唇が黒くなっているのであれば、禁煙するとよいでしょう。先にも述べたように、タバコは「百害あって一利なし」です。
タバコの煙に含まれている有害物質は、タバコの煙が見えなくなっても大気中に漂っています。タバコを吸わない人にとって、そのような有害物質を吸わされるのは、暴力以外の何物でもありません。
タバコは徐々に値段が上がっていますが、庶民に手のでないほどではありません。なぜなら、タバコの税収は国にとって、とてもありがたいものだからです。
タバコに含まれているニコチンには依存性があります。いわゆるニコチン依存症と呼ばれるものが、タバコの依存性を示しています。
そして、依存症とは病気であることを忘れないようにしましょう。そして、ニコチン依存症から脱却するのは、コカイン中毒やヘロイン中毒から脱却するのと同じくらい困難であることを知っておいてくださう。
タバコを吸っている人の15%から20%が、将来COPD(慢性閉塞性肺疾患)を発症するとされています。いったんCOPDを発症すると、治療をしても治ることはありません。
そのようなリスクを冒してまでタバコを吸うのは、馬鹿らしいと思いませんでしょうか。単に唇が黒くなって、見た目が悪くなるだけでなく、命にかかわることを覚えておきましょう。
しっかりと浴槽に浸かる
先にも触れたように、身体が冷えて、血行が悪くなることによって、唇の色が悪くなっている場合、身体を温めるのが一番です。暑いから、時間がないからとシャワーだけで済ませずに、しっかりと浴槽に浸かって身体を温めましょう。
リップで乾燥予防
唇には皮脂腺や汗腺がないので、空気に触れることで乾燥しやすくなっています。そのため、特に冬場などはリップで乾燥を予防するよう心がけましょう。
唇マッサージをする
唇の血行を良くする手段として、唇マッサージという手があります。ただし、強い力で刺激しないよう気をつけてくださいね。
口紅の落とし方を見直す
リップメイクによって唇の色が悪くなっているようであれば、口紅の落とし方を見直すようにしましょう。また、その日に塗った口紅は、必ずその日のうちに落とすよう心がけましょう。
不安なら皮膚科や美容皮膚科で治してもらおう
唇が黒くなっている場合、もしかしたら何からの疾患を発症しているかもしれません。唇の変色にともなって、何らかの症状が併発している場合、自己判断せずに医療機関を受診するようにしましょう。
通常は皮膚科や美容皮膚科を受診すればいいのですが、身体がだるいなどの不調をともなう場合、内科を受診するとよいでしょう。
日頃できるケアで黒い唇からさようなら!
今回の記事では唇が黒くなる原因や対処法、また、病気の可能性について解説しました。病気が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。明らかに生活習慣が原因で唇が黒くなっているのであれば、今回紹介したケアを実践して、黒い唇にサヨナラしましょう。